三井永一
三井 永一/1920年-2013年/洋画家
1920年1月2日生まれ、山形県鶴岡市出身。
1936年鶴岡中学校の美術教師であった地主悌助にすすめられ上京、川端画学校、春陽会洋画研究所に学び、木村荘八に師事した。1938年第16回春陽会展に18歳で初入選、1939年第3回文展に初入選。1940年にはパリから帰国した岡鹿之助の教えを受けている。1943年から45年、満州、済州島で兵役。春陽会では1953年に絵画部会員になり、1964年には版画部の設立に携わった。以来、油彩画、版画(リトグラフ)、ガラス絵など、多様な絵画作品を発表し、現代美術展、詩画展、国際アートクラブなど当時の前衛美術動向との交流も重ねた。1960年代前半から、柴田錬三郎、早乙女貢、池波正太郎、横溝正史、小松左京、宇野千代など数多くの作家の挿絵、カット、装幀などを手がけた。歴史時代小説、ミステリー小説、伝記など多岐にわたり、技法も木村荘八ゆずりの日本画風から前衛的なタッチまで多彩である。1971年度第2回講談社出版文化賞(さしえ賞)を受賞。2013年鶴岡市致道博物館で「画家93歳三井永一の軌跡―油絵・リトグラフ・挿絵―」展を開催。会期中の6月1日、病のため93年の生涯を閉じた。
資料写真
柴田錬三郎『自選眠狂四郎』(1969、広済堂出版)口絵「妖異碓氷峠」
横溝正史『横溝正史全集第一巻』(1970、講談社)挿絵「広告人形」
居住期間
1977年世田谷区代田から町田市小川に転入し、以来34年間、自宅兼アトリエで作品を制作した。
町田との関わり
1970年代後半から架空の城塞や小建築をモチーフとした幻想的な油彩画のシリーズを描いているが、その多くは自宅近隣のスケッチを素材とし再構成したものである。また、抽象的リトグラフ120点の中に『境川』とタイトルされた作品が数点ある。初期の版画は町田市国際版画美術館に寄贈されている。
当館との関わり
2008年、挿絵原画、装幀原画など約300タイトルをご寄贈いただいた。主な作家は柴田錬三郎、早乙女貢、池波正太郎、笹沢左保、山田風太郎、横溝正史、小松左京、高木彬光、城山三郎など。
資料整理の過程については、「町田の文学」第48号掲載の「画家三井永一資料登録・わずかな手がかりから挿絵原画の文学作品を探索」に詳しい。
- 展覧会
- 三井永一挿絵展(1階文学サロンミニ展示)
会期:2022年2月8日から4月10日
- 三井永一挿絵展(1階文学サロンミニ展示)
- イベント
- 三井永一挿絵原画公開記念イベント・講演会「時代小説におけるヒーロー像の系譜~眠狂四郎を中心に」
(2021年、講師:末國義己)
- 三井永一挿絵原画公開記念イベント・講演会「時代小説におけるヒーロー像の系譜~眠狂四郎を中心に」
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