平成26年度(2014年度)施政方針

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更新日:2014年6月3日

はじめに

2014年第2回市議会定例会の開会にあたり、今年度の施政方針を申し述べさせていただきたいと存じます。
3月に開催された第1回市議会定例会におきまして私は、市長として3期目の所信を表明いたしました。この度は、今年度の主要な施策についてご説明申し上げ、議員各位並びに市民の皆様のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

2014年度の市政運営の視点

まず、市政を取り巻く状況について、私の認識を申し述べさせていただきます。

2012年12月の第2次安倍内閣発足以来、大胆な金融政策などの効果もあり、行き過ぎた円高の是正や株価の上昇による、企業業績の回復や、賃金・雇用環境の改善など我が国の経済指標は改善してきました。しかしながら、貿易収支の赤字や消費税率の引き上げの影響など経済の先行きに対する不透明感もあり、景気の回復の実感が広く行き渡っている状況ではありません。
町田市の財政に目を転じますと、リーマンショック前の2007年度と2014年度を比べると市税収入は3%の減となっております。一方で、生活保護費などの扶助費は雇用環境の悪化などの影響を受け、73.6%増と大きく伸びており、歳出全体の3割に達しています。国立社会保障・人口問題研究所の推計による町田市の高齢者人口は、2010年の9万2千人から2040年には14万4千人へと約1.5倍に増加することが見込まれており、今後も扶助費や国民健康保険事業等の特別会計への繰出金といった社会保障関係費は増加し続けることが想定されます。
もとより社会保障費の財源は、市のみで確保できるものではありませんが、今後とも生活の質の向上や商業等の活力を維持するために、課題解決に向けた取り組みを進めます。
そのためには、種まきをすること、すなわち将来に向けた投資が必要だと考えております。

2014年度の重要な取り組み

それでは、2014年度の重要な取り組みについてご説明いたします。
まずは5つの「未来づくりプロジェクト」についてです。
市の長期計画がスタートして3年目となる今年度は、それぞれのプロジェクトを具体化していきます。町田市は住宅都市であり、商業も盛んで、緑も溢れる多彩な姿を見せる都市です。それぞれの魅力を存分に発揮させ、さらに発展させるために、今までを準備段階とするなら、これからは実行段階、セカンドステージへと移行していきます。
それぞれのプロジェクトの名称は簡略化してお話させていただきますのでご了承ください。
「地域社会づくりのプロジェクト」では、私が就任当初から目指してきた市民協働型社会のひとつの形が具現化します。
地域で活躍している各種団体が相互に連携し、それぞれの特性を活かしながら、地域住民の生活全体を支えるための新たな組織「地区協議会」が小山地区に設立されました。また、さらに2地区でも設立に向けて準備、検討を進めています。
この取り組みを市内全地域に拡大し、市民と情報や課題を共有し、協働による地域社会づくりをさらに推し進めてまいります。
また「団地再生プロジェクト」でも、団地を含めた周辺住民の皆様との協働を進めております。
鶴川団地地区においては、「町田市鶴川団地の団地再生に向けた地域検討会」が、ワークショップなどを通して決定した、「多世代が一緒に住めるまち」を実現するための48の「アクションプラン」をまさしく市民協働で実行してまいります。
木曽山崎団地地区においては、本年3月に決定した「木曽山崎地区地区計画」に沿って、学校跡地の有効活用を図るため、町田消防署の移転先である旧緑ヶ丘小学校の解体工事に着手します。旧本町田西小学校及び旧本町田中学校の跡地においては、私立学校を誘致するための公募を行います。
さて、商業と住宅を中心とした都市として、これからも町田市が発展し続けるには、市の中心部、各副次核それぞれの地域の更新と機能向上が差し迫った課題となっており、未来に向けた投資を重点的に行わなければなりません。
「町田駅周辺のプロジェクト」では本年3月に「町田市中心市街地整備構想」を取りまとめました。
今後は、拠点、ネットワーク、土地利用などの具体的な整備内容を示した中心市街地全体の整備計画を策定します。それと平行し、関連する地権者の方などとともに、事業化に向けての検討を進めてまいります。
また、町田駅周辺の新たな賑わいを創出する中心的な存在となる、文化芸術ホールの整備に向けて「文化芸術によるまちづくり座談会」を開催し、施設のあり方を検討いたします。
町田市のみどりの拠点整備を進めていくための「みどりのプロジェクト」では、これまで、薬師池公園周辺及び、七国山周辺地域の魅力向上に向け、景観作物の栽培や園路整備、薬師池西公園の散策路整備などに取り組んでまいりました。
更に、この地域全体としての魅力をアピールするために、各施設が連携し、観光・レクリエーションの資源としての魅力を一体的に発信する新たな拠点施設整備に向けた基本計画を策定します。そこでは、地域情報の案内所やレストラン、地元農産物の直売所などを展開する予定です。
これらの多様な都市機能を支える基幹交通機能の強化のため「基幹交通機能のプロジェクト」を推進していきます。
5月26日に行われた町田市・相模原市首長懇談会においては、相模原市と共同で行った「小田急多摩線延伸実現化検討調査」の結果報告を踏まえ、3駅整備を前提に2027年までの小田急多摩線延伸を目指した取組を進めることについて、相模原市の加山市長と合意し、覚書を交わしました。
多摩都市モノレールの町田方面延伸の早期実現に関しましては、モノレールの導入予定空間となる小野路・小山田エリアの道路について、都市計画決定に向けた予備設計や自然環境調査に着手いたします。また、2013年2月に設立した「多摩都市モノレール町田方面延伸協議会」を構成する市内団体や関係機関の皆様と延伸に向けた取り組みを進めてまいります。
5月7日には国土交通省において交通政策審議会鉄道部会が開催され、東京圏における都市鉄道のあり方について諮問されました。今後、これらの路線の実現に向け、国や東京都などの関係機関に対し、要望活動などの働きかけを強力に行ってまいります。
また市民の皆様の重要な交通機関であるバス交通につきましてはバス路線網再編のための「町田市便利なバス計画」を策定し、幹線バス・支線バス網の構築に向けた取り組みを進めます。さらに町田駅前通りの3車線化や路線バス乗り継ぎ拠点の整備に向けた調査、検討を実施します。
公共交通不便地区対策としては、新たに玉川学園コミュニティバス「玉ちゃんバス」南ルートの運行を開始します。


「未来づくりプロジェクト」以外の2014年度の重要な取り組みでは、2020年度開設に向け、新たな資源循環型施設の整備を着実に進めます。
新たな施設の整備内容や周辺のまちづくりについては、リサイクル文化センター周辺地区、相原地区で既に活動が始まっている地区連絡会において、市民協働で進めてまいります。上小山田地区につきましても、地区連絡会設置に向け住民説明会を開催してまいります。
また、鶴間地区にあるごみ収集運搬の中継基地「リレーセンターみなみ」については、2年後に容器包装プラスチックの分別収集を市内他地域に先行して実施するため、プラスチック中間処理機能の追加のための準備と収集方法の検討を進めてまいります。

2014年度の主要な施策

続きまして、今年度の主要な施策について、町田市基本計画「まちだ未来づくりプラン」の4つの「まちづくり基本目標」ごとにご説明いたします。

最初に、「将来を担う人が育つまちをつくる」についてです。
今年度は、子育て世代から選ばれるまちを目指した新たな施策を展開することにより、町田市にとって子育て政策の元年とも言えるべき年にしたいと考えております。
現在、市民の皆様から居住地によっては「子どもの足で通える場所に子どもの施設が少ない」という声を多くいただいております。そこで、2014年度には、小山地区に子どもクラブを整備し、他の地域においても順次拡大してまいります。
子どもが「自分で自由に遊びを作る場」である「冒険遊び場」につきましては、年間を通して子どもが遊べる常設の「冒険遊び場」を芹ヶ谷公園に設置します。更に、市内の大規模な公園等に冒険遊び場を順次展開してまいります。
また、今年4月から、市内5地区に、「地域子育て相談センター」を開設しました。センターでは、専任の職員が、保育園にお子さんを預けていないご家庭の保護者からの子育て相談に応じています。
更に、「マイ保育園」も新たにスタートしました。近くの保育園を「かかりつけ窓口」として登録してもらい、遊びにきてもらう、行事に参加してもらおうというものです。
家庭での子育ての孤立化と不安の解消に積極的に取り組むことで、このまちの子育てのしやすさを次のステージに引き上げてまいります。
待機児童解消の施策については、保育所や幼保連携型認定こども園の整備、家庭的保育者の増員により、今年度に313人の定員増を図ります。
また、今年1月にオープンした「子どもセンターただON」に続き、2016年4月のオープンを目指し、町田地区の子どもセンターの建設に着手します。
学校施設の老朽化対応としては、施設の長寿命化と学習環境の向上を主眼として、昨年度から実施している中規模改修工事を新たに4校で実施します。また鶴川第一小学校につきましては、2016年度からの新校舎の使用開始を目指し今年度建替工事に着手します。


2点目は、「安心して生活できるまちをつくる」についてです。
町田市は、人口一万人あたりの刑法犯認知件数は、多摩地域の他市と比較しても低い数値となっています。しかし、治安が悪いと感じている市民がまだまだたくさん居ます。そうしたイメージを払拭するため、本年4月より町田警察署と共に、中心市街地の悪質なティッシュ配りなどの一掃に乗り出しました。
また、高齢になっても住み慣れた地域で安心して生活していける取り組みも進めてまいります。
地域における高齢者の見守り支援を行うため、町内会自治会による高齢者見守り支援ネットワークと、専門職による拠点としてのあんしん相談室の設置をさらに進め、体制の強化を図ってまいります。
高齢者の増加とともに認知症高齢者の増加も予想され、町田市内でも10人に1人が認知症高齢者になると推計されています。認知症高齢者を支援するうえで、軽度の段階に適切な受診をし、サービス等を活用することが、地域で暮らしを継続するために重要なことです。そこで、医師・看護師などの専門家チームが認知症初期の段階で集中的に支援を行う認知症初期集中支援チームを立ち上げ、見逃されがちな軽度の認知症高齢者を早期に支援してまいります。
また、現在建替をすすめている忠生市民センターは、地域活動室や交流スペースを新たに設置し、地域住民の様々な活動や交流の拠点として、2015年2月にオープンします。
成瀬コミュニティセンターは、1970年に竣工した旧小学校校舎を利用しているため、老朽化しており、またバリアフリー対応も不十分であります。そのため、2016年中のオープンを目指し、建替・改修に着手します。
次に、昨今のゲリラ豪雨や昨年度の大雪など予想を超える異常気象への対策が必要です。そのため防災行政無線の再構築、緊急輸送道路沿道の耐震化促進、下水道の重要幹線の耐震化や浸水被害軽減のため雨水管整備を行います。
更に、町田市が特許を取得した災害停電時に自動的に点灯する道路照明「消えないまちだ君」を市内各鉄道駅の周辺道路に整備します。


3点目は、「賑わいのあるまちをつくる」についてです。
少子高齢化や近隣の商業集積地の台頭など、様々な社会環境が変化している中でも、町田市が、多くの人を引き付けるまち、魅力を持ち続けるまちであるために、中心市街地の新たなまちづくりの検討や、新たなイノベーションを生む事業者を支援するため町田新産業創造センターの整備などを進めてきました。
本年5月3日に市庁舎跡地に整備した芝生広場「町田シバヒロ」において開催されたオープニングイベントには、3日間で1万5300人が訪れるなど市内外から多くの方が参加し、順調なスタートを切りました。
「町田シバヒロ」については、新たな賑わいの拠点として、年間を通して、スポーツイベントや見本市など様々なイベントを実施してまいります。
2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会には、東京に世界から多くの観光客が訪れることが見込まれます。
町田市のブランド力を高める上で大きな機会、チャンスとなることからキャンプ地としての招致活動に、全庁を挙げて取り組んでまいります。
2014年度は、サッカーやラグビーを中心に招致活動を行います。また、キャンプ地招致をPRするために、町田市立陸上競技場で多くのスポーツイベントなどを実施してまいります。
あわせて、2019年秋に開催されるラグビーワールドカップ2019の試合会場としても立候補する準備を進めております。
また、町田市がこれからも選ばれ続けるまちであるため、町田市の魅力を更に高め、市内外に効果的に発信するシティプロモーションを展開してまいります。
市制50周年記念事業の時から、町田市は都市のプロモーションに意識的に取り組み始めました。
あの時のキャッチフレーズは「あなどれません町田」でした。この「実は町田だって」から「私たちの町田だから」に、より積極的、前向きに町田市のシティプロモーションを進めるため、「まちだ自慢」推進計画を策定しました。
この計画に基づき、市民サポーターとともに積極的に情報を発信するなど、市民のみなさまと連携して魅力をアピールしていきます。また、「まちだ自慢」のロゴマーク「いいことふくらむまちだ」の活用方法のコンテスト開催などを通じ、ロゴマークの認知・関心・理解を高めていきます。市役所職員は当然ですが、町田市民一人ひとりが町田の自慢をしていただきたいと思います。


4点目は、「暮らしやすいまちをつくる」についてです。
町田市の周辺では、さがみ縦貫道路がまもなく全線開通いたします。また、リニア中央新幹線が、2027年に橋本に乗り入れを予定しています。
この様な新しい交通システムが生まれる時に、その交通拠点へのアクセスを確保しなければ、そこから生まれる便益を十分に享受できません。
そのためには、市内の道路網の拡充は欠かせません。国道16号の町田立体事業や、「多摩地域における都市計画道路の整備方針」いわゆる「第三次事業化計画」の着実な推進を、東京都とともに進めていきます。また、2015年度を目途に次期事業化計画の策定も行ってまいります。
また、町田市都市計画マスタープランで明記している副次核の整備も進めてまいります。
鶴川駅周辺街づくりの今後の取り組みとして、北口については、駅前広場の拡充整備に向けて小田急電鉄と協議を進めてまいります。南口については、「鶴川駅南側街づくりビジョン」に基づき、土地利用や道路などの具体的な整備内容の検討を市民協働で進めてまいります。
南町田駅周辺では、南の玄関口として、東急電鉄と協力しながら、賑わい拠点形成のためのまちづくりを進めてまいります。
多摩境駅周辺では、交通渋滞の解消のため、交差点改良を中心に車道の拡幅整備を進めてまいります。

最後に行政経営改革についてです。町田市では全国の市町村に先駆けて、複式簿記・発生主義による新公会計制度を導入し、270事業について事業別財務諸表をマネジメントに活用しています。この取り組みは全国的にも先進的であると評価され、本年2月、日本経済新聞社の「全国市区の経営革新度調査」において、784市区の中で、総合第10位の評価をいただきました。更に3月には、地方自治体の財政情報開示の優れた取り組みを表彰する早稲田大学パブリックサービス研究所の「パブリック・ディスクロージャー表彰2013」でも賞をいただいております。
2014年度は、この取り組みを更に推し進め、事業別財務諸表を事業評価やストックマネジメントにも活用の幅を広げることで、選択と集中による効果的・効率的な行財政運営を実践してまいります。

以上のような考え方で編成いたしました2014年度6月補正予算案の規模は、
一般会計、39億5424万6千円、
特別会計、1億480万円
合計、40億5904万6千円
となり、当初予算と合わせると、
一般会計、1399億5556万4千円
特別会計、1106億1252万4千円
合計、2505億6808万8千円
となっており、昨年度の当初予算と比べ、約6.8%の増となっております。

むすびに

市政を取り巻く環境が刻々と変化する中、市民の皆様に様々な行政サービスを提供するには、限られた財源で最大限の効果を発揮する必要があります。また、町田市が将来にわたり「住みたい」、「訪れたい」、「活動したい」魅力あるまちとして発展し続けるには、20年後、30年後に何が必要になるかをしっかりと見極め、未来への投資が必要となります。

様々な行政課題がある中、町田の未来づくり、未来への投資を行っていくのは平坦な道ではありませんが、町田市民にとって、より良いまちをつくっていくために、議員各位並びに市民の皆様のご理解、ご協力を賜りますよう重ねてお願い申し上げます。

以上、今年度の施政方針を申し述べさせていただきました。ありがとうございました。

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