山中恒
山中 恒/1931年-/児童読物作家
撮影 タカオカ邦彦
1931年7月20日生まれ、北海道小樽市出身。
早稲田大学第二文学部在学中、早大童話会にて本格的に子ども向けの作品の執筆を開始する。「赤毛のポチ」が1956年に日本児童文学者協会新人賞、1960年に児童福祉文化賞を受賞したことにより、本格的に創作の道へと進む。子どもが楽しんで読めることを第一に考えた、エンターテインメント性の高い作品を生み出している。1977年に刊行され、その後テレビドラマとしてシリーズ化された『あばれはっちゃく』や、大林宣彦監督による映画「転校生」(原作:『おれがあいつであいつがおれで』)をはじめ、多数の作品が映像化され幅広い年代に親しまれている。1978年に「山中恒よみもの選集」全10巻(後に20巻まで刊行)により第1回巌谷小波文芸賞を、1993年に『とんでろじいちゃん』で第31回野間児童文芸賞など数々の賞を受賞。
戦時資料の蒐集家でもあり、膨大な資料をもとに、戦時下の子どもにまつわる状況を検証した「ボクラ少国民」シリーズなど、大人向けのノンフィクション・研究書でも高い評価を受けている。
主な作品
- 『ぼくがぼくであること』(1969、実業之日本社)
- 『ボクラ少国民』(評論)(1974、辺境社)
- 「山中恒児童よみもの選集」全20巻(1977から1989、読売新聞社)
- 『おれがあいつであいつがおれで』(1980、旺文社)
- 『あばれはっちゃく―ワンぱく編―』注:新装版(2014、KADOKAWA)
資料写真
色紙「願わくば」(2016.1.15)
「暮らしの中の太平洋戦争」原稿
居住期間
1964年から1983年までの約19年間、原町田に暮らした。
町田との関わり
「広報まちだ」1974年8月1日号にエッセイを寄稿している。
私は私の子どもたちに、もうあの目の眩む不気味な空の下で、誰もが口をとざして、天皇陛下やら国やらの為に死ぬことだけを待ち続けた夏を迎えさせたくないと思う。例え子どもたちが、戦争なんか関係ないと言おうと、古いはなしだとせせら笑おうと、私たちの夏のことを語り続けようと思う。語ることで、告発される何かがあるうちは語り続けたいと思う。いま、あの夏のことをばかにして、時の流れを引きもどそうとするおとなたちが権力を持ち続けているうちは、ばかのひとつ憶えのようにくり返そうと思っている。私たちの世代はほんの一部を除いて、いまも敗れ続けている。夏がめぐってくるたびに私はそれを思い知らされる。
いま、私たちの町にまっかなサルビアの花が咲く夏がきた。私はあのときのおとなたちの年齢になっている。そのことをひどく不思議に思う。夏がくるたびに不思議に思う。
――――――――「夏のくるたびに」より
当館との関わり
- 展覧会
児童読物作家 山中恒-子どもと物語で遊ぶ-展
会期:2016年1月16日から3月21日 - 刊行物
町田ゆかりの児童文学作家紹介 山中恒(2019年10ページ、無料配布)
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