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自由民権資料館 2024年度企画展
回セ!地域経済 ―江戸・明治の町田の金融史ー
武相銀行久保沢出張所の木箱 明治16(1883)年1月 当館「相原町・青木家文書」
新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、各種のメディアを通じて“経済を回す”というフレーズをよく耳にするようになりました。そこでは、“経済を回す”とは、人びとが積極的にお金を使うことによって需要を回復させ、市場機能を活性化させる、という意味として使われている場面が多いように思います。しかし、実際に“経済を回す”とは、どういったことなのでしょうか?
私たちの暮らしは、日々の生産活動によって作られる財(お金、もの、情報、サービスなど)を交換することを基本にしています。一人一人が生み出す財を交換することによって、一人の力では達成することができないような豊かな暮らしや社会をかたち作ってきました。そうした財の交換という活動を安定的に、また、広域的に行うには、社会や政治の支えが必要になります。反対に、社会や政治が私たちの暮らしに大きく影響をおよぼすこともあります。
「経済」という言葉は、「世の中を治め、人びとを苦しみから救う」という「経世済民」を語源にしています。地域経済の歴史とは、地域に生きる人びとの暮らしを少しでも良くしていこうという営みの歴史とも言えるでしょう。そして、今もなおその営みは続いており、時代とともに少しずつ変化し続けています。
本展では、近年私たちに身近になった“経済を回す”というフレーズを入口にして、幅広い経済活動のなかでも、お金を貸したり借りたりすることによって人びとの暮らしを支えた金融業の歴史や活動に注目しながら、お金をめぐる・お金がめぐる地域経済の歴史の一端をご紹介していきます。本展をとおして、一筋縄にはいかない経済のなかで生きてきた町田市域の人びとの歩みを知っていただき、地域の歴史により一層の理解を深め、関心を持っていただければ幸いです。