ページ番号:356541801

2025年度研究成果 「住む」から「創造する」まちへの進化~持続可能なまち、町田へ~

このページの情報をフェイスブックでシェアします

このページの情報をXでシェアします

このページの情報をラインでシェアします

更新日:2026年4月17日

持続可能なまち、町田を目指す調査研究

「持続可能なまち、町田」を目指すためには経済の活力が必要不可欠であるという観点から、本調査では「企業誘致の可能性」と、それを可能にするための「大規模な土地利用転換のポテンシャルの探索」の視点から研究を行い、具体的施策の提言を行いました。
研究成果として、施策の方向性や実行イメージを示した『「住む」から「創造する」まちへの進化~持続可能なまち、町田へ』を作成しました。

『「住む」から「創造する」まちへの進化~持続可能なまち、町田へ~』研究報告会

研究成果の報告を行うため研究報告会を開催しました。
研究報告会では、未来づくり研究所からの研究報告のほか、基調講演として株式会社ザイマックス総研主任研究員の山方俊彦氏および学習院大学経済学部教授の西村淳一氏をお招きし、それぞれ「ハイブリッドワーク時代における変わりゆくオフィスの役割」「地域経済の活性化と市の役割、市の強みを生かした政策支援と官民連携のすすめ」というテーマでお話しいただきました。
また、山方氏、西村氏、市川所長によるトークセッションを行い、企業に選ばれるまちに向けた方策について意見交換を行いました。基調講演の動画を以下に公開していますので、ぜひご覧ください。

「住む」から「創造する」まちへの進化~持続可能なまち、町田~ 研究報告会を開催しました

調査研究の背景と目的

町田市は、生産年齢人口の減少、少子高齢化による税収減と社会保障費増加に伴い、財政悪化のリスクを抱えており、「まちだ未来づくりビジョン2040」や「町田市未来都市研究2050」では、収支不足や赤字自治体化の懸念が指摘されています。このため町田市は、「住む」中心のベッドタウンのあり方を見直し、企業活動等の活発化により高い付加価値を生み出す「創造する」まちへの進化を図り、持続可能なまちを目指す必要があると考えました。本調査は「企業誘致の可能性」と、それを可能にするための「大規模な土地利用転換のポテンシャルの探索」の視点から研究を行い、具体的施策の提言を行うことを目的とします。

調査研究の視点

持続可能なまちづくりには「経済・社会・環境」3要素の調和が不可欠ですが、経済の停滞は社会全体の活力を削ぐため、構造的な変革を促す最優先課題として「経済」に着目し、その取組の先に「社会」への影響が現れてくると捉えました。まずは都市発展の基盤を固めることに注力し、「環境」についてはその後の重要課題として段階的に取り組むこととしました。

持続可能なまちづくりに必要な「経済・社会・環境」の3要素の調和イメージ図です。

町田市における持続可能なまちの仮説

  • 町田市が目指す持続可能なまちの姿

将来にわたって市民が豊かさと活力を実感できる「持続可能なまち」の実現を目指し、その具体的な姿を「経済」と「社会」の2つの側面から定義します。これらは互いに深く関連し合い、好循環を生み出すことで、まちの持続的な発展を支える基盤となります。

  • 地域経済循環の強化とソーシャルキャピタルの強化

まず「地域経済循環の強化」を目標に掲げます。これは、地域内で生み出された富が地域内で循環し、さらなる経済活動を創出する仕組みを強固にすることを意味します。そして、市民同士の信頼関係やネットワークといった「ソーシャルキャピタルの強化」を目標に掲げ、市民がいきいきと暮らし、互いに支え合える豊かな地域社会を築くことを目指します。

  • 3つの視点から

目標達成に向け、「地域経済の活性化・拡大」「職・住・遊・協の融合」「多様な年代の維持」という3つの視点を重視し、その達成度を測る指標を明確にして、まちづくりを推進します。

町田市における持続可能なまちの仮説の体系図です。

企業誘致の業種分野の選定にかかる視点

町田市が持続的な発展を遂げるためには、職住近接を推進する企業誘致が喫緊の課題です。市内への企業誘致を検討するにあたり、「立地条件」「周辺住環境との両立性」「市内資源との親和性」の3点に注目しました。

市内への企業誘致を検討するにあたり、一つ目は交通等の立地条件、二つ目は騒音や景観への配慮といった住環境との両立性、三つ目は既存産業や教育機関との連携による市内資源との親和性の3点に注目しました。企業誘致を検討するにあたり注目した3点

誘致する場所と業種分野の検討

町田市は市内に大規模団地をいくつも抱え、いわゆるベッドタウンとして発展してきた一方で、企業による付加価値額が低いという弱みを抱えてきましたが、その理由の1つに場所がないことがあげられています。
折しも、進行中の駅前再開発においてオフィス床の整備の可能性や、団地再生といった土地利用の転換期にあり、新たな産業集積の受入環境が着実に整備されつつあります。こうした市内の物理的資源と、既存の企業・研究機関の集積という強みを掛け合わせ、業種分野を検討しました。

企業誘致するにあたり検討した業種分野
ライフサイエンス・健康関連産業市内には数社のライフサイエンス系企業の研究所が立地し、薬学系大学もあります。ライフサイエンス・健康分野は高齢化が進む町田市にとって、親和性の高いテーマであり、企業誘致にとどまらず市民の健康づくりも連動させながら取り組みたい分野です。
クリエイティブ・コンテンツ産業市内には町田新産業創造センターから巣立った映像企画会社や海外資本のアニメ制作会社などが立地する一方、複数の芸術系学校もあり、人材供給面で優位性があります。国際的に大規模スタジオが不足する中、都心に比べ市内の方が立地の余地があります。
スポーツ・ウェルネス産業多機能化・エンターテイメント化が進むスポーツ施設について、見る人以外も楽しめるランドマークを整備し、賑わいづくりと文化振興を図ります。また、市近隣には学生スポーツの強豪校が多数あり、スポーツ科学の研究拠点の適性可能性も考えられます。
教育テック・人材育成支援サービス少子化の進行により大学は社会人向け大学院やリカレント教育などを拡充していくことが予想されます。町田市は教育産業の事業所の割合が高く、学校統廃合で空き校舎も発生することから、教育分野のビジネスが成長する素地があります。
次世代モビリティ産業市内の団地で実証実験が行われた実績があるほか、市内大学で自動運転に関する研究の実績があります。路線バス減便が進む中にあって、次世代モビリティの普及は市民にとって希望につながる取組であり、市民ニーズにも合致します。
食品製造・物流センター主要幹線道路にアクセス良好で、都心と横浜方面双方に近いため、消費地を幅広くカバーできることが強みです。南多摩地域は、従業員を確保しやすいエリアとして認知され、労働集約型産業や、地方企業の都内進出の受け皿として可能性が高いと考えられます。
アウトドア・レジャー産業現在4車線化が進む尾根幹線沿線は、自然が残るエリアも多い状況です。自然に触れ合いリフレッシュできる環境は、町田市の市街化調整区域の活用の方向性として親和性が高いと考えられます。
スマート農業・都市型グリーン産業市内の異業種企業が技術連携により、高収量メロンの栽培システムを開発したり、市内の大学が陸上養殖でアワビの生育に成功した実績があります。

持続可能なまちのコンセプト

各種調査結果に基づき、町田市の優位性と産業との親和性を分析し、2つのコンセプトを導きました。

企業誘致における町田市の優位性とポテンシャル
産業親和性と戦略的優位大規模住宅地等のポテンシャル

町田市と親和性の高いターゲット業種

  • 重点ターゲットは、成長性と地域貢献度が高い「研究開発型・オフィス型」
  • ライフサイエンスやコンテンツ分野など、住環境と両立しやすく高付加価値を生む業種が有望
  • 市内の既存産業や芸術系学校との連携により、地域一体となったイノベーションが可能

大規模な土地利用転換のポテンシャル

  • 都心では困難な「まとまった敷地」を団地であれば確保が可能
  • 交通の利便性が高いエリアから順に、ターゲット業種に合わせた柔軟な用途転換の可能性
  • 土地利用の再定義により、新たな産業集積拠点としての競争力を創出

町田市の戦略的立地優位性

  • 都心(本社)と郊外(工場)を結ぶ中間地点という立地を生かし、研究開発機能の配置に最適
  • 良好な高速道路アクセス、都心に比べ安価な地価・賃料は、経済的メリットがあり競争力の源泉
  • 良質なオフィス環境として、緑豊かな自然に囲まれた職住近接の労働環境を提供可能

「職住近接」実現に向けた機能複合化の方向性

  • 単なる職場づくりではなく「職・住・遊・協」が一体となった環境を整備
  • 誘致企業に見合う住居と、地域が必要とするウェルネス・交流機能(医療・文化等)を統合
  • 生産年齢人口を呼び戻し、多世代が共存できる持続可能なコミュニティを再構築

コンセプト1「町田ガーデンオフィス構想」緑と創造性が息づく、新しい産業集積のグランドデザイン

町田市は、自然豊かな環境にありながら、交通アクセスや賃料等のコスト面に優れ、近隣大学等による人材確保のしやすさを備えています。都心と工場エリアの中間に位置することから、研究開発等のハブ機能としての可能性も高いと考えられます。また、近隣に映像関連産業の集積があり、国際的に大規模スタジオへのニーズがあるとされるのに対し、町田市は周辺環境やアクセス面でアドバンテージがあります。これらの強みを活かし、1つ目のコンセプトとして、良質な職場環境と生活環境が揃う「町田ガーデンオフィス構想」を掲げ、「町田リサーチハブプロジェクト」と「町田クリエイティブゲートウェイプロジェクト」の2つを提案します。

コンセプト2「町田スポーツイノベーションシティ構想」スポーツビジネスが集積する産業街区

町田市をホームタウンとするプロスポーツチームは、地域の誇りであると同時に有力な産業基盤でもあります。さらに近隣にはスポーツ強豪校も多く、スポーツとの親和性が高い地域といえます。近年、スポーツはデジタル技術との融合により、ビジネスの可能性を広げており、スタジアム周辺を拠点に、プレイヤーや観客、支援者が交流する新たな集積を促進することで、市民の健康増進にも寄与することが期待されます。これらを踏まえ、2つ目のコンセプトとして「町田スポーツイノベーションシティ構想」を提案します。

町田リサーチハブプロジェクト

都心と工場エリアの結節点に、緑豊かな環境と最新の研究開発機能を複合的に集積することで、企業の持続的な成長を支援。多様な企業や人材が集い、オープンイノベーションを創出するリサーチ・研究施設(ラボ)を核とし、充実した教育・住環境と連携した職住学近接のライフスタイルを実現します。ウェルビーイングを重視した新しい働き方を提案し、地域の高付加価値化と経済循環の強化を目指します。

町田リサーチハブプロジェクトのイメージ図です。実現することで、市内事業所数、市内で働く人、生産年連人口の増加等が期待されます。町田リサーチハブプロジェクトの持続可能なまちの姿

町田クリエイティブゲートウェイプロジェクト

コンテンツ産業の誘致とクリエイター人材の育成・定着を加速させ、クリエイティブ集積地の形成を図ります。映像スタジオや次世代のクリエイターラボを中核に据え、新たなコンテンツ制作の環境を創出。誘致したコンテンツ企業と地元企業・学校等の協業により新たな交流人口と域内消費を促進します。若年層の働く場と住まいを確保し、多様な人材が集うことで社会的活力を高める「職住学近接」の実現を目指します。

町田クリエイティブゲートウェイプロジェクトをイメージ図です。実現することで、若者の定着や企業間取引の増加等が期待されます。町田クリエイティブゲートウェイプロジェクトの持続可能なまちの姿

町田スポーツイノベーションシティプロジェクト

スポーツ、医療、健康科学を核としたウェルネス・イノベーションの複合拠点を形成。スタジアム・アリーナ、研究所、ウェルネスクリニックを一体的に整備することで、スポーツ産業や健康長寿産業の集積を促進します。新駅により集客力を高め、ホームタウンチームを中心とした多世代・多業種の交流を生み出します。これにより、地域住民のウェルビーイング向上と、新たなビジネス創出の好循環を目指します。

スポーツイノベーションシティプロジェクトのイメージ図です。実現することで、市内への投資増加、昼も夜もにぎわうまちになる、市民活動の活性化等が期待されます。スポーツイノベーションシティプロジェクトの持続可能なまちの姿

地域社会に与える効果

  • 町田市では事業用地の確保は常に企業誘致のボトルネックであったことから、ビジネス用地確保の選択肢として、大規模団地の一部活用を検討します。団地は、入居者の高齢化と建物の高経年化が同時進行しており、放置しておくとさらに状況が深刻化していく可能性があります。東京都内も人口減少が進む中で、これまでと同じ住宅用途の再開発の発想では持続可能とはいえません。
  • 企業誘致を起爆剤として、職住近接で良質な生活環境を提供して働く人の定住を促し、人口減少と高齢化の緩和を図ります。特に若い世代に選ばれる都市を目指し、これまでであれば市内で学生時代を過ごし、卒業後に市外へと転居していた若者が、卒業後も市内の企業で働き市内で暮らし続けたり、一度市外に転居しても再び市内に移り住んでくれるような都市を目指します。
  • 働く場所と住まいの近接により人材流出を防ぎ、地域内での消費や投資を最大化することで、経済的活力(稼ぐ)が社会的豊かさ(暮らす)を支える、自立的な好循環を確立させます。

持続可能なまちとして アップデートしていく姿のイメージ図です。行政の支援が土台となり、地域経済の活性化や拡大します。そして、職、住、遊、協の融合や多様な年代の維持に繋がります。持続可能なまちとして アップデートしていく姿のイメージ