令和6年度(2024年度)施政方針

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更新日:2024年4月9日

令和6年(2024年)第1回市議会定例会が開会され、石阪市長は2月28日の本会議で施政方針を表明しました。
ここでは、その全文を掲載します。

はじめに

2024年第1回町田市議会定例会の開会にあたり、2024年度の施政方針を申し述べさせていただきます。
議員各位並びに市民の皆様のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
まず、施政方針の前に、昨年7月24日にご逝去された、町田市名誉市民の森村誠一氏へのお悔やみの言葉を申し述べさせていただきます。
森村氏は、日本を代表する推理作家の一人として、第15回江戸川乱歩賞を受賞した「高層の死角」や、ベストセラーとなった「人間の証明」など、数々の名作を生み出し、確固たる地位を築かれました。また、町田市民文学館ことばらんどの開館に際しては、開設準備懇談会の会長として尽力していただき、文学館の生みの親のような方であられました。町田市の文化・文学の発展に大いに貢献された姿は、広く市民に敬愛され、町田市の誇りとするところでございます。ここに故人のご功績を偲び、謹んで哀悼の意を表します。
また、先月の1月1日に起きた、令和6年能登半島地震におきましては、家屋等の倒壊や火災、津波、あるいは土砂崩れによって、甚大な被害が発生いたしました。亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、被災され、今なお避難生活を送られている方々にはお見舞いを申し上げます。町田市といたしましても、避難者の健康管理、衛生管理等のための保健師派遣や、災害派遣医療チームの派遣を行うとともに、住宅の提供や義援金の募集等を行っております。
被災された皆様にとりましては、一日も早く平穏な日々が訪れることを切に願っております。

2024年度の市政運営の視点

それでは、市政を取り巻く状況について、私の認識をお話しします。
感染症の流行や戦争、災害など、予想しえなかった出来事が、近年立て続けに起きております。また、人口減少や少子高齢化、あるいは地球温暖化などといった、これまでの課題に加えて、それらを起因とした複雑化・多様化した様々な社会課題が併せて進行しております。コロナ禍以降、社会的にも、経済的にも、更には政治的にも、先行きが不透明で、コントロールが利かない時代が到来し、かじ取りが難しい状況が露わになっているように感じております。
しかし、その傍らでは、それらの解決の糸口とすべく、ジェネレーティブAIをはじめとする、革新的なデジタル技術が、日々進化を遂げています。加えて、これまで以上に社会全体が、産学官の活動など、分野を横断した連携を進めており、“便利な社会”、“未来に期待や希望の持てる社会”に向かって推し進んでおります。
また、多くの企業が、コロナ禍の長い苦難を乗り越え、復調の兆しを見せております。国内のインバウンド需要はコロナ前の水準を取り戻し、観光地には多くの人が訪れています。市内におきましても、商店街が再び活気を取り戻し、地域活動は再起動するとともに、お祭りやイベントが全面復活するなど、確実にまちに賑わいが戻ってまいりました。
そして、私自身といたしましては、コロナ禍が明けて、“人と人とがつながり、一緒にいること、触れ合うこと”の大切さを再認識しております。印象的であったのは、昨年9月にオープンした忠生スポーツ公園での光景です。大きな空と、2ヘクタール近い芝生の広場では、子どもたちが、学校が終わったら家でゲームという遊びから、家に荷物を置いてすぐに公園で遊んでおります。そのほかにも、家族同士で交流する姿や、地域の方々が散歩や会話をする姿も見られ、あちこちで笑顔や笑い声が響き渡り、多くの人で賑わっております。こうした光景を目の当たりにすることで、“人としての幸せのカタチ”が戻ってきたことを実感いたしました。
「まち」だけではなく、「市民」を元気にするのが首長としての、私の責務であります。コロナ禍で密を避ける時間が長かったゆえに意識できなくなっていた、大切なことに気づくとともに、これまでまちづくりにおいて重視してきた“人と人とのつながり”こそが、これからの時代の新しい価値になるのではないかと考えております。

また、まちが元気であり続けるためには、その主役である多くの人に選ばれること、とりわけ、これからの時代を担っていく若い世代に選ばれることが肝要であると認識しております。
幸いにも、これまで国や東京都に先駆けて実践してきた“子ども視点のまちづくり”が評価された結果、昨年の0歳から14歳の年少人口の転入超過数は、全国約1700自治体の中で、政令指定都市を除いて第1位となりました。2年連続の全国第1位となり、町田市は多くの子育て世帯に選ばれております。このことからも、子どもを中心として、関わる大人たちのつながりを大事にしてきた、まちづくりの方向性は正しかったということを確信しております。
さらに、これからも選ばれ続けていくためには、人と人とのつながりを生む、人々が集まる魅力ある場所や空間を創っていくことも大事なことです。駅周辺や公園、公共施設など、先人たちが築いたまちが更新の時期を迎え、未来に向けたまちづくりが始まっております。高度成長期のように、まちが勢いよく成長できた時代とは異なり、限りある財源の中でも、社会状況の変化や未来のニーズを的確に捉え、利用者目線に即した公共空間の新しいカタチ・新しい価値を生み出していく必要があります。
これからのまちづくりのキーワードは、これまで述べてきた「人と人とのつながり」であり、もう一つは、「デジタル技術」であると考えております。今まで変えることができないと思われていた時間や場所などの制約は、デジタルの力で解消され、市民サービスの利便性も向上することがわかりました。こうした経験を踏まえ、産学官を始めとする多様な主体との連携や、オンライン手続きをはじめとした行政のDX、デジタルトランスフォーメーションを、より一層進めていくことが大切であると認識しております。
このような考えに基づいて、未来への投資を実行するとともに、未来を見据えた行政サービスを提供していくことで、次世代につながるまちの好循環をつくり、まちの魅力を高め続けてまいります。そして、昨日より今日、今日より明日と、市民の皆様が生活の質の向上を実感できるような行政経営を進めるとともに、人と人とのつながりを軸に、それぞれがお互いに支え合えるような地域づくりを進めることで、「なんだかんだ言っても、やっぱりまちだが一番」、と思っていただけるようなまちをつくってまいります。

2024年度の主要な施策

それでは、2024年度の主要な施策について、「まちだ未来づくりビジョン2040」に掲げる3つの「なりたいまちの姿」ごとにご説明いたします。

ここでの成長がカタチになるまち

まず、1つ目は、“子ども”がキーワードの「ここでの成長がカタチになるまち」についてです。
子どもたちの多様性や様々な育ちの環境を思いますと、一人ひとりが自分らしさをもって楽しく健やかに成長していくためには、子どもの多様な考えや行動をみんなが尊重し、保障していくことが大切です。それが、町田市の進める“子ども視点のまちづくり”であり、子どもの幸せを通じて、支える大人にとっても成長がカタチとなり、幸せを感じられるようなまちづくりを進めてまいります。
そして、その実践といたしましては、今年5月5日のこどもの日から「町田市子どもにやさしいまち条例」が始まります。子どもが幸せに暮らすことができるよう、子どもの権利を大人が保障することを定めた条例です。この条例をきっかけに、大人たちが、子どもたちのために何ができるのかを、真剣に考え、行動に移すといったように、意識を変えることができればという思いでおります。
あわせて、子どもたちの考えや行動を支える取り組みとして、昨年、「まちだ若者大作戦」を立ち上げました。高校生が子ども発達センターで療育を体験するプランや、サードプレイスがほしいと考える子どもの居場所づくりを行うプランなど、様々な作戦がスタートしております。今後も、子どもたちが自ら思いを伝え、自分たちの力で“やりたい”ことを実現できるよう行政が後押しすることで、市全体として「子どもにやさしいまち」の実現に向けた気運を高めてまいります。
一方、児童虐待の相談対応件数が増加の一途を辿る中、子どもたちが幸せに暮らし続けていくためにも、市の子ども・子育て支援機能と、東京都の児童相談所との連携がますます重要になってまいります。長らく東京都に働きかけておりました児童相談所につきましては、2025年度に市内への設置が決まりました。加えて、市といたしましても、この4月には、新たに「子ども家庭センター」を設置し、妊娠期から子育て期までの切れ目のない子育てサポート体制を整えて、安全・安心の基盤を一層強化してまいります。あわせて、児童相談所とも連携することで、子どもたちやその家庭が抱える問題への迅速な対応や、的確な支援につなげてまいります。
また、子どもたちが日々楽しく過ごす居場所を充実させていくことも、成長を支える大切な要素です。保育の場としましては、昨年に続いて、この4月に南地域の認可保育所を新たに1園開設し、子育て世帯の多い地域での保育環境の充実を図ってまいります。
2025年度の開館を目指している成瀬地区の子どもクラブにつきましては、建設工事に着手いたします。また、金井・薬師地区に予定している子どもクラブにつきましても、基本計画を策定し、建設に向けた準備を進めてまいります。

次に、子どもたちの学びの充実です。生涯を通して自ら学び続ける力を培い、未来を切り拓く力を育む教育を推進するため、2024年度から第3期の「町田市教育に関する総合的な施策の大綱」及び「町田市教育プラン24-28」をスタートさせます。
第3期の教育大綱におきましては、基本理念を「誰もが自分らしく未来を描き、叶えるまちへ」としており、子どもたちが自ら学び、考え、自分らしく未来を描いて、それらを叶えられるまちを目指しております。
そして、そのためには、学校に通うことが難しい子どもたちへの支援も、重要な課題であると認識しております。2024年度は、小山地域に教育支援センターの分室を開室するなど、教育支援センターの取り組みを拡充いたします。子どもたちの学びの場を確保することで、学校に行く子も行かない子も、安心して学べる町田の教育を充実させてまいります。
さらには、未来の子どもたちのための学校環境についても、引き続き準備してまいります。「まちだの新たな学校づくり」は、新たな教育環境を整備するとともに、教員が教育活動に専念できる環境づくりを進めることを、学校統合に合わせて実現する取り組みでございます。
2024年度は、本町田地区と南成瀬地区において、PFI事業者を決定し、新たに建設する小学校の設計を行ってまいります。子どもたちが、よりよい教育環境のもとで多様な考えに触れ、認め合うことなどを通じて、資質や能力を伸ばすことができる環境を整えてまいります。
また、学校における給食は、健康な心身を育むだけでなく、多様な食体験、食育の実践の場でもあります。中学校給食につきましては、現在、3つの給食センターの建設工事を進めており、今年9月の2学期から堺エリア、2025年1月の3学期から鶴川エリアで全員給食を開始いたします。町田忠生小山エリアと南エリアにつきましても、着実に給食センターの整備を進め、2025年度に全校での実施を目指してまいります。
町田市の給食センターは、美味しい給食の提供だけでなく、地域への食の提供や災害時における炊き出しのほか、川に面したカフェや屋上テラスの配置、多目的スペースを活用した食育講座の開催などといった各エリアの特性を捉えた事業を展開いたします。給食センターを複合的に最大限有効活用することで、地域の皆様にも、喜んでいただけるセンターにしてまいります。
町田市立小・中学校の給食費につきましては、食材価格の高騰に対応するために改定するとともに、2024年度の一年間、保護者の追加負担とならないよう、軽減してまいります。また、市立小・中学校に通う第2子以降の児童・生徒の給食費を無償化し、子育て世帯への支援、少子化対策を充実させてまいります。

わたしの“ココチよさ”がかなうまち

続いて、なりたいまちの姿の2つ目は、“くらし”がキーワードの「わたしの“ココチよさ”がかなうまち」についてです。
都心にも行きやすいアクセスの良さに加えて、市街地や駅周辺で「都会空間を楽しむ」ことも、緑豊かな丘陵地や公園で「自然空間を楽しむ」こともできるまち、それが町田市です。誰もが思い思いの過ごし方ができ、日常の中で居心地のよさを感じられる活気あふれるまちづくりを進めてまいります。
そして、まちの活気をリードするのは、何といっても町田駅周辺の中心市街地です。「商都まちだ」と呼ばれ、商業の賑わいで多くの人々を惹きつけてきた中心市街地は今、再整備・再開発の時期を迎えています。これからも多くの方々に「町田に行こう、町田で集まろう」と思っていただけるようなまちであるためには、商業の賑わいに加えて、「誰かと一緒に楽しむ・体験する」といった新しい賑わい、つまり、エンターテインメントの要素を取り入れたまちづくりが必要だと考えています。
町田駅周辺の再開発を推進するにあたっては、例えば、友達と映画を楽しむ、スポーツや音楽を楽しむ、そういったエンターテインメントのコンテンツを誘導していくことによって、住む人や訪れる人にとって、「この先の町田はもっと賑わっていく」といった期待感を持っていただきたいと思っております。そのため、まずはリーディングエリアとなる森野住宅周辺地区のまちづくりの検討を重ね、しっかりと方向性を皆様にお示しして、そのほかの駅周辺エリアの開発に向けた気運を高めてまいります。
また、駅から市街地、更には芹ヶ谷公園にかけては、賑わいが連続するような空間へと広げてまいります。原町田大通りにつきましては、歩道を拡幅し、休憩や飲食ができる滞留空間を整備するとともに、旧民間交番を新たな交流拠点として整え、人が主役の快適で居心地のよい通りにしてまいります。
この原町田大通りの先にあるのが、町田の自然と文化芸術に出会える芹ヶ谷公園です。いつでも、だれでも文化芸術が楽しめる、芹ヶ谷公園は、まさに多彩な町田の文化芸術が集積され、創造されていく要の地となる場所でございます。(仮称)国際工芸美術館につきましては、着実に整備を進め、多様なアートに親しめるとともに、賑わいあふれる魅力的なエリアにしてまいります。
加えて、2024年度は「(仮称)町田市文化芸術のまちづくり基本計画」を策定し、町田の文化芸術の今後10年間の方向性を示してまいります。文化芸術を通じて、ありのままの自分を表現できるようになれば、一人ひとりの心地よさをかなえるまちにもつながってまいります。こうした計画に基づき、文化芸術を一層推進していくことで、まちに彩りを加えてまいります。
さらに、多摩都市モノレールの町田方面延伸は、町田駅周辺を起点として新たな人々の流れを生み出す必要不可欠な都市インフラでございます。来月3月には、多摩市と共に「モノレール沿線まちづくり構想」を策定し、モノレールが走るまちの将来像や、その実現に向けたまちづくりの方向性、段階的な取り組みの方針を示してまいります。引き続き、東京都と連携を図りながら、モノレール延伸の効果を最大限に発揮できる沿線のまちづくりをより一層推進してまいります。
そのほか、再整備を進めている鶴川駅周辺のまちづくりにつきましては、今月2月17日に、北口交通広場の仮使用を開始いたしました。これを皮切りに、2024年度は南北自由通路と駅舎、駅の南口においては土地区画整理事業の整備を本格的に進め、安全で便利な交通と、快適で賑わいのある駅前空間を実現してまいります。
そして、鶴川駅を最寄りとする野津田公園につきましても、一段と魅力を高めてまいります。昨年、ホームタウンチームであるFC町田ゼルビアは、悲願のJ2優勝・J1昇格を果たし、まちは大いに盛り上がりました。そのFC町田ゼルビアのホームスタジアム、町田GIONスタジアムがある野津田公園は、サッカーと共に注目が高まる公園になると期待しております。今後、来場者も多く見込まれることから、円滑な移動や渋滞の緩和に向け、公園の周辺も含めて整備等を進めてまいります。
さらに、公園の中央、パークセンターゾーンにおきましては、2028年度のオープンを目指して、スケートパークの基本設計を仕上げ、自然の中で誰もがスケートボートやインラインスケート等のニュースポーツを楽しむことができるよう整備してまいります。加えて、子どもの遊び場などを段階的に整え、多様な遊びの要素や魅力を提供する空間としてまいります。

誰もがホッとできるまち

なりたいまちの姿の3つ目、最後は、“つながり”がキーワードの「誰もがホッとできるまち」についてです。
人それぞれに考えや個性があっても、お互いを尊重し、それぞれにできることを行う、このことを大事にすれば、年齢や障がいの有無などに関わらず誰もが自分の役割や活躍の機会を得られる共生社会をつくることができると考えます。温かい人と人とのつながりがあり、どこか懐かしいけれども新しさも感じられる包容力のあるまちづくりを進めてまいります。
そして、そのための土台づくりの一つといたしまして、本議会に「町田市障がい者差別をなくし誰もがともに生きる社会づくり条例」を提出しております。この条例を制定することで、すべての人が、障がいの有無にかかわらず、互いに人格と個性を尊重し合いながら共に生きる意識を高めてまいります。
加えて、多様性を認め合うという点で、2027年度のオープンを目指している「(仮称)町田木曽山崎パラアリーナ」は、ユニバーサルデザインを取り入れ、誰もが利用しやすいインクルーシブな施設に整備してまいります。身近にパラスポーツを「する」「みる」ことができる機会が増えることで、障がい者に対する理解が深まり、ひいては、すべての人がお互いの人権と尊厳を大事にしていけるものと考えております。
また、地域で安心して過ごしていくには、心身の健康あってこそであり、2024年度は、健康にまつわる計画として「まちだ健康づくり推進プラン24-31」と、「町田市いきいき長寿プラン24-26」の2つの計画がスタートいたします。「まちだ健康づくり推進プラン24-31」において、市民の皆様が健康で安心し、希望を持って生活できることを目指すとともに、「町田市いきいき長寿プラン24-26」においては、高齢者が住み慣れた地域でいきいきと暮らし続けられる地域社会の実現を目指してまいります。
さらに、安心した生活には、困りごとを抱えている方と支援者とをつなぐ地域の体制づくりも重要になります。先月1月には、鶴川地域に市内2拠点目となる「まちだ福祉〇ごとサポートセンター鶴川」を開設し、地域福祉コーディネーターを新たに配置しました。10月からは木曽地域・忠生地域に1拠点、更には高ヶ坂・成瀬・南地域においても1拠点、それぞれ地域福祉コーディネーターを配置し、市内全域での支援体制を順次進めてまいります。
最後に、市民の皆様の安全・安心の基盤となる防災につきましては、まちづくりにおける最重要テーマであり、地域における支え合いは、災害時にこそ大きな力になると考えております。能登半島地震が元日に起きたように、いつ起きるかわからない災害に対しましては、より一層備えを強化してまいります。
市では、2022年度に公表された東京都の被害想定を基に、避難施設別の避難者推計を行いました。そして、災害対策基本法の改正や東京都地域防災計画の修正を受け、現在、町田市地域防災計画の修正を行っております。この推計や計画に基づいて、民間事業者とも協力をしながら、避難施設や備蓄等の適正配置を実施し、更なる防災対策に取り組んでまいります。
また、鶴川地区をモデル地区といたしまして、避難行動に特に支援を必要とする方々の個別避難計画の作成を開始いたします。作成にあたっては、地域のハザードの状況やご本人の心身の状況を考慮して、計画作成の優先度を設定いたします。モデル地区での検証を踏まえて市全域に拡大することで、発災時に速やかな安否確認を行うとともに、避難支援をより実効性のあるものとしてまいります。
これまでの災害を教訓として活かすのが防災です。私たちには、幾多の災害を経験して培ってきた防災の知識や技術があります。まさかはあり得る、このことを一人ひとりが肝に銘じ、日頃からご家族、あるいは地域で話し、備えることをお願いするとともに、市といたしましても、まちづくりを通じて地域全体で見守り、支え合う絆を更に強固にしていくことで、災害に強いまちを実現してまいります。

みんなの“なりたい”がかなうまち

続いて、「行政経営の姿」である「みんなの“なりたい”がかなうまち」の取り組みについて、「まちだ未来づくりビジョン2040」に掲げる、3つの「経営基本方針」ごとに、ご説明いたします。
行政サービス改革と、経営基盤の強化を進めるにあたっては、市民目線と、比較の視点を大事にしながら、未来においても、市民の皆様から信頼される、持続可能な市役所を目指してまいります。

共創で新たな価値を創造する

それでは、まず、基本方針1「共創で新たな価値を創造する」についてです。
市民や地域団体、民間事業者等とのコラボレーションにつきましては、多様な担い手の対話の場である「The YORIAI」、人と人、人と組織がつながる「まちカフェ」、多様な人々が集まり、地域の課題解決を図る「まちだをつなげる30人」などの取り組みによって、地域のつながりが、広がってきております。こういった取り組みを通じて、人と人とのつながりの重要性が再認識され、地域が元気になってきた、と感じております。
今後も、市民・地域団体・民間事業者・大学・公的機関等がつながり、お互いの強みを活かしながら、地域の魅力を高めてまいります。特に、民間事業者とのコラボレーションにおいては、公共施設の整備などにおける、PFI手法の導入をはじめ、包括連携協定や、個別協定などの取り組みを進めております。加えて、市では、民間事業者の自由な発想による創意工夫や、ノウハウ等を活かした、新たな課題解決の手法として、いわゆる「民間提案」を推進するための、制度構築にも取り組んでおります。2023年11月には、都内初の取り組みとなる「伐採した街路樹の利活用」をテーマとして、民間提案を募りました。
2024年度は、このような事例も踏まえながら、公民連携をより一層推進し、自由な発想の提案を、民間からいただくため、「(仮称)町田市民間提案制度」を創設するとともに、専用相談窓口を設置いたします。そして、市と民間事業者が、それぞれの強みを活かしながら、優れた公共サービスを、効率的かつ持続的に提供してまいります。

対話を通して市役所能力を高める

次に、基本方針2「対話を通して市役所能力を高める」についてです。
市では、2021年度から、「町田市デジタル化総合戦略」を策定し、デジタル技術を活用した行政サービス改革を推進しており、「Tokyo区市町村DXアワード」の大賞を、2年連続で受賞するなど、各方面から、高い評価をいただいております。
行政手続のオンライン化については、手続数が250を超え、利用登録者数も6万3000人を超えました。2024年度は、更に手続数を拡充するとともに、増加する手続を探しやすくするため、オンライン行政手続ポータルサイト「まちドア」をリニューアルいたします。また、公共施設の整備や、維持管理のDXとして、オンラインでの施工管理や、検査を進めてまいりました。2024年度は、この流れを、道路や橋梁などの、都市インフラ施設の整備や、維持管理にも拡げ、活用してまいります。
市では、今後も“行政サービス改革、イコール、DX”であると捉え、ジェネレーティブAIなどの最新技術を、いち早く業務に取り入れ、市民サービスと、市役所業務の生産性の向上を図り、人に優しいデジタル社会の実現を、目指してまいります。
こうした行政サービス改革を進めるためには、私が最も大切にしている、市民目線と比較の視点を持って、市民ニーズを的確に把握することはもとより、職員は、入庁して早い段階から、重要施策の企画立案や、プロジェクトチームでの、中心的な役割を担う経験を、積むことが大切だと考えております。
一方で、生産年齢人口の減少に伴う担い手不足、雇用の流動化、ワークライフバランスの重視、といったように、働く環境や、働くことへの価値観は、大きく変化しています。
これらを踏まえ、2024年度は、職員育成の指針となる、新たな「町田市職員人材育成基本方針」を策定し、職員の成長を後押しするとともに、働きがいを高め、市民も職員も満足する、行政経営を進めてまいります。

次世代につなぐ財政基盤を確立する

次に、基本方針3「次世代につなぐ財政基盤を確立する」についてです。
少子高齢化に伴う、社会保障費の増加や、公共施設などの社会インフラの更新に伴って、財政負担が増加する中でも、将来に負担を残さず、未来への投資を行うため、経費の縮減や、財源確保へ向けた取り組みを、着実に進めていく必要があります。
このため、引き続き、市では、国や都の補助制度の積極的活用、ふるさと納税の、使い途や返礼品の拡充、中長期的な債券運用などによって、効果的な財源確保を行ってまいります。
また、公共施設の再編や、予防型の維持管理の実施などによって、公共施設のコスト削減と、サービス水準の維持向上を図ってまいります。
中でも、企業版ふるさと納税制度は、市外企業からの寄附を通じて、財源を確保する効果的な手段であり、あわせて、市のまちづくりの取り組みを応援していただくための制度であります。2023年度の寄附実績は、1月末時点で、19社から、合計で1000万円以上をいただき、前年度の10倍以上になっております。
2024年度は、FC町田ゼルビアのJ1昇格によって、町田市の名前が、全国に広がることを好機と捉え、私をはじめ、市職員が積極的なプロモーションを行うことで、更に多くの企業に、まちづくりの取り組みを知っていただき、共感の輪を広げてまいります。
また、公共施設の再編につきましては、2024年度は、いよいよ「(仮称)子ども・子育てサポート等複合施設」整備等事業において、事業者の公募を開始いたします。民間の創意工夫、アイデア、ノウハウ等を最大限に活用し、子ども・子育て支援を、切れ目なく受けることができる、施設を整備するとともに、地域に開かれた、日常的に使える、心地よい居場所の提供を、目指してまいります。
引き続き、民間とのコラボレーションを積極的に進め、人口減少と、少子高齢化の時代においても、将来にわたって、市民生活を支える公共施設を目指し、しっかりと検討を進めてまいります。

2024年度当初予算

以上のような考えで編成した2024年度当初予算規模は、
一般会計、1792億8243万円
特別会計、1335億5275万円
合計、3128億3518万円
となっております。
2023年度の当初予算と比べますと、一般会計では約6.4%増、特別会計では約1.2%増、合計すると約4.1%増となっております。

むすびに

市政の運営にあたりましては、2006年の市長就任から私が最も大切にしてきた「すべての世代の方々に生活の質の向上を実感していただく」こと、そして「市民目線で行政経営改革を進める」こと、この2つの志を常に持って臨んでまいります。
2024年度は、「まちだ未来づくりビジョン2040」と「町田市5ヵ年計画22-26」が3年目を迎えます。5ヵ年計画につきましては、折り返しの年となることから、まちづくり、あるいは行政経営のそれぞれの取り組みにおいて、ゴールに至るための次のステップにつながる重要な年であります。
コロナ禍以降、予測できない様々な社会変化が日々起こり続け、将来の予測が困難な“不確実性の高い時代”が到来しています。そうした中でも、引き続き、町田市に関わる多くの人々と、ビジョンに掲げる“なりたいまちの姿”を共有しながら、時流を捉え、スピード感を持ってまちづくりを推し進めてまいります。そして、多くの皆様に、将来にわたって、「町田に住んでよかった」「町田で育ってよかった」と思っていただけるまちにしてまいります。
以上、2024年度の施政方針を申し述べさせていただきました。各取り組みを進めるにあたっては、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、改めてお願い申し上げます。ありがとうございました。

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