令和4年度(2022年度)施政方針

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更新日:2022年10月7日

令和4年(2022年)第2回市議会定例会が開会され、石阪市長は6月2日の本会議で施政方針を表明しました。
ここでは、その全文を掲載します。

はじめに

2022年第2回市議会定例会の開会にあたり、施政方針を申し述べさせていただきます。
3月に開催された第1回市議会定例会におきまして、5期目の市政運営にあたっての所信を表明させていただきました。2022年度当初予算は、いわゆる骨格的予算であり、当面4年間における展望をお話させていただいております。本定例会におきましては、今回提案いたします6月補正予算を含め、2022年度に取り組んでいく主要な施策についてご説明いたします。
議員各位並びに市民の皆様のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

2022年度の市政運営の視点

それではまず、市政を取り巻く状況について、私の認識をお話します。
新型コロナウイルス感染症による社会経済の混乱、あるいはロシアによるウクライナへの軍事侵攻を発端とした国際関係の悪化など、昨今の情勢を見ますと、グローバル化やデジタル技術の進展は、生活の利便性を飛躍的に向上させた反面、ひとたびバランスが崩れると、私たちの日常に大きな影響を及ぼしてまいります。
国内においては、アフターコロナに向けた出口戦略に舵を切る局面を迎える中、追い打ちをかけるように物価が上昇しております。そして、このことは市民生活にも大きな不安を与えるものであり、状況を注視しているところでございます。
近年頻発している地震や、被害が大きくなっている風水害といった私たちにとっての身近な危機は、これまで通り消えておりません。この3月には、福島県沖を震源とする地震も再び起きており、市内でも大きな揺れを観測しました。これまでの教訓を踏まえますと、公助は当然ながら、災害への備えや減災という点からも、自助や共助といった役割の大切さを改めて感じております。
また、人口減少や少子高齢化は確実に進んでおります。特に少子化という点では、2022年4月1日現在における子どもの数は、前年に比べて25万人少ない1465万人で、41年連続の減少となり、過去最少となっております。こうした課題に歯止めをかけるため、国は2023年度にこども家庭庁を創設し、子どもの視点や子育て当事者の視点を基本姿勢に掲げて「こどもまんなか社会を目指す」としております。
今後、世界に類を見ない超高齢社会を迎える我が国にあっては、団塊ジュニア世代が65歳以上になる2040年が一つのターニングポイントであり、生産年齢人口や年少人口が減少し続けることで人口構造が大きく変わってまいります。
町田市の状況に目を向けますと、人口においては、昨年8月には初めて43万人を超えました。これは、コロナ禍を契機としたテレワークの普及により、居住地の選択肢が広がっていることも追い風となっております。また、これまで課題であった若者の転出も改善傾向にあり、年少人口の転入超過数は、2021年は政令指定都市を除いて全国第2位で、近年トップレベルを維持し続けております。
しかしながら、今後の人口推移は国同様の見通しであり、人口減少や少子高齢化といった社会的な課題には、一自治体として果敢に取り組んでいかねばならないと感じております。
この4月にスタートした「まちだ未来づくりビジョン2040」は、市民の皆様と共に作り上げた、まちづくりの新たな計画でございます。“子どもにやさしいまちは誰にとってもやさしいまち”との考えのもと、2040年に向けて子どもの視点でまちづくりを行うことを一番に掲げております。
すなわち、子どもの視点に立ったやさしいまちづくりは、あらゆる世代、あらゆる境遇の人にも配慮したまちづくりにつながり、まちから人、あるいは人から人へと、その思いやりが伝わって、拡がってまいります。その結果、こうしたまちには多くの人が集い、賑わい、まち全体が活性化して、更に多くの人に選ばれ続けるといったまちの好循環が生まれるものと確信しております。
一方、この新たなビジョンに基づいたまちづくりを行う上での市の財政につきましては、依然として厳しい見通しでございます。その中でも、町田市が賑わいのあるまちであり続けるための投資や、学校を始めとした公共施設の再編、行政サービスのデジタル化、更にはSDGsへの貢献や温室効果ガスの削減など、町田の未来をつくるためのいくつもの課題に対しましては、既存の価値観や慣例にとらわれずに、新たな価値を創造し、提供することで解決してまいります。
市民の生活を支え、また同時に未来への投資を実行することで生活の質の向上を実感していただく、このことが市の責務です。先行きが不透明な時代にこそ、未来に向けた明確なビジョンを描き、それを実現していくことが重要であると考えております。
町田市が10年後も、20年後も多くの方々に選ばれ続けられるような未来に期待や希望の持てるまちづくり、「なんだかんだ言っても町田が一番」と言われるまちづくりに、全力で邁進してまいります。

2022年度の主要な施策

それでは、2022年度の主要な施策について、4月にスタートした「まちだ未来づくりビジョン2040」に掲げる3つの「なりたいまちの姿」ごとにご説明いたします。

ここでの成長がカタチになるまち

1つ目は、“子ども”がキーワードの「ここでの成長がカタチになるまち」についてです。
子どもの成長過程において、自由に遊ぶことができる場所や、気軽に相談できる場所が身近にあり、子ども自身がそれらを選べること、そして、こうした場所で子ども同士や大人との関わりを通して成長していくことが何よりも大切であると考えております。
また、子育て家庭にとっても、安心して子育てできる環境や働きながらでも子育てできる環境が整っていることが、居住地を選択する上でも必須条件であり、今日、町田市が子育て世帯から選ばれている実績は、これまでのまちづくりの成果であると言えます。
そして、直近の成果といたしましては、この4月に市内3か所目となる病児保育施設として「南町田病児保育室じんべえ」を開設いたしました。更に先月には、子どもセンターぱおや、まあちに続き、3か所目として、子どもセンターつるっこに鶴川地域子育て相談センターを移転し、18歳までの子どもたちがいつでも相談しやすい環境を整えております。
今年度は引き続き、南地区に認可保育所を、小山田地区には小山田子どもクラブを、それぞれ2023年度の開設に向けて整備し、子育て世帯に選ばれる町田の強みを更に伸ばしてまいります。
居場所の充実に併せて、保育の質を高めることや、相談体制を整えていくことが大切です。
保育の質の向上にあたっては、専門的知識を有するコンシェルジュが市内の教育・保育施設を定期的に訪問し、助言を行うなど保育士をサポートしてまいります。また、保育士等が現場での困りごとを、法的な面からも相談できるよう、保育士サポートロイヤーを配置して、安心して保育に専念できる環境を整えてまいります。
次に、相談体制につきましては、現在、保護者に対しては妊娠期から子育て期まで、あるいは、子どもたちに対しては18歳まで相談できる体制を整えております。冒頭で申し上げた、こども家庭庁の創設に伴い、今後子どもを取り巻く相談支援体制のあり方も変わってくることが見込まれるため、動向を注視し、迅速に対応してまいります。
一方で、全ての子どもたちの健やかな成長を支援していくには、私たち大人がしっかりと子どもの基本的な権利を保障していく必要があります。保育や教育、保健、医療など様々な子育て施策を講じてきた中で、児童相談所は、市にとって必要な機能であります。
子どもの虐待は年々増え続けております。未来を担う子どもたちを守ることや、子育てに困難を抱える方々を一層支援していくという意味で、子ども家庭支援センターがより緊密に児童相談所と連携し、迅速に対応していくことが大切だと考えております。そのため、設置主体である東京都に対しましては、引き続き必要性を強く伝えるとともに、市内への設置に向けて協議してまいります。
併せて、子どもの権利に関する市主体の取り組みといたしましては、「(仮称)子どもにやさしいまち条例」の2023年度制定を目指して、検討してまいります。子どもたちの基本的な権利を明確に位置付けていくことで、町田市の代名詞「子どもにやさしいまち」を更に推進してまいります。

続いて、学校環境の充実についてです。今後の市立小・中学校で行っていく“まちだの新たな学校づくり”は、未来の子どもたちのための教育環境づくりを主眼とするものです。
もう少し具体的に申し上げますと、学区の再編や学校を統合し、一学年あたりの望ましい学級数を保つことで、学校運営や学級運営を円滑にすることができます。また、児童・生徒にとりましても、広い教室でICTを活用しながら子ども同士が話し合い、学び合う協働的な学習が活性化するほか、図書や視聴覚教材といったメディアを用いて学習できるラーニングセンターでは、多様な学習活動を展開できるようにするなど、教育の質の向上を図ります。
更には、学校と地域が協働する拠点をつくること、また、学校を地域活動の拠点としてより利用しやすい場所にすることで、大人が子どもの育ちを支えることはもちろん、大人自身も学び合えるなど、地域と学校だけでなく、地域と地域の新たなつながりを生み出していく場としてまいります。
2022年度は「町田市新たな学校づくり推進計画」に基づき、本町田地区、南成瀬地区、鶴川東地区及び西地区の統合新設校について、育てたい子ども像や学校統合時の教育的配慮、通学の負担軽減や安全対策などを盛り込んだ「統合新設校 新たな学校づくり基本計画」を策定するとともに、南第一小学校地区については、新校舎を整備するための「新たな学校づくり基本計画」を検討、策定してまいります。また、民間の力を教育活動の支援に生かすことで、教員と地域さらには民間が協働した教育活動の展開について検討してまいります。
また、中学校給食センターの整備につきましては、この3月に「まちだの中学校給食センター計画」を策定いたしました。
町田市の中学校給食センターは、「食を通した地域みんなの健康づくり拠点」を目指して、多様な民間企業の高い専門性と、柔軟な発想や事業展開力をつないで、中学生に魅力的で美味しい給食を届けるだけでなく、食をテーマにした健康づくり活動の提供など、多機能な活用による新たな価値を生み出してまいります。
これらを実現するために、町田市では初めてとなる、PFI手法を活用した、官民連携による給食センターの整備・運営に取り組んでまいります。

わたしの“ココチよさ”がかなうまち

続いて、なりたいまちの姿の2つ目は、“くらし”がキーワードの「わたしの“ココチよさ”がかなうまち」についてです。
暮らしの中で心地良さを実感するには、住環境として都市とみどりのバランスがちょうどよく、行きたい場所にスムーズに移動できる交通基盤が整っていることが欠かせません。そして、それらを新しく整えることや、今ある資源を上手に更新し続けることで、まちに新たな魅力を生み出して次世代に繋いでいく、このことが今を生きる私たちの責務であり、時代に即した心地良さを叶えていくための重要な要素でございます。
こうした中で、多摩地域を南北に結ぶ多摩都市モノレールの町田方面延伸は、町田が魅力あるまちであり続けるために必要不可欠な都市インフラでございます。
この1月にお示した延伸ルートが実現しますと、小野路・小山田地域をはじめ、木曽、山崎と沿線地域の交通利便性が向上するとともに、市内各地で住宅、商業、団地の再生、里山の活用など新たな需要が生まれてまいります。
併せて、これまで地域ごとに作られてきた「まち」がモノレールでつながり、それぞれの特徴に合わせて進化し、民間需要を誘発するきっかけとなってまいります。
特に、町田駅には、JRと小田急に続いて、モノレールの新たな起終点となる3番目の駅ができます。加えて、現在、駅周辺に分散しているバス乗車場を集約し、新たな交通ターミナルを整備することにより、多様な交通モードをつなぐ交通結節機能が更に充実してまいります。そして、人々の流れは、鉄軌道、バス、タクシーを結ぶ歩行者動線から中心市街地の商店街へつながり、芹ヶ谷公園“芸術の杜”パークミュージアムへと広がって、「歩きたくなるまちなか」となってまいります。また、駅周辺の市街地は、周辺市も含めたより広い範囲の核として、商業や業務施設をはじめとして、多様な機能が集積した都市拠点を目指してまいります。
これらを円滑に進めるためにも、導入空間となる幹線道路の新設・拡幅の都市計画決定について、東京都と連携しながら進めてまいります。
一方、2027年に開業100周年を迎える鶴川駅と、その周辺のまちづくりにつきましては、駅を中心とした再整備を、本格的にスタートいたしました。昨年度、整備工事に着手した北口広場と、区画整理によって新たに設ける南口広場、そして、川崎市域からの南口アクセス道路の整備により、駅周辺の交通環境を整えてまいります。また、南北をつなぐ自由通路からの安全で便利な歩行者ネットワークを形成することで、回遊性を高めてまいります。
次に、生活拠点に位置づく相原駅周辺におきましては、町田街道大戸踏切の立体交差化に伴い、東口の交通環境が大きく変わってまいります。これを契機として、駅東の交通ネットワークを再編し、東口へ至る新たなアクセス道路と駅前広場を整備することにより、交通環境を整えてまいります。また、駅の賑わいや拠点性を向上させるため、東口駅前街区の再編に向けた検討を進めてまいります。

誰もがホッとできるまち

なりたいまちの姿の3つ目は、“つながり”がキーワードの「誰もがホッとできるまち」についてです。
それぞれ考え方や生活環境の異なる人たちが、地域の様々な場面でつながり、多様な価値を認め合うことができれば、自分らしくいられる居場所を地域の中に見つけることができます。
地域における支え合いという観点からは、地域の困りごとの相談を受け、解決できる仕組みを改めて整えてまいります。
「8050問題」や「ダブルケア」など、地域の困りごとは複雑化・複合化していることに加え、困りごとを抱える方々と相談支援機関とをつなぐ役割を担う民生委員などの地域の担い手は不足しております。
こうした課題に対応するため、高齢者、障がい者、子ども、保健などに関わる複数の相談を、一か所でまとめて相談し、迅速かつ効果的に解決できるような相談支援体制を構築してまいります。併せて、地域の中に地域福祉コーディネーターを配置し、自ら声をあげることのできない、支援が必要な方々の元にも出向いてまいります。そして、地域団体等にも協力を仰ぎながら、一人ひとりの状況に応じて支援してまいります。
これらについて、まずは、モデル地区として相原地区、小山地区の2地区を指定し、2023年1月から取り組んでまいります。その後は、2025年度までに、市内の全10地区において段階的に体制を整え、市民の皆様が安心して地域生活を送れるよう支援してまいります。
そして、性の多様性を尊重するという観点からは、東京都が先行してパートナーシップ制度の導入を進めているところであり、町田市におきましても、当事者の皆様に寄り添い、安心して暮らせる環境につなげていくため、制度導入に向けた検討を進めてまいります。
一方、まちづくりを介したつながりの創出としまして、まずは、芹ヶ谷公園“芸術の杜”の整備がございます。町田市立博物館の「ガラス」や「陶磁器」といった貴重な収蔵品を引き継ぐ施設として(仮称)国際工芸美術館の整備を進めており、併せて「芸術の杜」という大きなテーマの中で、公園という市民に開かれた身近な空間が、多様なアートに親しむ入口となることを目指して、芹ヶ谷公園と国際版画美術館を含めた一体的な整備を行っております。
園内には、公園の案内や喫茶、工房といった機能を持つ施設を整備し、子どもから大人まで「アート」の楽しさや「創造」の喜びを体験できる場としてまいります。工房機能につきましては、本格的な版画制作の工房のほか、ガラスや陶芸の制作など誰もが気軽に利用できる施設としての検討を進めてまいります。公園という場所で芸術に触れ、体験を通して多くの人が出会い、つながり、そして新たな価値を生む場となることを期待しております。
園内にはさらに、公園内の高低差を解消し、来園者や地域の皆様にとってわかりやすく、自転車も利用可能なエレベーターの設置についても検討してまいります。今後も、地域の皆様のご理解をいただきながら整備を進め、「町田の公園と言えば芹ヶ谷公園」と言われるような、町田市を代表する公園にしてまいります。
次に、スポーツに関連するところで、市では、市民誰もがスポーツに親しめる環境をつくっております。
旧忠生第六小学校の健康増進関連拠点の整備におきましては、2026年度に体育館をオープンすることを目指して、周辺住民を始めとした市民の皆様の意見を聞きながら、民間事業者との連携を前提とした整備の検討を進め、スポーツを通じた健康増進を図っていけるような拠点をつくってまいります。
更に、次世代につなぐという切り口では、この1月には、町田市バイオエネルギーセンターが本格稼働いたしました。生ごみ等からエネルギーを回収する環境にやさしい施設であり、防災拠点、環境教育の発信拠点となる施設でもあります。
また、かねてから忠生地域の皆様と検討を重ねてきた循環型施設周辺のまちづくりにつきましては、この4月に健康増進温浴施設がオープンし、バイオエネルギーセンターで発生した熱エネルギーを利用しております。こちらにつきましては、「憩いと健康を育む、多世代ふれあいの湯」をコンセプトとしており、地域の皆様のホッとできる居場所を提供しております。
更に、忠生スポーツ公園の整備としましては、最終処分場池の辺地区において、様々な世代が目的に応じて使える広場の整備工事に着手し、2023年度に開園してまいります。
バイオエネルギーセンターを起点として、市域全体で温室効果ガスの排出削減を図るとともに、将来を担う子どもたちにSDGsの視点なども意識した環境教育を進め、「ゼロカーボンシティまちだ」の実現を目指してまいります。

最後に、誰もがホッとできるというところでは、自然災害にも対処できる強いまちになることが大事だと考えております。そのため、防災につきましては、これまで実施してきた自主防災リーダーの育成に加え、市民の皆様が防災に関する必要な知識を習得するための防災学習や、各種訓練を提供するポータルサイトを立ち上げてまいります。これにより「まなぶ」と「とりくむ」の2つのテーマに沿った様々なコンテンツを用意し、市民一人ひとりの防災に対する意識を高めるとともに、地域の結び付きを強め、防災力を高めてまいります。

みんなの“なりたい”がかなうまち

続いて、「まちだ未来づくりビジョン2040」に掲げる「行政経営の姿」である「みんなの“なりたい”がかなうまち」についてご説明いたします。
私は、この「みんなの“なりたい”がかなうまち」という言葉の背景には、どのような時代においても、人と人が出会い、つながり、協力して何かを成し遂げていく、そのように人が織りなすプロセス自体が固有の価値となり、人々に愛着や幸福感をもたらすという根幹的な考え方があると認識しています。そして、そのような機会を創出していくことこそが、今後の行政に求められる重要な役割であると考えております。
また、こうしたビジョンや背景といったものを経営手法や資源の観点で3つに整理し、とりまとめたものが「経営基本方針」でございます。
そして、本方針について、これまで述べてきた「なりたいまちの姿」を目指すまちづくりの施策と、経営改革に関する全ての取り組みに反映し、実行していくことで、「みんなの“なりたい”がかなうまち」を実現し、2040年という未来においても市民の皆様から信頼される市役所を目指してまいります。

共創で新たな価値を創造する

まず、具体的な内容として、基本方針1「共創で新たな価値を創造する」に関する主な取り組みは、「共創による地域社会づくりの推進」でございます。
「きょうそう」とは、「共に創造する」の「共創」でございます。昨年末、大盛況のうちに幕を閉じた「まちだ◯ごと大作戦18-20プラス1ワン」では、市民の「やりたい」ことの実現に向けて、市役所が一丸となって後押しをさせていただきました。今後も、町田に脈々と受け継がれている活発な市民活動や地域の取り組みにしっかりと向き合う“◯ごとマインド”を継承しながら、人と人が寄り合える機会を創出してまいります。こうした機会を通じて、様々な活動や取り組みに関わりたいと思う方々が自然と集い、つながりを深め、知恵やアイデアを形にしていく後押しを行うことで、皆様と共に地域社会を創り上げてまいります。

対話を通して市役所能力を高める

次に、基本方針2「対話を通して市役所能力を高める」に関する主な取り組みとしましては、行政のデジタル化の推進に向けた「事務事業の見直し」及び中核市との比較・対話による経営改革でございます。
まず、行政のデジタルトランスフォーメーションについては、町田市デジタル化総合戦略に基づき、行政サービスを「人手のかかるサービスデザイン」から「デジタルベースのサービスデザイン」へと変革してまいります。
具体的には、市民サービス向上の観点から、LINEなどのアプリを活用し、市民が市役所へ来る手間や、申請書を書く手間をなくし、「いつでも、どこでも」、スマートフォンで様々な手続を行えるよう、行政手続きのオンライン化を推進してまいります。同時に、市役所の生産性向上の観点から、AIやロボティクス、タブレットなどを活用し、業務を改善しつつデジタル化することで、より一層の省力化を図ってまいります。
これらを進めることにより、新たな施策の企画・立案や、相談・折衝など、人にしか担えない業務を充実させ、職員がやりがいを持てる環境を整えるとともに、市民サービスの向上につなげてまいります。
また、これまで市役所の生産性向上に寄与してきた、業務プロセスやコスト等の比較・分析に基づく業務改善手法である「自治体間ベンチマーキング」を踏まえ、今後は新たに「中核市ベンチマーキング」に着手いたします。実施にあたっては、全国の中核市と行政サービスや経営手法といった市政運営全般に渡る大きな視点で比較・分析を行うとともに、対話を行い新たな気づきを獲得することで市のポテンシャルや成熟度を高め、これまで以上に質の高い行政経営につなげてまいります。

次世代につなぐ財政基盤を確立する

最後に、基本方針3「次世代につなぐ財政基盤を確立する」に関する主な取り組みとしましては、企業版ふるさと納税制度のさらなる活用、そして「公共施設再編の推進」でございます。
まず、企業版ふるさと納税についてでございますが、本制度は、主に個人を対象としたふるさと納税とは異なり、市外の事業者を対象とする制度でございます。そしてこのたび、「まちだ未来づくりビジョン2040」のすべての事業を、本制度の寄附対象として位置付けることといたしました。今後、企業版ふるさと納税制度の活用に向けては、私をはじめ、市の職員が積極的なシティプロモーションを行い、これまで以上に多くの事業者を惹きつけることで、共に未来のまちを創っていきたいと思っております。
次に、公共施設の再編についてでございます。私は、公共施設のサービス改革を新たな価値創造のチャンスであると捉えております。これまでの目的ごとの建物や場所を起点としたサービス形態を見直し、利用者の目線に立ち、複数のサービスを掛け合わせた空間にリ・デザインすることで、誰にとっても利用満足度の高い公共施設に転換していきたいと考えております。
こうした考え方に基づき、2022年度につきましては、教育センターと子ども発達センターを中心とした、子ども関連の施設を一つにする複合化について、民間との連携を踏まえた基本計画を策定いたします。教育センターを複合化することで、幼児期から学齢期までの切れ目のないサポート体制を築き上げるとともに、この複合施設が立地する境川団地地区の魅力向上を目指してまいります。
これらの取り組みにより、2040年の「行政経営の姿」である「みんなの“なりたい”がかなうまち」を実現し、未来においても市民の皆様から信頼される市役所を目指してまいります。

2022年度補正予算

以上のような考えで編成した2022年度6月補正予算案の規模は、
一般会計、38億7004万円
特別会計、なし
合計、38億7004万円となり、当初予算と合わせると、
一般会計、1612億3523万円
特別会計、1305億3070万円
合計、2917億6593万円
となっております。
昨年度の当初予算と比べますと、一般会計では約7.3パーセント減、特別会計では約3.2パーセント増、合計すると約2.8パーセント減となっております。

むすびに

2022年度は、「まちだ未来づくりビジョン2040」の初年度であり、町田市の未来に向けた大切な1年目でございます。
2006年3月に市長に就任して以来、町田の未来をつくるために、私が最も大切にしてきたことは「すべての世代の方々に生活の質の向上を実感していただく」こと、そして、「市民目線で行政経営改革を進める」ことでございます。市政を担う、この任期4年にあたりましては、引き続き、この2つの志を抱きながら、真摯に、市政運営に取り組んでまいります。
そして、ビジョンの推進にあたっては、「町田市がどのようなまちを目指しているか」、「どのような方向性でまちづくりしているか」を市民の皆様に広くお示しし、共感をいただきながら、共にまちを創っていくことを基本姿勢としてまいります。
その上で、皆様との対話を通じて課題認識を共有し、丁寧にご説明しながら、着実に未来に向けた投資を実行してまいります。そして、多くの皆様に、将来にわたって、なんだかんだ言っても「町田に住んでよかった」、「町田で育ってよかった」と思っていただけるようなまちとしてまいります。
以上、2022年度の施政方針を申し述べさせていただきました。各取り組みを進めるにあたっては、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、改めてお願い申し上げます。ありがとうございました。

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