赤瀬川原平/尾辻克彦
赤瀬川 原平/1937年-2014年/美術家・小説家・随筆家
1937年3月27日生まれ、神奈川県横浜市出身。
本名、赤瀬川克彦。美術科のある高校を経て、武蔵野美術学校油絵科に学んだ(のち、中退)。1958年より読売アンデパンダン展に初出品。高松次郎・中西夏之と1963年に「ハイレッド・センター」を結成。前衛美術家として活動する一方、梱包作品を制作する。制作の過程で千円札を印刷したことにより、1965年、通貨及証券模造取締法違反に問われた(千円札裁判)。1979年から“尾辻克彦”の筆名で小説を書き始め、同年『肌ざわり』で中央公論新人賞、1981年に「父が消えた」で第84回芥川賞を受賞。1998年には、「老人力」で流行語大賞トップテンに入賞した。日常見過ごされていることを新たな視点で捉えなおすという独自の創作姿勢で多方面に活躍した。2014年10月26日、敗血症のため77年の生涯を閉じた。
主な作品
- 『櫻画報永久保存版』(1971、櫻画報社)
- 『肌ざわり』(1980、中央公論社)注:尾辻克彦名義
- 『父が消えた』(1981、文藝春秋)注:尾辻克彦名義
- 『贋金づかい』(1988、新潮社)注:尾辻克彦名義
- 『老人力』(1998、筑摩書房)
資料写真
色紙「優柔不断」(1985.7.27)
「大日本零円札」
居住期間
1984年に町田市に転入。1997年から亡くなるまで、市内に建てた「ニラ」のポットを屋根に配した通称「ニラハウス」で暮らした。
町田との関わり
「ニラハウス」に引っ越したことを日本経済新聞日曜版で連載していたフォトエッセイで回想している。
前にいたところは家の裏がすぐ山の一本道で、起きたままの髪の毛もしゃもしゃでも平気だった。ところがこんどの所は駅に近い。犬の散歩となれば駅とは反対の方に歩こうとするから、そうすると正面からは駅へ急ぐ通勤の人たちがどんどん歩いてくるのだ。みんなこれから電車に乗るのだから、もちろんきちんとしている。てきぱきと歩いてくる。こちらは髪の毛もしゃもしゃの寝ぼけまなこで、どうも具合がわるい。
これはずいぶん勝手が違うなあ、と思った。自分一人、何だか別の人間みたいで、はじめての町に紛れ込んだ放浪者みたいで、一瞬、旅人気分を味わった。
ニナも何だか、毎日の散歩というよりは、そわそわして歩きながら、道端を匂ってばかりいる。犬に旅犬気分というのはあるんだろうか。
――――「犬の引越し」より
当館との関わり
- 展覧会
- まちだ作家博覧会展
会期:2009年4月25日から7月5日 - 尾辻克彦×赤瀬川原平―文学と美術の多面体―展
会期:2014年10月18日から12月21日 - 赤瀬川原平「猫の宇宙」展(1階文学サロンミニ展示)
会期:2021年11月2日から12月28日 - 2021年度新収蔵資料紹介 赤瀬川原平「少年とオブジェ」をめぐって 展(1階文学サロンミニ展示)
会期:2022年11月15日から12月25日
- 刊行物
- 2014年度展覧会図録『尾辻克彦×赤瀬川原平―文学と美術の多面体―』
(2014年67ページ、有料販売・完売)
注記:掲載している情報につきましては極力調査いたしましたが、お気づきの点がございましたらご連絡ください。
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