平成31年度(2019年度)施政方針

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更新日:2019年2月25日

平成31年(2019年)第1回市議会定例会が開会され、石阪市長は2月22日の本会議で施政方針を表明しました。
ここでは、その全文を掲載します。

はじめに

2019年第1回市議会定例会の開会にあたり、2019年度の施政方針を申し述べさせていただきます。議員各位並びに市民の皆様のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

2019年度の市政運営の視点

まず、市政を取り巻く状況について、私の認識を申し述べさせていただきます。

厚生労働省の推計では、2018年に国内で生まれた日本人の子どもの数は92万1000人で過去最少となりました。2016年に出生数が100万人を切ったことが話題になったばかりですが、早くも90万人を割り込む勢いで少子化が進行しております。

町田市におきましては、近年、0歳から14歳の転入超過数が多く、子育て世代から選ばれるまちとなってきております。しかし、住民基本台帳における2019年1月1日現在の人口総数では、前年同月比でマイナス57人と市制施行後初の人口減少となりました。これは国と同様に出生数が少なく、亡くなる方が多い、いわゆる自然減の影響が大きいためであり、現在の人口推計では2040年には人口40万人を下回るという見込みがなされております。

このような状況の中、国は出入国管理法の改正を決め、外国人労働者の受け入れ拡大による生産年齢人口の獲得に動き出しました。人口に占める外国人の割合は加速度的に増加し、近い将来、市役所業務のあり方にも大きな転換が訪れることは明白です。

遠い話だと思っていたことが、実は既に起こり始めているという昨今の事態に鑑みると、やはり常に先を見据えた対応をとっていくことが大事であり、数十年先を目標としている公共施設再編の話などにつきましても、今のこととして考えていく必要があると改めて感じております。

2019年度は平成という時代が終わり、新たな時代が始まる節目となります。今、新たな気持ちで動き出すことで、町田市の未来を明るいものにしていかなければなりません。

幸いなことに、昨年の市制60周年から取り組んでいる、まちだ〇ごと大作戦18-20におきましては、90件を超える提案の応募があり、60件以上の事業が実施に至っているなど、町田市民や事業者の持つポテンシャルの高さが十分に証明されております。

また、7月にはオリンピック本番を想定した自転車競技ロードレースのテストイベントが、9月にはラグビーワールドカップ2019が日本で開催されることなどから、国際交流やビジネスのチャンスも数多く控えております。

活躍の舞台や役者は揃っております。この機会を逃すことなく、今こそ皆が一丸となって、輝く町田市の姿を、全国へ、そして世界へと発信していきたいと考えております。

2019年度の主要な取組

それでは、2019年度の主要な施策について、町田市基本計画まちだ未来づくりプランで掲げております、4つのまちづくり基本目標と3つの行政経営基本方針の視点からご説明いたします。

将来を担う人が育つまちをつくる

まず、1つ目の基本目標「将来を担う人が育つまちをつくる」についてです。

保育に関する施策では、これまで特に0歳から2歳児を対象とした小規模保育所等の整備を進めてまいりました。これにより、2019年4月時点の待機児童ゼロという目標の達成が見えてまいりました。目標達成とその状態の維持を目指し、今後は3歳以降の新たな保育ニーズにも対応した施設整備を行ってまいります。

また、市内2箇所目となる病児保育施設を町田地区に新たに整備いたします。併せて、保育施設での急な発熱等に対応する「病児保育お迎え事業」を開始し、幼児が病気になったときの保護者の負担軽減に努めてまいります。

子どもの居場所づくりとしましては、小山中学校区及び鶴川第二中学校区に子どもクラブの整備を行うとともに、南町田グランベリーパークに民間活力による子どもクラブを開設します。そして、小山ヶ丘の三ツ目山公園に市内4箇所目となる常設型冒険遊び場を整備するなど、子どもたちの豊かな遊び場を更に充実させてまいります。

「教育で選ばれるまちだ」を目標に掲げる学校教育に関しましては、変化の激しい時代を生き抜く力、これを子どもたちに育んでまいります。

まず、国際化を見据えたコミュニケーション能力の育成としまして、町田市ならではの英語教育「えいごのまちだ事業」を更に推進し、中学校へと取組を展開してまいります。これまで週4時間であった中学校の外国語指導助手の配置時間を週8時間に増やすとともに、「読む、聞く、話す、書く」の4つの技能を総合的に向上させるため、GTEC(ジーテック)という英語検定を導入・活用し、生徒自身の課題発見や教員の指導改善につなげてまいります。

また、柔軟な発想力を養うツールとして、ICT機器やソフトウェアを積極的に活用してまいります。大型提示装置による「一斉学習」をはじめ、タブレット端末によってグループの意見や考えを即時に共有し、対話や探求を促す「協働学習」、個々の学習進度や能力に応じた「個別学習」を効果的に使い分け、児童・生徒の学力向上につなげてまいります。

更に2019年度は、ICTを活用した、より効果的な教育プログラムを開発すべく、小学校2校・中学校1校を選定し、企業や学術機関と連携した「町田発未来型教育実証モデル事業」に取り組んでまいります。例を挙げますと、AIによって不得意科目を探り当て、一人ひとりの理解状況に合った教材を提供し、効果的な学習の定着を図る、このような個別最適化された学習支援モデルの構築などを目指してまいります。

教員の働き方改革に関しましては、授業の準備や事務の補助を行うスクール・サポート・スタッフ配置校の拡充や、学校給食費を市が徴収・管理する公会計化などを進めます。また、いじめや事故など学校で発生する様々な問題について、法的側面から早期に対応し解決を図ること、適切な法的知識の習得を図ることなどを目的に、スクール・ロイヤーを新たに導入します。

こうした取組を通じ、多忙な教員にかかる負担を軽減することで、教員がいきいきと子どもに向き合える環境を整備してまいります。

そして、小中学校の体育館への空調設備設置につきましては、2019年度から2021年度までの3か年で、全小中学校への設置工事を完了させ、児童・生徒の熱中症対策及び災害時の避難施設機能の向上を図ってまいります。

安心して生活できるまちをつくる

次に2つ目の基本目標「安心して生活できるまちをつくる」についてです。

多様化する地域課題の解決には、きめ細かな対応ができる地域活動団体の存在が不可欠です。しかし、活動資金や人材、情報の不足により団体運営そのものが難しい状況が散見されます。そこで、このような団体と住民や企業などとの橋渡し役を担い、活動の継続性や共感力を高めるための支援を行う町田市地域活動サポートオフィスを開設します。アウトリーチによる相談対応や各団体の魅力的な活動の紹介、団体運営のノウハウの提供などを行っていくことに加え、まちだ〇ごと大作戦をきっかけに生まれた地域のつながりや団体間の連携などが続いていくようサポートする役割も担ってまいります。

玉川学園コミュニティセンターの改築工事につきましては、今月末から着手する既存施設の解体に続き、2019年度からは、新施設の建設工事に取り掛かり、2021年5月のオープンを目指して整備を進めてまいります。また、(仮称)玉川学園前駅デッキにつきましても2021年2月の利用開始に向け整備工事に取り掛かり、コミュニティセンターへのアクセス向上と地域のバリアフリー化を図ってまいります。

高齢者福祉に関しましては、これまで進めてまいりました特別養護老人ホームの整備により、約9割の市民の方が申込から1年以内に入所できるようになりました。今後は、認知症高齢者グループホームをはじめとした地域密着型サービス施設の整備を重点的に推進してまいります。また、介護人材の確保、育成、定着の支援につきましては、潜在的な労働力をターゲットとした新たな人材確保事業を開始するなど、介護が必要なときに安心して利用できる環境づくりを進めてまいります。

そして、防災に関しましては、大雨などによる浸水被害を軽減し、安心・安全な市民生活の確保のため、雨水管整備工事を実施してまいります。地震対策では、避難施設となっている小中学校8施設にマンホールトイレシステムの設置工事を実施してまいります。

賑わいのあるまちをつくる

続いて3つ目の基本目標「賑わいのあるまちをつくる」についてです。

中心市街地における多摩都市モノレールの延伸は、町田駅周辺をリニューアルし、その賑わいを次世代に引き継いでいくための最大のチャンスです。従来のように、限られたスペースを大量の交通基盤で埋め尽くすのではなく、全体を大きな広場と見立て、その中に電車やバス、モノレールへの乗り換え口がある、新しい駅前にはそういう思考の抜本的な転換が必要だと考えております。

これを踏まえ、2019年度は、モノレールを迎える駅前空間の構成や機能配置等のあり方について、関係事業者と協働して検討を深めてまいります。また、道路空間や既存ハードを利活用して賑わいを創出すべく、その担い手となる都市再生推進法人を指定し、原町田大通りを使った実証実験などに取り組んでまいります。

芹ヶ谷公園芸術の杜につきましては、「芸術の杜」という大きなテーマの下、町田らしい多様なアート・カルチャーに親しめる場所として、また、まちなかから繋がる緑あふれるゆとりの空間として、より多くの方から愛される公園とするための整備に取り組んでおります。

豊かな自然や四季を感じることができるこの芹ヶ谷公園と、貴重なガラス・陶磁器を市立博物館から引き継ぐ(仮称)国際工芸美術館とを一体的に整備することで、芸術の杜の持つ魅力と個性の更なる向上を図ります。そして、まちなかに広がる多彩なアート活動とも融合し、他にはないまちの賑わいを創出してまいります。

続いて、町田薬師池公園四季彩の杜についてですが、2020年度の西園オープンに向け、ウェルカムゲート及び連節バスのバスベイ整備を進めてまいります。特にウェルカムゲートには、農産物や加工品など、町田の「農」を発信していく直売所機能を導入いたします。このため、これまで以上に市内の農業者との連携を深め、安全でおいしい町田産農産物を提供してまいります。

野津田公園スポーツの森につきましては、市立陸上競技場の観客席増設工事を進め、2021年のJリーグシーズン開幕までに新たに5000席の整備を完了させます。これにより15000席というJ1クラブライセンスの基準を満たすとともに、大規模なスポーツの大会にも対応可能となります。

同様に、スポーツ観戦という視点から、市立総合体育館のメインアリーナに大型映像装置を整備します。アマチュアスポーツからトップスポーツの大会まで、実況中継・リプレイ放映を可能とすることで、会場の一体感の醸成や感動の提供に役立ててまいります。

また、9月から11月にかけて開催となるラグビーワールドカップ2019では、ナミビア代表チームのキャンプを迎え入れ、選手と市民との交流の機会を設けるとともに、キャンプチーム応援のためのパブリックビューイングを実施してまいります。

東京2020オリンピック・パラリンピックに向けては、7月に自転車競技ロードレースのテストイベントが町田市を含む14市町村を舞台に開催されるため、これをきっかけに市民ボランティアの活躍の場を拡充してまいります。更に9月には、マラソン日本代表の選考レースであるマラソングランドチャンピオンシップが開催されるため、こちらについてもパブリックビューイングを実施してまいります。町田市出身の大迫傑選手、関根花観選手を応援するなど、2020年の大会開催に向けた気運醸成を図ってまいります。

そして、いよいよ南町田グランベリーパークがこの秋にまちびらきを迎えます。鶴間公園は新たな装いとなり、まちの中心部分であるパークライフ・サイトには、スヌーピーミュージアムをはじめ、まちライブラリーや子どもクラブなどが取り揃います。新しい商業施設も含め、子どもも大人も、地域の方も、まちを訪れる方も、誰もが自分にとって居心地の良い場所を見つけられ、何度でも訪れたくなる、そういうまちに仕上げてまいります。してまいります。町田市出身の大迫傑選手、関根花観選手を応援するなど、2020年の大会開催に向けた気運醸成を図ってまいります。

暮らしやすいまちをつくる

まちづくり基本目標の最後は、「暮らしやすいまちをつくる」についてです。

まず、鶴川駅につきましては、小田急電鉄による「鶴川駅アイディアコンテスト」が昨年行われ、200点を超える、夢あふれる思いが込められた魅力的な提案が集まりました。まちと駅とのつながり、楽しく集う駅前づくりなど、駅を中心とした新しいまちづくりへの期待が高まっているものと実感したところです。こうした新たな駅前空間の創出を目指し、駅の南北を結ぶ自由通路の基本設計に取り掛かるとともに、南口の土地区画整理事業について施行認可を取得してまいります。

また、鶴川駅前に新たな彩りをもたらすものとして、香山緑地について、その文化的価値をしっかりと活かした空間整備を進めてまいります。

次に、多摩都市モノレールの町田方面延伸についてです。

2018年度は、モノレール延伸の本格的な検討のための推進体制を整え、東京都等との計画協議を深めてまいりました。また、並行して、沿線まちづくりのキーマンとなる、交通事業者、大規模団地事業者、大規模商業施設の事業者などとの協議を重ね、協力体制を築いてまいりました。これにより、モノレール延伸を契機とした様々なまちづくりを誘発するための主要な顔ぶれが、今、揃いつつあります。町田市はその旗振り役として、町田市が目指すモノレールのルートや整備スケジュールを、市民や事業者の皆様に積極的にお示ししてまいりました。

2019年度は、この動きを加速させ、実施主体である東京都に対して、延伸の早期実現に向けた更なる働きかけを続けていくとともに、モノレールの開通を視野に入れた、バス乗り継ぎ拠点の整備や、連節バスの追加導入など、延伸の効果を最大限に発揮できる取組を、町田市から積極的に進めてまいります。

市民と問題意識を共有し、共に地域課題に取り組む

続いて、2019年度に取り組む行政経営改革について「行政経営基本方針」ごとにご説明いたします。

まず、1つ目の基本方針である「市民と問題意識を共有し、共に地域課題に取り組む」についてです。

私は、2017年度から、特に将来を担う子どもたちが市政に参画する取組を進めてまいりました。

これまでの取組を振り返りますと、2017年度は、「若者が市長と語る会」や高校生が評価人として参加する「市民参加型事業評価」を開催いたしました。これらの取組につきまして、2018年度には、世界各国で進められている「子どもにやさしいまちづくり事業」の日本展開を目指す日本ユニセフ協会から高い評価をいただきました。その結果、町田市は、全国で5自治体という限られた中の一団体として日本ユニセフ協会から委嘱を受け、「日本型子どもにやさしいまちモデル」の基準づくりのための検証作業を開始いたしました。

2019年度につきましては、高校生に評価いただく事業数を拡大し、市民参加型事業評価を開催いたします。また、長期的な町田市のデザインとなる次期基本構想・基本計画や都市計画マスタープランなどの策定に向けて、子どもたちが参画する機会を設け、子どもたちと一緒に町田市の将来を描いてまいります。

市民の期待にこたえられるよう、市役所の能力を高める

次に、2つ目の基本方針である「市民の期待にこたえられるよう、市役所の能力を高める」についてです。

2020年4月には、地方公務員法及び地方自治法が一部改正され、市役所に勤める臨時職員及び非常勤嘱託員の統一的な取扱いの枠組みを定めるものとして、会計年度任用職員制度が導入されます。この新たな制度により、現在、市で任用している臨時職員及び非常勤嘱託員の多くが、この会計年度任用職員に移行することとなるため、「町田市非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例」等、人事・給与関連条例の改正を行います。

この制度の導入の背景となっている「同一労働同一賃金」の考え方に照らし、正規職員は、事業の計画・評価や組織の管理運営などに注力するとともに、会計年度任用職員は、定型的な窓口対応や資料作成に特化するなど、役割を整理することで、最適な業務執行体制を構築し、更なる市民サービスの向上に努めてまいります。

いつでも適切な市民サービスが提供できる財政基盤をつくる

最後に、3つ目の基本方針である「いつでも適切な市民サービスが提供できる財政基盤をつくる」についてです。

昨年6月に策定いたしました公共施設再編計画を推進していくうえでは、イベント会場等、人が集まる場所へ赴き、公共施設再編の意義や必要性について周知してまいります。

また、町田駅周辺にある公共施設につきまして、複合化案の作成に向けた調査・検討を開始します。複合化案の作成に際しては、民間の資金や活力を取り入れる事業手法を検討いたします。

2019年度当初予算

以上のような考え方で編成いたしました2019年度当初予算案の規模は、

一般会計、1597億6060万8千円
特別会計、1121億108万円
合計、2718億6168万8千円

となっております。

2018年度の当初予算及び6月補正予算を合わせた金額の比較では、一般会計7.8パーセント増、特別会計0.3パーセント減、合計4.3パーセント増となっております。

むすびに

2019年度は、2022年度から始まる次期基本構想・基本計画の策定検討に本格的に着手します。

まずは、2040年という長期的な視点に立ち、町田市の将来像、なりたい未来の姿を描くことから始めてまいります。これらは市民の皆様とともに考え、つくり上げてこそ意味があると思っております。そのため、各地域にお伺いすることや、ご検討いただく機会が多々あるかと存じますが、その際は、是非とも忌憚のないご意見をいただきたいと考えております。また、そうしていただけるよう、あらゆる業務において、普段から皆様と円滑なコミュニケーションが取れる関係を築き、信頼される市役所を目指してまいります。

以上、2019年度の施政方針を申し述べさせていただきました。各取組を進めるにあたっては、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、改めてお願い申し上げます。ありがとうございました。

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