平成24年度(2012年度)施政方針
2012年第1回市議会定例会の開会にあたり、新年度の施政方針を申し述べさせていただき、議員各位並びに市民の皆様のご理解ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
2012年度の市政運営の視点
少子高齢社会の進展にともない、国民健康保険、後期高齢者医療保険などの社会保障費が増加し続けており、保険料によって運営すべきこれらの予算に、毎年一般会計予算から多額の繰り入れをしなければならない状況にあります。国からの財源移譲が期待できない現状では、負担のあり方に関する議論は避けて通れない課題となっております。
また、2008年のリーマンショック以降、低迷を続ける経済状況は、雇用環境の悪化、所得の伸び悩みなど、市民生活に大きな影を落としており、市税収入も減少しております。
さらに、昨年の東日本大震災に端を発した放射能や電力不足などの問題が、わが国全体に大きな影響を及ぼしています。
このようなさまざまな状況の変化を踏まえ、昨年12月に、将来の町田市のあるべき姿を見据え、何を目標にどのようにまちづくりを進めていくのかを示す町田市基本計画「まちだ未来づくりプラン」と、その実行計画である「町田市新5ヵ年計画」を策定しました。
そこで、計画の初年度となる2012年度の市政運営の視点を「町田市の未来をつくる」とし、計画の実現に向けて着実な一歩を踏み出すよう全力で取り組んでまいります。
2012年度の重要な取り組み
それでは、新年度の重要な取り組みについて、ご説明いたします。
最初に、「まちだ未来づくりプロジェクト」についてです。
将来の町田市のあるべき姿を実現し、都市の魅力を高めるため、町田市基本計画「まちだ未来づくりプラン」の推進において先導的な役割を果たす未来づくりプロジェクトを設定しました。
この未来づくりプロジェクトは、
「地域社会づくりを基本とするまちづくりプロジェクト」、
「町田駅周辺の魅力を向上させるプロジェクト」、
「団地再生に向けたプロジェクト」、
「みどりを活用したまちづくりを推進するプロジェクト」、
そして「基幹交通機能を強化するプロジェクト」、
の5つのプロジェクトからなります。
未来づくりプロジェクトは、このまちの強みと、市民生活をより充実させるための要素とを結び、10年を超える長期的な視点に立って取り組みを進めます。
また、各プロジェクトでは、特に重要な取り組みを戦略として位置付け、目指すべき方向を明らかにしています。この戦略を軸に、関連するさまざまな事業を複合的に実施し、相乗的な効果を生み出すよう取り組みを進めていきます。
2012年度の重要な取り組みの2点目は、新しい市役所の開庁についてです。
本年7月17日の開庁を目指し、森野二丁目、町田市民ホール横に新しい市役所の建設を進めております。現在、10を超える民間ビルなどに分散している市役所の庁舎を1ヵ所に統合することで、利便性が格段に向上し、分庁舎の借り上げ料など、年間約6億円の経費削減効果が見込まれます。
新しい市役所では、1階ロビーで総合案内係が市民の皆さんをお迎えし、的確に分かりやすくご案内をするとともに、窓口間の連携を円滑にします。
また、優れた耐震構造を備え、防災・災害復興拠点としての機能も充実しており、市民の皆さんの安全を守る体制をこれまで以上に強化していきます。
さらに、市民協働のシンボルとして、市民の皆さんと市が協働で活動できるスペースでのさまざまなイベントや、花づくりを協働で行う屋上花畑などの取り組みを進めてまいります。
2012年度の重要な取り組みの3点目は、資源循環型施設の建設についてです。
一般廃棄物、いわゆる産業廃棄物を除いたごみの収集、運搬及び処分は市民生活に不可欠な事業であることから、市町村が行う事務と位置づけられ、市民の皆さんと協働で取り組むことが求められています。
町田市の清掃工場は、運転開始から30年が経過し、施設の老朽化が進み、毎年、多額の修繕費を要しており、新たな施設への転換が必要な状況となっています。また、環境面から見ても、現在の清掃工場から排出されているCO2を大幅に削減する必要があります。
そこで、一般廃棄物資源化基本計画に基づき、より効率の高い熱回収機能を備えた清掃工場と、プラスチックごみや生ごみなどを再資源化する施設について、その規模や機能および建設予定地を2012年度中に決定いたします。
2012年度の主要な施策
続きまして、新年度の主要な施策について、町田市基本計画「まちだ未来づくりプラン」の4つの「まちづくり基本目標」と「行政経営改革」に分けてご説明いたします。
最初に、「将来を担う人が育つまちをつくる」についてです。
核家族化や共働き世帯の増加、地域のつながりの希薄化などにより、子育てに対する親の負担感や孤立感が大きくなっています。
また、子どもたちが、夢と希望を持ち、将来、社会で活躍できるよう、確かな学力を身につけることや豊かな心と健やかな体をはぐくむことが必要です。
そこで、増加する保育ニーズに対しては、新たに20年期間限定認可保育園を4園開所して定員を410人増やすとともに、既存の保育園の建替えや増改築を行うなど保育環境の整備を進めます。
また、「小山中学校」を開設するとともに、大戸小学校と武蔵岡中学校を統合し、小中一貫校の「ゆくのき学園」として開校し、教育環境の充実に取り組みます。
さらに、子どもセンターの建設に忠生地区で着手し、子どもの活動拠点を充実します。また、中央公民館と市民大学HATSを「町田市生涯学習センター」として再編するとともに、鶴川緑の交流館内に「鶴川駅前図書館」を開設し、学びの拠点づくりを進めます。
2点目は、「安心して生活できるまちをつくる」についてです。
近年、食中毒や新型インフルエンザをはじめとする健康危機への対応が重要な課題となっています。
また、社会経済環境が急激に変化する中で、さまざまなストレスを抱え、心身の健康を害する人は少なくありません。
さらに、地域のつながりが希薄化し、助け合いが難しい状況となり、大規模災害などの非常時に十分な対応ができないことが危惧されています。
そこで、広域的連携を含めた、健康危機管理基本計画の策定を進めるとともに、心の悩みを気軽に相談できるゲートキーパーの養成に取り組むなど、心身の健康づくりを支援します。
また、9月には、鶴川駅前に「鶴川緑の交流館」を新設するとともに、忠生市民センター、成瀬センターなどの建て替えに向けた検討を進め、各地域の市民活動の拠点の充実に取り組みます。
さらに、住宅の耐震診断の促進や下水道施設の耐震化、雨水管の整備など、減災対策に取り組むとともに、防災センターや防災行政無線の整備など、災害時の情報共有の仕組みづくりに取り組みます。
3点目は、「賑わいのあるまちをつくる」についてです。
町田市は、都内でも有数の商業拠点として、市外からも多くの買い物客を惹きつけています。また、文化芸術活動やスポーツ活動も盛んで、著名な文化人やスポーツ選手を数多く輩出しています。
しかし、少子高齢化や近隣の商業集積地の台頭など、急激に社会経済環境が変化しており、これまで以上に町田市の強みを伸ばしていくことが必要です。
そこで、引き続き原町田一丁目地区のまちづくりの検討や、中心市街地や商店街におけるイベントの支援など活気ある商業空間づくりに取り組むとともに、ものづくり事業者の支援や企業誘致の推進など、事業活動をしやすい環境づくりに取り組みます。
また、開館25周年を迎える国際版画美術館での記念企画の実施や、新たな博物館、コンベンションホール整備の検討など、文化芸術に親しみやすい環境づくりに取り組みます。
さらに、2012年からJリーグの舞台で戦うFC町田ゼルビアのホームスタジアムである市立陸上競技場の整備を進めるとともに、ホームタウンチームと連携したスポーツイベントの開催など、身近にスポーツに親しむ環境づくりに取り組みます。
また、スポーツ祭東京2013の開催に向け、リハーサル大会やPR活動をはじめ、より積極的なシティプロモーションに取り組むとともに、小野路宿通りに観光交流センターの整備を進め、まちの魅力の向上に取り組みます。
4点目は、「暮らしやすいまちをつくる」についてです。
町田市は、交通の要衝としての利点を活かし発展してきました。
しかし、鉄道や国道などの交通インフラは主に市域の外縁部を通っているため、市域中央部への交通利便性の向上が課題となっています。
これに加え、圏央道の高尾山インターチェンジが今月中に開通し、2013年度には相模原市まで延伸されます。これにより、中央自動車道と東名高速道路が圏央道で結ばれ、市域周辺では人や物の流れが大きく変わろうとしています。そして、2027年にはリニア中央新幹線の駅が、相模原市内に開設される計画が公表されており、これらの広域交通網への市内からのアクセスを高める必要があります。
さらに、少子高齢社会の進展に伴う人口構造の変化や、住環境に対する多様なニーズ、環境問題への対応も重要となっています。
そこで、都市計画道路の整備や交差点の改良などに取り組むとともに、公共交通の利便性を高めるため、町田バスセンターの森野側ペデストリアンデッキへのエレベーターの設置や南町田駅、相原駅の駅前広場の整備に取り組みます。
そして、新しい市役所の開庁に合わせ、町田市民ホール前から町田第一中学校前までを結ぶ道路を相互通行できるよう拡幅することや、新庁舎外周道路の整備を行うことで、町田駅前通りをはじめとする周辺の交通を円滑にします。
また、緑道、街路樹など身近なみどりを充実させるとともに、薬師池西公園や三輪緑地などまとまったみどりの整備に取り組みます。
さらに、太陽光発電の促進や下水の汚泥処理施設における廃熱活用の検討など地球温暖化対策を進めるとともに、下水道の汚水管整備や鶴見川クリーンセンターに高度処理施設を増設するなど、河川水質のさらなる改善に取り組みます。
5点目は、「行政経営改革」についてです。
まず、市政運営の効率化と説明責任の充実と、的確な財務マネジメントを行うため、複式簿記、発生主義という企業会計の考え方を全国の市町村で初めて導入します。これにより、資産や負債といった情報や、現金支出を伴わない費用や人件費を含めた事業にかかる全ての費用の情報を把握する仕組みをつくります。
次に、国から自治体に権限を移譲する地域主権改革が進められています。町田市では、昨年4月に保健所政令市となり、東日本大震災に関連して起こった問題や食の安全に関することなどに対し、主体的かつ迅速に対応することができました。今後も、新たに移譲される権限を活用することで、より充実した市政運営を行ってまいります。
また、市の権限が拡大することで、これまで以上に市が責任を持って決定する領域が増えるため、マネジメントの強化や情報共有を充実してまいります。
そして、町田市基本計画「まちだ未来づくりプラン」と「町田市新5ヵ年計画」を着実に進めるため、庁内の組織を4月から一部再編し業務の執行体制を強化します。
以上のような考え方で編成いたしました2012年度当初予算案は、
一般会計、1,355億円、
特別会計、1,020億円、
合計、2,375億円、
となり、厳しい財政状況ではございますが、昨年度と同規模となっております。
むすびに
現在、東日本大震災からの復興に向けて、被災地をはじめ日本全体が一丸となって取り組みを進めております。町田市におきましても、職員の派遣や再生自転車の提供など被災地のニーズに応じた支援を引き続き行い、復興へ尽力してまいります。
一方、町田市では、市内経済の活性化や医療、福祉のニーズへの対応などの多くの課題に直面しております。これらの課題は市民と市が力を合わせなければ解決できないものです。
私は、こうした課題を解決するためには、市民の皆さんと情報や課題を共有し、共通の認識に立って議論を重ね、ともに行動することが大切であると考えております。そのため、市長就任以来、わかりやすい情報の提供を進め、情報、課題の共有の基盤づくりに努めてまいりました。特に町田市市民生活連絡会や各地域で開催している市政懇談会などの充実を図り、直接対話をさせていただく取り組みを重視しております。今後も、その基盤をさらに強いものとし、市民とともにまちづくりを進めてまいります。そして、市民、団体、事業者と協働して町田市という都市を経営する「市民協働型都市」を確立したいと考えています。
議員各位並びに市民の皆様のご理解、ご協力を賜りますよう重ねてお願い申し上げます。
以上、新年度の施政方針を申し述べさせていただきました。ありがとうございました。
このページの担当課へのお問い合わせ
政策経営部 企画政策課
電話:042-724-2103
ファックス:050-3085-3082