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広報まちだ掲載 立ち直りを支える人たち(インタビュー全文)

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更新日:2026年7月1日

立ち直りを支える地域のチカラ -再出発を見守る人たちの活動を知っていますか?-

過ちを犯してしまった人が、心から反省し、立ち直ろうとこのまちに戻るとき-。
あなたはどう思いますか。
町田市では、保護司を始めとした地域のボランティアが、立ち直ろうと努力する人を近くで支えています。

広報まちだ2026年7月1日号(1・2面)に掲載した記事のインタビューの全文を掲載します。
さまざまな形で更正を支援している5人の方にお話を伺いました。

「広報まちだ」PDF版はこちら

町田地区保護司会 会長 木目田 賢市さん

活動内容を教えてください

私たちは「保護司」として、法務大臣から委嘱を受け、罪を犯した人や非行少年少女の更生を支えています。具体的には、対象者との定期的な面談を通じて生活や就労の相談に応じ、再犯防止に向けた助言を行い、その状況を保護観察所に報告しながら社会復帰を支援します。
また、重要な職務の一つに「環境調整」があります。これは、刑務所や少年院に収容されている方が、出所後にスムーズに地域社会へ戻れるよう、あらかじめ住居の確保や家族関係の調整を行うものです。「環境調整」と聞くと少し難しそうですが、要は「刑務所や少年院を出た後の準備」のことです。本人が外に出た後に「どこで、誰と、どんな暮らしをするか」という受け入れ態勢を整える活動を指します。
実は、帰る場所が決まっていないと施設を出られないという決まりがあります。だから私たち保護司は、本人が出るずっと前、ときには数年も前から準備をスタートさせます。
具体的には、本人が帰住地として申請したご家族や知人の元へ直接伺って受け入れの相談をします。なお、頼れる方がいない場合には更生保護施設などが帰住地となる場合もあります。
こうして出所前から外の世界との「橋渡し」をしっかりしておくことで、本人が安心して社会に戻り、再犯を防ぐことにもつながります。地域で「おかえり」と迎えられる場所を用意するための、未来へつなぐ大切なバトンタッチのような活動です。
また、町田地区保護司会は、原則として町田市在住・在職の保護司で構成される組織です。犯罪予防のために市や関係団体と連携し、地域への啓発・広報活動に取り組んでいます。また、保護司同士の情報共有や研修の実施、保護観察所との連絡調整といった役割も担っています。

活動を始めた経緯を教えてください

保護司を始めたのは48歳の時です。町内会長を退任した直後、20歳ほど年上の先輩から「お前やれ」と声を掛けられました(笑)。正直なところ、当時、保護司については詳しく知らなかったのですが、話を伺う中で活動の意義に共感し、地域の一員として何か役に立ちたいという思いから始めました。

やりがいを感じるのはどんな時ですか

対象者が無事に社会復帰し、自立した生活を送れるようになることにやりがいを感じます。面談を重ねる中で信頼関係を築き、少しずつ前向きに変化していく姿を見られることにも大きな意義を感じます。その後、街中でばったり会った時に、元気にあいさつをしてくれる。それだけで「やってよかった」と思います。もちろん、全員がうまくいくわけではありませんが、根気強く向き合い続けることが大切です。

活動に当たって心掛けていることはありますか

対象者の気持ちに寄り添うことを大切にしています。自分の意見を押し付けるのではなく、まずは相手の話を傾聴することを心掛けています。その中で、相手が今何に悩み、何を希望しているのか、また生きがいや目標は何かを丁寧に聞き取り、理解した上で接するようにしています。

市民一人ひとりが日常生活でできることは何でしょうか

「地域のふれあい」です。犯罪のない明るい社会を築くためには、日常の小さな心掛けが大切だと思います。特別なことではなく、近所を歩いている時に声を掛け合う。そうした小さなコミュニティーのつながりの積み重ねが、孤立を防ぎ、犯罪を未然に防ぐ大きな力になります。また、日頃から身近な異変に気付く意識を持つことも重要だと考えています。
私たちの暮らす地域社会では、さまざまな方が地域住民のためにボランティア活動をされています。まずはそうした活動を知り、関心を持っていただければ、地域の力はきっと強くなっていくと思います。

町田地区更生保護女性会 会長 小山 典子さん

活動内容を教えてください

私たちは、更生保護活動に共感する女性と女性保護司で構成しており、現在、130人ほどの会員で活動しています。具体的には、更生保護施設「鶴舞会」での食事作り(カレーなど)や、少年院等への慰問などを行っています。また、東京更生保護女性連盟という東京都全体での活動にも参加しており、チャリティ活動を通じて資金を作り、施設へ寄付したり、タオルや古着を届けたりもします。
更生保護女性会は保護司会と「車の両輪」と言われています。保護司が対象者一人ひとりと一対一で向き合い、実務的な指導や助言を行う役割を担うのに対し、私たちは地域社会の側から「温かく受け入れる空気」を作る役割を担っています。専門的な「指導」と、地域での「寄り添い」という二つの支えが揃って初めて、対象者の方は安心して社会へ戻ることができるため、どちらが欠けても更生保護の活動は前に進みません。

活動を始めた経緯を教えてください

お寺の住職さんからの推薦がきっかけで保護司になりました。「30代の女性を探している」と言われ、最初は保護司の「ほ」の字も知らない主婦でしたが、家族からも「やってみなさい」と背中を押されました。振り返れば38年。活動を通じて多くの学びがあり、自分自身が成長させてもらったと感じています。町田市では、保護司を拝命すると同時に女性保護司は更生保護女性会に入会することになっています。

やりがいを感じるのはどんな時ですか

一般的なボランティア活動とは少し異なり、少年院や更生保護施設への慰問や行事への参加など、お互いに楽しく活動できることが励みになっています。彼らと同じ気持ちを共有することで、私たち自身も成長させてもらっています。日常では経験できない、人間としての深みを学べる活動だと思っています。

活動に当たって心掛けていることはありますか

対象となる方々を「犯罪者」という言葉で縛らないことです。私たちはあえてそういう呼び方はしません。どんな背景を持つ方であっても、一人の人間として抵抗なく、自然にお話ができるような「温かな受け入れの空気」を作りたいと考えています。
また、女性ならではの役割も意識しています。例えば、刑務所にいらっしゃる方の社会復帰に向けて保護司が「環境調整」を行う際、引受人となる方が女性である場合、男性保護司が一人で訪ねるのは難しい場面もあります。そうした時に当会の女性保護司が、女性の視点で寄り添い、安心感を持って相談に乗ることで、スムーズな調整をお手伝いできるのが私たちの強みだと思っています。
最近では、性別や過去の背景に関わらず、複数人で柔軟に支援できる体制も整ってきました。一人で抱え込まず、地域のみんなで一緒になって支えていく。そんなつながりを大切にしながら、これからも活動を続けていきたいです。

市民一人ひとりが日常生活でできることは何でしょうか

更生を試みる人を特別視せず、さりげなく「ご近所さん」として接することです。それが社会全体を明るくする第一歩だと信じています。また、近所に罪を犯した人が住んでいるかもしれませんが、その方を避けたり、排除したりするのではなく、地域のイベントに参加しやすい雰囲気をつくり、日常のさりげないあいさつで相手の心が癒やされます。普段通りのご近所付き合いをしていただきたいと思います。

町田BBS会 会長 上野 竜空さん

活動内容を教えてください

BBS(Big Brothers and Sisters Movement)は、日本BBS連盟を母体として都道府県や地区会が連携する組織体制となっており、青少年の更生や成長を支える活動をしています。
活動の1種である「ともだち活動」では、非行経験や生きづらさを抱える少年少女に対し、ボランティアメンバーである会員が兄や姉のような立場で寄り添い、継続的にサポートします。
また、地域の子どもや若者を広く対象とした健全育成活動では、町田市における子ども食堂の運営補助などを行います。
さらに、「社会を明るくする運動」への参加やSNSでの発信を通じて活動への理解を広める広報・啓発活動、会員自身がサポートする上で必要な専門知識を学び、地区会内などで知見を共有する自己研鑽活動なども行っています。活動や学びを通して、他地区会と交流させていただくこともあります。このように、BBS会は個別の寄り添いから地域全体への働きかけ、そして会員自身のスキルアップまでを包括的に展開しています。

活動を始めた経緯を教えてください

学生時代から、法的なアプローチでの課題解決に興味がありました。その過程で「保護司」という役割を知り、法務省の方にお話を伺ったところ、私の経験や年齢を考慮して、若者向けのボランティアであるBBS会を紹介してくださったことが始まりです。当時、町田BBS会は長らく休会中でしたが、私自身が町田市にゆかりがあるという地理的な要因などから「せっかくなら、自分でやってみよう」と数年前に再発足させました。学生時代の気の置けない友人などに声をかけ、活動を開始しました。その後、活動に関心をお持ちいただいた方にも参加いただき、現在は10名程度で活動しています。

やりがいを感じるのはどんな時ですか

青少年の方々からの声はもちろん、地域の関係団体である「町田地区保護司会」「町田地区更生保護女性会」「子ども食堂運営者」等の皆さんから感謝していただけることが大きなやりがいです。特に保護司の方々からは、青少年の対象者と年齢の近い私たちだからこそできる関わりを期待していただき、青少年と一緒に自然の中で清掃等を行う社会参加活動などのイベントに呼んでいただける機会があり、大変うれしく感じています。
また、活動を通じて自分自身が成長できることにもやりがいを感じております。仕事とは異なる視点で多くの方々、ひいては社会と関わることによって、自身の視野が広がっていることを感じておりますし、同じ志を持つ会員も同様のやりがいを感じていると思います。

活動に当たって心掛けていることはありますか

「立場の理解」を徹底しています。私たちは親でも教育者でもありません。物事の経緯ではなく、その方がどういう人柄なのか、何を考えているのか、気軽に会話するフラットさを大切にしています。
正しい方向へ向かえるよう「示唆」を出すことには努めますが、型にはまった「指導」をするわけではありません。共感を示しながら寄り添う「兄・姉」のような距離感を意識し、楽しく話すことを心がけています。

市民一人ひとりが日常生活でできることは何でしょうか

答えは一つではありません。私は完璧な人間ではないと自覚しており、私自身も答えを考えています。
ただ、特別なことではなく、皆さんがそれぞれ考える「良い、豊かだ」と思える生活を送り続けていただくことが重要だと考えます。私の場合は、「和をもって接すること」を意識しています。道を譲る、困っている人に声をかける、あるいは自分から助けを求める。そうした小さな調和の積み重ねが、誰にとっても生きやすい社会、ひいては犯罪のない社会につながるのではないかと考えております。

町田地区更生保護事業協力事業主会 会長 田形 剛さん

活動内容を教えてください

私たちは、犯罪歴があることを承知の上で彼らを雇用する事業主の集まりです。町田市では建設業を中心に約20社が加盟しています。すべての加盟会社で受け入れ実績があるわけではありませんが、協力事業主として、機会があればいつでも受け入れられるよう体制を整えています。働く場所があることは、更生において非常に大きな要素です。ただ雇うだけでなく、彼らが社会とのつながりを実感できるよう、職場環境を整えることに注力しています。

活動を始めた経緯を教えてください

当社がこの活動に関わるようになったのは、先代が協力事業主として活動していたことがきっかけです。その意思を引き継ぎ、地域社会への貢献や、人が立ち直る機会を支えることの大切さを感じ、現在も継続して活動しています。

やりがいを感じるのはどんな時ですか

弊社では外国人も多く雇用していますが、そこで培った「先入観を持たずに接する」という文化が、更生保護にも活きています。過去ではなく、今頑張っている姿を見て評価する。彼らが職場で頼りにされ、自信をつけていく姿を見るのは、経営者として代えがたい喜びです。また、更生保護の活動は、単に仕事を提供するだけではなく、一人ひとりが社会とのつながりを取り戻すきっかけになる大切な取り組みだと感じています。

活動に当たって心掛けていることはありますか

相手を先入観で判断せず、一人の人間として接することを大切にしています。また、無理をせず、継続して地域社会に貢献していくことが重要だと考えています。弊社ではまだご縁がなく実際の受け入れには至っていないのですが、協力事業主であることを明示しておりますので、社内での更生保護活動への理解促進など、受け入れ体制づくりを進めています。

市民一人ひとりが日常生活でできることは何でしょうか

「先入観を捨てること」です。過去に間違いを犯したという一点だけでその人を判断せず、一人の人間として、立ち直ろうとしている今の姿勢を温かく見守っていただきたいです。地域の中でお互いを気に掛ける意識が大切だと思います。
また、地域活動への参加や、あいさつ・声掛けなど、日常の小さな行動も安心できる地域づくりに繋がると思います。

更生保護施設 鶴舞会 施設長 小林 聡さん

活動内容を教えてください

「鶴舞会」は、身寄りがないなどの理由で出所後の住居が確保できない方を一時的に受け入れ、社会復帰を支援する施設です。当施設の母体法人は、隣接する「飛鳥病院(精神科・内科)」も運営しており、医療と更生保護が密接に連携している点に特徴があります。精神障害や知的障害、あるいは過去の虐待によるPTSDなどを抱え、夜も眠れないほど苦しんでいる対象者も少なくありません。医療と福祉の力を合わせ、一人ひとりに合わせた「居場所」を作っています。

活動を始めた経緯を教えてください

私は元刑務官です。長年、刑務所を「管理運営する側」として働いてきました。しかし、定年を迎え、今度は「出所した受刑者側」に立ち、その支援をしてみたいと。矯正職員としての経験や知識を生かすべきところは、更生保護以外にないと思い、自ら希望してこの世界に飛び込みました。最初は別の更生保護施設におりましたが、昨年秋から鶴舞会で働いています。

やりがいを感じるのはどんな時ですか

施設を出た人が、その後どういう生活をしているのか調査する術はありませんが、中には、退会後に施設に顔を出して、「現場の責任者として働いている」という報告をしに来たり、悩み事を相談してくれたりする人もいます。そんなとき、少しは社会の役に立っているのかなと思ったりします。
一方で、最近は「生きづらさ」を抱えた若者が増えています。親から虐待を受け、誰にも頼れずに育ってきた人です。そんな彼らが当施設で「安心して眠れる夜」を過ごせた時、寄り添い支援の第一歩が始まったと感じます。

活動に当たって心掛けていることはありますか

最も重要なことは、相手の気持ちに耳を傾けて、伴走するような形で寄り添い共に歩みながら、社会との接点を作っていくことです。親が良かれと思って子供に指図することが、本人にはかえって苦痛になる場合があるように、一方通行的な指導は避けるべきだと考えています。本人が「こうしたい」と願って努力しているなら、その意思を尊重することも大切です。支援者の役割は、本人が進みたい方向へ進めるよう、適切な道筋を整えることにあります。

市民一人ひとりが日常生活でできることは何でしょうか

「自分の街にいてほしくない」という排除の気持ちは、彼らを再び追い詰めてしまいます。皆さんの街で普通に働き、生活している「元受刑者」は意外と多いものです。彼らが地域に馴染めるよう、さりげない優しさで受け入れていただければ、それが彼らの更生の「根っこ」になります。彼らの「やり直したい」という意思を尊重し、社会への一歩を温かく見守っていただければと思います。