広報まちだ2024年1月1日号 2024年新春座談会

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更新日:2024年1月1日

スポーツで“もっと”人とまちがひとつになる(全文掲載編)

広報まちだ2024年新春号では、スポーツをテーマに、第12回スポーツアワードまちだでグランプリに輝いた村上 輝さん、若い世代のアスリート代表として2023全日本ジュニアスキー選手権大会スキークロス(中学女子)で優勝した城戸口 芽衣さんをゲストに迎えて、石阪丈一市長と語っていただきました。
競技に向き合う姿勢や町田市との関わりに触れるとともに、次世代の子どもたちにエールを送ります。

対談者(左から村上さん、城戸口さん、石阪市長)

対談者プロフィール

村上 輝(むらかみ ひかる)さん

27歳。第106回日本陸上競技選手権大会男子砲丸投げ優勝、第12回スポーツアワードまちだグランプリ(陸上砲丸投げ)。「スポーツパークパートナーズまちだ(日本体育施設株式会社)」勤務。

城戸口 芽衣(きどぐち めい)さん

市立南大谷中学校3年生。「2023全日本ジュニアスキー選手権大会」フリースタイル競技・種目スキークロス(中学女子)優勝。全日本スキー連盟 2023/2024 シーズン スキークロス強化指定選手。

座談会全文

みんなを一体にする力がある

(以下、敬称略)
石阪 明けましておめでとうございます。村上さんは砲丸投げ、城戸口さんはスキークロスの選手として活躍されていますが、どのようなきっかけで競技を始めたのですか?

村上 陸上を始めたのは小学2年生です。小学校では砲丸投げはなかったので、短距離走や走り幅跳びをしていました。ところが、走るのが速いわけではなくて順位はいつも下の方。中学生になる頃には走るのがしんどくなっていました。そんな時に先輩たちが砲丸投げをやっている様子が楽しそうで、自分もやってみようと思ったことがきっかけです。砲丸投げが向いていたのでしょうね。肩が強いわけではないのですが、昔から力があったので、野球のように回して投げない砲丸投げの「突き出す力」が自分に合っていたのかなと思います。そこから何かが覚醒したのです。気持ちが前向きになって、勉強も含めて何事にも一生懸命取り組むようになりました。

城戸口 私が初めてスキークロスをしたのは小学3年生です。コースが常設されているスキー場に行った時に一回滑ってみたら楽しかったのです。試しに大会に出たらやはり楽しくて、そのまま始めました。スキークロスは複数の選手がすごいスピードで斜面を滑って、ジャンプ台やカーブなどの障害物をクリアし、最初にゴールした人が勝つという競技です。もともと負けず嫌いな私には合っていた気がします。

石阪 お二人が練習で力を入れていることや、普段心がけていることは何ですか?また、2023年の成績や手応えについてはいかがでしょうか。

村上 ウエイトトレーニングと、筋力が衰えないように維持をすることですね。普段心がけていることは、太らないように体重を維持することです。食事が大切で、食べ過ぎるとそれが筋肉ではなく脂肪に変わってしまうのです。増えすぎると、動けても膝が痛くなってしまい、減らしすぎても砲丸投げに耐えられない体になってしまいます。僕の中でベストな体重が128キロなので、この体重を維持するように心がけています。
2023年は、日本選手権で優勝することができて嬉しい反面、日本記録を目指していたこともあり、悔しくもあります。日本記録を切ろうと練習に励んだところ、怪我をしてしまい、後半は少し悔しい結果になってしまったシーズンでした。

城戸口 雪のないオフシーズンには、ピラティスやウェイクボードなどの体感を鍛えるトレーニングをしています。陸上にいるときでも、常に雪上で体を動かすことを意識してトレーニングしています。例えば、自分の体の筋肉や骨の位置を理解して、筋肉に働きかけるように意識した動きをして、自分の体に落とし込み、それを雪上で応用して使う、というトレーニングをしています。
 高校生になるまで公式戦がない想定でいたので、ジュニア選手権が開催されると決まった時は嬉しかったです。今まで自分がやっていることが正しいか分からなかったのですが、今回大会で優勝できたことで、やってきたことが間違いじゃなかったと証明できて嬉しかったです。

石阪 2023年は、村上さんが第12回スポーツアワードまちだグランプリを受賞、城戸口さんは大会優勝を受けて表敬訪問してくれましたね。お二人の活躍を見て、自分もスポーツを頑張ろうとか、スポーツを始めてみようと思う人も多いのではないでしょうか。また、スポーツをしている人にとっても、「あの人みたいになりたい」という気持ちが練習の原動力になりますね。昨年は、サッカーのFC町田ゼルビアがJ2で優勝してJ1への昇格が決定したり、フットサルのASVペスカドーラ町田も健闘して応援に熱が入りました。スポーツは明るい話題を提供してくれるし、市民の心を一つにする力がありますね。
私は学生時代サッカーをしていました。スポーツをすることで、一定のルールの中で頑張って力を発揮する、規律を守る意識が身につきました。これは人生の中で、学生でも、社会に出ても大事だと感じています。お二人がスポーツをしていて役に立ったことや、よかったことはありますか?

村上 みんなの憧れになる存在として、僕が中心となって頑張っていかないといけないな、という自覚が生まれましたね。

城戸口 友達や人と関わることが少し上手くなった気がします。関わる周りの人がみんな私より年上なので、そのおかげかなと思います。

誰もがスポーツを楽しめるように

石阪 ところで、町田市在住の村上さんと城戸口さん。町田の好きなところはどこですか?

村上 私は三重県出身ですが、大学の寮が町田にあって4年間過ごしました。居心地がよかったのでそのまま町田に住んでいます。駅の周りは賑やかで便利、でも少し離れれば故郷の伊勢市と同じくらい自然が豊かで落ち着くのがいいですね。

石阪 村上さんは、野津田公園を管理運営する「スポーツパークパートナーズまちだ」に所属し、野津田公園で勤務されているそうですね。

村上 野津田公園ではマレットゴルフの運営を担当しています。参加者からは「身近にアスリートがいないから村上さんに会うと元気が出る」と嬉しい声をかけていただいています。「ジュニア陸上教室」では講師を務めていて、陸上競技の基本「走る」「跳ぶ」「投げる」を教えています。子どもたちはいつも笑顔で元気いっぱい。「僕も村上コーチみたいになりたい!」なんて言われると、ますます頑張ろうって思います。
日本選手権で優勝した前年度は選手権で3番だったのですが、子ども達に「メダルが金じゃない」と言われて、僕の中で、来年は絶対金にしてやるからな、とぐっときました。指導者として、口で指導しているだけでは子どもたちは付いてこないので、来年は絶対金メダルを持って「コーチもやってやったんだぞ」と見本にならないといけないと思いました。

城戸口 町田で好きな場所は、自然や緑が多い薬師池公園や芹ヶ谷公園です。よくボールを持って妹といっしょに出かけて、ボールを蹴って遊んだり、遊具で遊んだりしています。じっとしているより、とにかく体を動かしているのが好きなのです。

石阪 城戸口さんは学業と競技を両立するために何か工夫をしていますか?中学校でバドミントン部にも所属していると聞きました。

城戸口 時間を意識して行動しています。1日のなかで勉強、部活、スキーとスイッチの切り替えをするようにしています。バドミントン部の練習は放課後、スキーのトレーニングは帰ってからするので、両立はそんなに難しくありません。

石阪 お二人とも、スポーツが人生や生活のなかにあって素敵ですね。町田市では、「スポーツで人とまちが一つになる」という理念を掲げて、スポーツを通じたまちづくりに取り組んでいます。その一環として、「(仮称)町田木曽山崎パラアリーナ」の整備を進めているところです。障がいがあってもなくても、みんなが同じようにスポーツを楽しめるようにすることが大事だし、パラスポーツをもっと知ってもらういい機会にしたいですね。

目標に向かって着実に前進を

石阪 先ほど城戸口さんが公園で遊ぶのが楽しいと言っていました。日常的に体を動かすのは健康にいいですし、子どもがスポーツ好きになることにつながるかもしれません。昨年9月に完成した忠生スポーツ公園には約1万5000平方メートルの広大な芝生広場があります。自由に走り回ったりできる場所を今後も増やしていきたいですね。

村上 私も体を動かすのが好きで、子どもの頃はよく近所の友達と鬼ごっこをしていました。でも、近くには公園がなかったので住宅街でやっていました。広々した公園で思いっきり鬼ごっこができたら、子どもはすごく楽しいでしょうね。

石阪 さて、2024年はパリオリンピック・パラリンピックがあり、スポーツがますます注目されます。まずは村上さん、お二人の今年の目標を教えてください。

村上 まずは自己ベストの更新です。そして、日本記録ですね。日本記録は18メートル85、私の自己ベストは18メートル29です。29を投げた時に日本記録に手が届く手応えがあったので、あともうちょっとというところです。
海外の選手が挙げているウエイトトレーニングとほとんど変わらない重量をトレーニングで挙げているので、パワーには自信があります。これからは冬季練習に励んで、来シーズンに向けて頑張っていきたいと思います。

石阪 砲丸投げをする上で、影響を受けた出来事などはありますか?

村上 私が高校1年生の時に、熱中症でライバルを亡くしました。この出来事が大学の進路や実業団に行くきっかけになりました。元々大学に進学する予定ではなかったのですが、ライバルのご両親から、その子の代わりに大学に行って活躍してほしいという言葉をもらって、私の進路が変わりました。

石阪 城戸口さんの今年の目標はいかがでしょうか?

城戸口 今年の目標は、スキークロスで全日本ジュニア選手権の2連覇。アルペンスキーもやっているので、アルペンでは全国中学校スキー大会、ジュニアオリンピック出場を目指します。
前回のアルペンでは5、6ターン目で失敗して、コースアウトしてしまいました。それが悔しくて、今年こそは全国大会に出場したいと燃えています。

とにかく、やってみることが大切!

石阪 城戸口さんは失敗してもへこたれないで、前を向いて進んでいて、実に頼もしいですね。
町田市では、そんな未来ある子どもや若者が輝くための支援に力を入れています。その一つとして、昨年12月に制定して、今年5月からスタートする「町田市子どもにやさしいまち条例」があります。これは、子どもが幸せに暮らすことができるよう、子どもの権利を大人が保障することを定めた条例です。簡単に言えば、子どもたちは声を上げて自分の気持ちや意思を自由に伝えてみよう、そして大人たちはその実現に向けて子どもたちを支えていこうというものです。
城戸口さんは子どもたちや、同年代の若者たちにメッセージはありますか?

城戸口 スキークロスの動画を友達に見せると、「危ない」とか「怖い」と言われるのですが、一回体験してみるとすごく面白いのです。だから、とにかくやってみることが大切なのかなと思います。それから、ゲームもいいけどたまにはスポーツをして体を動かそう!

石阪 村上さんから、人生の先輩として、子どもや若者に向けたメッセージやエールをお聞かせください。

村上 これから山あり谷あり、いろんな壁にぶち当たると思いますが、自分の夢に向かって、諦めずに頑張ってほしいですね。それから今、世界で戦争や紛争などが起こっていますけど、武器で戦うのではなくて、スポーツで戦ってほしいです。

城戸口 私も、スポーツを通してお互いに理解できればいいのになって思います。

石阪 お二人のお話を伺って改めて思うのは、スポーツは人と人の心を結びつけたり、自身の成長のきっかけになったりするということです。だからこそ、年齢や障がいの有無に関係なく、どんな人にも、どんな環境にあろうとも、みんなにスポーツを楽しんでもらいたい。年だからとか、運動が苦手だからと言わないで、まずはやってみること。
これからも町田市では、子どもや若者の意見を取り入れ、チャレンジを支えるまちづくりを行ってまいります。本日はありがとうございました。

~終~

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