医療安全相談窓口によく寄せられる相談
診療を断られた
回答
診療を拒否する理由は、医師の不在や病気など医療機関側の都合もあれば、医療従事者に対する暴力・暴言等による業務妨害といった患者側の問題など様々です。医師法(歯科医師法)第19条では、診療に従事する医師(歯科医師)は、診療や治療の求めがあった場合には正当な事由がなければこれを拒んではならない、と明記されています。まずは、医療機関に診療できない理由を確認してください。
治療内容などを医師が説明してくれない
回答
医療法では、医師等の責務として、医療を提供するにあたり適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るように努めることが規定されています。医師等から説明がないとき、聞いたが内容が分からないときは、遠慮することなく説明を求めましょう。また、説明を聞いて疑問に思ったことや不安に感じたことはその場で伝えましょう。医師の説明を聞いたら、大事なことはメモを取るように心がけてください。あとから疑問や不安に思うことが出てきた場合は、質問をメモ書きし、次回の診察時に医師にメモを渡して聞いてみるとよいでしょう。
医師の言動に傷ついた
回答
医師の言動については、大部分は個人の資質によるところが大きく、法律上の問題には基本的になりません。医師や職員の対応に納得がいかない場合には、医療機関と話し合いをすることをお勧めします。相談方法は、病院内の患者相談窓口への相談、投稿箱への投稿、入院の場合は、病棟の看護師長に相談するなどがあります。
治療費の請求内容に疑問がある
回答
保険診療の場合、治療費は検査内容や疾患などによって診療報酬が細かく決められています。医療費の内容、請求額に疑問を持ったときは、医療機関の受付(会計窓口)などに遠慮なくたずねましょう。それでも納得ができなければ、加入している健康保険を所管している部署にお問合せすることをお勧めします。
注記:保険医療機関等及び保険薬局は、医療費の内容がわかる領収書を無償で交付することが義務付けられています。領収書が発行されなかった場合は、請求してください。
医療ミスではないか
回答
医療安全相談窓口では判断ができません。また、仲裁する権限も持っていません。治療行為等に過失があったか否かは、最終的には裁判所が判断することになります。まずは、医療機関から説明を受けられる場を設定し、話し合うことをお勧めします。法的な解決を希望される場合は、弁護士相談等をご案内いたします。
評判のいい医療機関を教えてほしい
回答
医療安全相談窓口では、病状に応じた特定の医療機関の紹介や医療機関の評価は行っておりませんので、こうした情報提供はできません。ご希望の地域の医療機関を検索し、ご案内いたします。
大きな病院から小さな診療所へ紹介された
回答
誰もが適切な医療を受けられるよう、それぞれの医療機関が持つ機能を有効利用する必要があります。大きな病院は、そこでしか行えない検査や入院が必要な患者さんを治療する役割を担っています。そのため、症状が安定した患者さんや経過観察に入った患者さんを地域の診療所などに紹介し、その診療所がかかりつけ医として日常の診察や健康管理・指導を引き継げるよう役割分担をしています。転院の勧めはあくまで主治医が患者さんの病状を踏まえて判断していることなので、疑問や不安があるときは主治医や病院(地域連携室など)に相談してみましょう。
病院から退院や転院するよう言われて困っている
回答
病院には、その機能により役割分担があり、精密な検査や治療、手術を要する可能性のある患者さんを短い入院期間で集中的に治療を行う急性期病院と、慢性疾患で長期に入院する患者さんや治療よりも介護やリハビリ等に重点を置き、介護力を強化した療養型病院に分けられます。
退院や転院の判断は、主治医が患者さんの病状を踏まえて判断しています。退院や転院に関して疑問や不安なことがあるときは、病院に相談してみましょう。また、転院先については主治医やソーシャルワーカー、病院の患者相談窓口、地域連携室などに相談してください。
差額ベット料を請求された
回答
差額ベット料を必要とする病室を特別療養環境室といい、この病室は健康保険適用外の費用となるため、医療機関によって金額は様々です。差額ベット料を徴収することができるのは、特別療養環境室への入院を、患者側が同意した場合に限ります。また、医療者側はその患者、家族に対し、病室の設備構造や料金等について説明し、患者側の同意を確認するために、同意書に署名を受けなければなりません。
注記:厚生労働省からの通知(令和2年3月5日 保医発0305第5号、15ページから16ページ)には、差額ベット料を徴収してはならない場合の基準が明示されています。この基準に該当すると思われる場合には、医療機関に相談してみましょう。
厚生労働省通知(令和2年3月5日 保医発0305第5号)(PDF・518KB)
治療費を払いたくない
回答
病院(診療所)に行って診療を受けることは「医療契約(準委任契約)」にあたります。医療契約は、病気を診察・治療させることであって、治癒する(治る)ことまで含まれていません。また、医療契約は患者が診察の申込みをし、医師が診察を開始したときに成立する「双方契約」ですので、医師と患者が互いに権利を有し義務を負います。つまり、医療行為を受ければ支払い義務が生じますので、病気が良くならないことを理由に支払い義務が免除されるものではありません。なお、後遺症が残ったなどとして、治療費の返還を求める場合は医療機関へ相談してください。
注記:医師の義務は、患者さんのために最善の治療を行うこと。患者の義務は、医師の治療行為に対して医療費の支払いを行うことになります。
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