平成28年度(2016年度)施政方針

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更新日:2016年3月1日

平成28年(2016年)第1回市議会定例会が開会され、石阪市長は3月1日の本会議で施政方針を表明しました。
ここでは、その全文を掲載します。

はじめに

2016年第1回市議会定例会の開会にあたり、新年度の施政方針を申し述べさせていただき、議員各位並びに市民の皆様のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

2016年度の施政方針の視点

まず、市政を取り巻く状況について、私の認識を申し述べさせていただきます。

今、誰もが経験したことのない人口減少・超高齢化社会を目前に控え、市政運営は大きな転換期に直面しています。これまで当たり前であったことが、通用しなくなる時代の入り口に立っていることを実感しており、本格的な人口減少社会を見据えたビジョンが必要であると考えております。
町田市未来づくり研究所が行った人口推計によると、町田市の人口は、2020年をピークに減少をはじめ、2035年までは40万人を維持するものの、2060年には34万3千人にまで減少します。人口構成はより急激に変化します。生産年齢人口の比率は、現在の61.8%から20年後の2035年には57.3%、2060年には52.0%にまで減少すると見込まれています。また、後期高齢者の人口比率の伸びは著しく、2015年には11.2%であるのに対し、2035年には18.3%、2060年には26.3%まで上昇します。家族のあり方も今後急激に変化し、平均寿命の伸び、未婚化により、夫婦と子どもの世帯の比率は激減し、認知症高齢者や単身高齢者世帯の比率が急速に増加します。人口減少、人口構成の変化、家族のあり方の変化は、市の行政運営に大きな影響をもたらすものであり、行政サービスの役割、あり方そのものを見直す段階にきています。そして市の財政状況は、急激な高齢化に伴い、急速な悪化をつづけています。具体的な数値で説明いたしますと、2014年度決算における介護保険や後期高齢者医療制度の市の負担分等である繰出金は、一般財源ベースで、2008年度と比較して29.4億円、率にして23.8%増加しております。生活保護費や保育所運営費といった扶助費は、30.6億円、率にして36.1%増加しております。繰出金、扶助費は、2008年度からの6年間で、実に60億円増加しております。これに対し、市税収入は、2008年度と比較して、15.3億円の減となっております。私たち“市町村”が直面しているこの構造的収支不足というべき状況は、社会保障給付費の急増と生産年齢人口の減少による市税収入の減少を要因とするものであります。

日本経済は、企業収益が過去最高となり、税収も大幅に増加していることなど、活況を呈しておりますが、この好景気の恩恵を受けているのは、企業が集積している都市部のごく一部の自治体のみであります。その他のほとんどの自治体では税収増の恩恵にあずかれず、社会保障給付費の増大を賄うべき財源を確保することができておりません。現在の地方税を含めた地方財政制度においては、こうした構造的収支不足を解消する手立ては持ちえず、各自治体は必然的にサービス水準を引き下げるか、必要な投資を先延ばしにするかといったことにより収支バランスをとらざるを得ないことになります。私は地方税制の課題は、60年以上前のシャウプ勧告が行われた時と基本的になんら変わっていないと考えております。シャウプ勧告では、地方自治体の財政力の弱さについて、国税の比率が高く、歳出は国からの補助金に頼っている点が問題であるとしています。その結果、中央政府による地方財源の統制が過大であり、地方自治体の独立性が阻まれているとされました。その後、半世紀を経て、小泉政権下で三位一体改革が進められ、基幹税である所得税の一部の税源移譲が行われたことは、一定の成果があったと考えております。しかし、その副作用として、財政力の弱い自治体が交付税や地方債への依存度を高めてしまったという側面があります。現在の国と地方の歳出の割合は、4:6であるのに対し、税収配分比率は6:4という逆転した状況になっています。これは、シャウプ勧告で指摘された地方税制の問題点が、今日もなんら変わることなく維持されているということです。昨今、自治体間の財源の偏在を解消する方策として、国税としての地方法人税が導入されました。都市と地方で偏在が大きい法人住民税の一部を国税化して、それを全額地方交付税の原資とするものです。日本全体の税源の偏在の問題への当面の策としては、一定程度の意義はあるかと思いますが、問題点も多い制度だと考えています。受益と負担という租税負担の原則をまったく無視したものであること、そして特に全額地方交付税の原資であることが問題であると考えます。地方交付税自体は、地域間の財源調整機能という点では必要性は認めますが、現在の交付税制度では、地域活性化の努力で税収が増えても、その分地方交付税の減額となり歳入自体はほとんど増えません。一方、歳出については、標準的な基準額により国が財源を補填する制度であり、歳出を効率化させるインセンティブに乏しいといわざるを得ません。インセンティブを設定することなしに、地方活性化と財政健全化の両立を進めることはできません。
地方税制度や財源の偏在といった問題は、都市部とそれ以外の地方の財源争いという構図に矮小化して議論すべきものではなく、自治体が補助金と臨時財政対策債に依存する誘引を絶つべく、国と地方のあり方そのものを改める制度改革に踏み込んで議論すべきものです。地方自治体間の水平調整で解決するものではなく、国と地方との税・財源・分権とトータルな財源調整が必要であると考えております。地方税には、ひとつには税収が安定的であること、また、税源が地域間である程度均一であること、そして地域住民が受益に応じて財政負担を負うといった原則があります。私は、地方税はこの原則に沿った形で早急に再構築されるべきであると考えます。そのため、例えばの考えですが、地方税改革としては、地域間の偏在性の大きい法人住民税はこれを国税化し、代替の税源移譲として、税収が安定的で自治体間の格差が小さい税目である地方消費税の拡充を行うべきであると考えます。具体的には、8%のうち、現在、国6.3%、地方1.7%である地方消費税の比率を改めるべきであると考えます。さらに地方交付税制度の改革も一体で行うべきであると考えます。そのことで、自治体の裁量で事業に使える財源が増え、補助金や将来交付税措置される臨時財政対策債に依存しない自律的な財政運営が可能になると考えます。もとより、地方財政上の課題が解決されるだけで、この少子超高齢化という国難ともいうべき時代に立ち向かえるということではありません。各自治体が持ちうる資源を総動員し、知恵を絞っていかなければならないのは当然のことであります。しかし、各自治体が地域経済の活性化等により将来の税収増につながる取組みを加速し、本来の意味での地方創生を実現するためには、自治体固有の財政基盤が必要だということを強く訴えたいと思います。

さて、地方税財政のあり方について地方政府としての提言を、町田市の財政状況の厳しさに合わせて申し述べさせていただきましたが、今後の社会保障給付費の伸びに話を戻しますと、財務省の推計では、今後の社会保障給付費は団塊の世代が後期高齢者となる2025年度に、2012年度と比較して医療給付は1.5倍、介護給付は2.3倍にまで増加することが予測されています。町田市も例外ではなく、近隣自治体と比べてもより厳しい財政状況にあります。冒頭にも申し上げましたが、これまで当たり前であったことができなくなる、そういう時代の入口に立っています。税収の減という事実を前にして、何ができるのか、何をすべきか、施策も厳しい選択を求められる時代になりました。一つの例ですが、既に設計に着手し、2017年度に建設を予定しておりました、(仮称)国際工芸美術館は、今後の厳しい財政状況を見据えた中で、事業を当面2年間先に延ばすという決断をしました。

この度町田市は、人口の現状及び将来の展望を示す「町田市人口ビジョン」を策定し、町田市が将来にわたって成長し続けるための課題と対応策をまとめました。私は、個々の自治体が将来の人口の維持に挑戦し、その都市に定住することの魅力を競い合う時代が来た、そのために、地域がこれまでとは違うやり方で個性を磨き、新たな魅力を構築する時代が来たと考えております。早急に、人口減少社会に挑戦するための、様々な政策を組み合わせた重点的な政策展開を行っていかなければならないと考えております。重点的な政策展開を行う上での軸になる考え方として、2点挙げたいと思います。

1点目は「若い世代にとっての魅力づくり」を政策軸に置くことです。
町田市の人口移動の特徴として、就職・結婚・出産といった節目の時期にある若い世代の多くが市外に転出している実態があります。このため、若い世代に対して訴えかける具体的な対策、例えば子育て期の流入人口を増加させるためには、通勤の利便等の理由により23区や近隣都市に居住している共働き世帯に対し、町田市を定住都市として選んでもらうための動機となる施策を打ち出していく必要があります。私は、町田市は若い世代から選ばれる新たなブランドを確立しなければならないと考えております。そのためには、選ばれるための更なる価値の創出と戦略的なシティプロモーションとを同時に展開しなければなりません。2016年度はその第一歩を踏み出します。町田市には、賑わいや楽しみにあふれる中心市街地と緑あふれる住宅地とが共存しているという他にはない魅力があります。また、子育て施策にトップランナーとして取り組んでいることにより、子育てサービスが充実している環境は、他市と比較して充分な優位性があります。この5年間で保育所の定員を約1700人増やしました。市内には認可保育園71園、幼稚園30園、認定こども園7園があり、就学前の子どもの、教育や保育に対して多様なサービスが選択できます。また、在宅で子育てをしている家庭を対象に、地域のかかりつけ窓口としてマイ保育園事業を展開しております。さらに、学童保育クラブについても、必要な条件を満たし、入会を希望している児童全員が入会できます。こういった他市に勝る魅力を効果的に「発信」「PR」することで、市外の人が町田市に転入してくる動機としていきます。またそのことにより市民の皆様に誇りと愛着を改めて感じてもらうことができると考えています。そしてこれから、未来を担う若者に「町田で暮らしたい」と思っていただくために、町田であれば、子どもを育てることの素晴らしさや楽しさを実感できる、町田に住めば多様なライフスタイルが可能であり、子育てをしながら意欲や能力を充分に発揮できる、結果として住むことの価値を見出すことができるような施策を総合的に推進していかなければならないと考えております。

2点目の政策軸は、「町田の地域資源を活かした町田ならではの地域活性化」です。
今後、「薬師池公園四季彩の杜整備」に代表されるような、魅力ある地域資源を磨き上げることで観光振興に繋げていこうと考えています。観光振興にはもちろん地域への経済効果という重要な側面もありますが、私は、訪れてみて感じる安らぎや喜び、感動というものが得られるまちを目指していきたいと思います。地域の景観や伝統文化といったものを育み、更に磨き上げることで多くのひとが訪れる。そのことで市民にも、市外の人々にも町田への愛着を持ってもらう、そのような「人と人とをつなぐ」観光振興、地域活性化に取り組んでいきます。こういった取り組みの1つの例として、小野路宿里山交流館があります。小野路宿里山交流館は、オープンして2年半が経過しますが、町内会や地域の農家が一体となった管理運営により、地域の観光・交流の拠点として定着しています。年間36000人を超える来場者があり、地場野菜や地粉によるうどんなどの食事のメニューも大変好評であり、リピーターが多いのが特長です。そして、地元への雇用の場としての役割も果たしています。「薬師池公園四季彩の杜」の整備では、四季折々の花や里山の景観など、現在有している資源を中心に据え、地域に根差したこころのこもった観光地域づくりを進めてまいります。薬師池では半世紀ぶりにかいぼりを実施しました。水質の浄化を行い、まもなくかつての美しい池の姿を取り戻します。市が今後進める「薬師池公園四季彩の杜」、「芹ヶ谷公園芸術の杜」「野津田公園スポーツの森」への重点投資も、すべて地域の資源・魅力を開花させるというコンセプトに基づくものです。町田の自然・文化芸術・スポーツそれぞれの「オンリーワン」の魅力を相互に関連させ、連携による付加価値を高めていくことで、まちが賑わい、市民や来訪者が楽しみ、次の世代への橋渡しができると考えています。

水質改善を目的とした薬師池公園の池のかいぼりの写真水質改善を目的とした薬師池公園の池のかいぼり

2016年度の重要な取り組み

それでは、2016年度の重要な取り組みについてご説明いたします。
まず「未来づくりプロジェクト」についてです。「地域社会づくりプロジェクト」については、2015年度までに9地区で地区協議会が設立されました。地区協議会は、地域の多様な団体が、地域の現状や課題について話し合い、連携して地域課題の解決に取り組む組織です。現在、地域の子どもや高齢者の見守り、防災研修会、文化芸術イベント開催、環境美化活動、福祉相談会など、地域の特性を活かした様々な取り組みが行われています。今後は、市民・企業・行政が協働により新たな地域社会を創造し、同じ目標・意識を持って地域経営に取り組むため、長期地域計画を策定します。また、地域の課題解決を担う活動を継続・発展させていくため、専門的・一体的な支援を行う仕組みの構築などに取り組んでまいります。

「団地再生プロジェクト」については、2015年10月に学校法人桜美林学園と「旧本町田西小学校及び旧本町田中学校跡地の活用に係る基本協定」を締結しました。この協定は、市が土地を50年間学校法人桜美林学園に貸付け、桜美林学園が学校施設を設置し、運営することで、団地再生まちづくりに寄与するというものです。学校法人桜美林学園からは、地域の学習機会の提供や、地域の文化芸術活動の振興、団地を学生の居住拠点として活用することなどの提案が出されています。この事業は、団地再生のための最初の本格的事業です。大学を人々のつながりの中心とし、新たな交流や文化芸術活動が常に生まれ続ける空間を創造し、団地再生まちづくりを推進していきたいと考えております。

「町田駅周辺プロジェクト」については、2016年度に、町田市中心市街地まちづくり計画を策定し、中心市街地のまちづくりの再スタートをきります。現在、周辺都市において大型商業施設開発や駅前開発が行われています。本年度策定するまちづくり計画は、厳しい都市間競争の中、町田市が埋没せずに選ばれ続けるまちとなるための“道しるべ”となるものです。これからチャレンジする新たなまちづくりは、様々な町田の魅力を融和させ価値の向上を目指すものです。新しい暮らし方や働き方を誘導するものであったり、新たな文化・芸術活動により常に新しい楽しみが生まれ続けるまちとなることで、町田にしかない魅力を提供するものです。また、この計画は、まちづくりを行う様々な主体が、策定の段階から参加することで、「自らがまちづくりの主役」であることを実感できる計画となります。計画の実現に向け、2015年9月に町田市中心市街地活性化協議会とまちづくりに関する基本協定を締結しました。今後、ビジョン・目標を共有した上で、個々の役割分担のもとまちづくりを進めてまいります。

「基幹交通のプロジェクト」については、多摩都市モノレールの町田方面延伸と小田急多摩線延伸について、国の交通政策審議会の答申がまもなく出されます。2015年7月に東京都が交通政策審議会答申に向けた検討をまとめた「広域交通ネットワーク計画について」においては、多摩都市モノレール町田方面延伸は、「多摩地域の南北方向の拠点間の連携強化に資する路線として整備効果が高い」という検討結果が出されています。また利便性の向上のみならず多摩地域の活力や魅力の向上につながるものとされています。今後、交通政策審議会の答申において「整備について優先的に検討すべき路線」として位置づけがなされることを想定して、関係自治体、事業者等との合意形成に必要な調査及び協議に取り組みます。

多摩都市モノレール 町田方面延伸機運醸成事業でギネス世界記録を達成した瞬間の写真多摩都市モノレール 町田方面延伸機運醸成事業でギネス世界記録(紙チェーン3,142m)を達成しました

「未来づくりプロジェクト」以外の2016年度の重要な取り組みは、新たな資源循環型施設整備です。
町田リサイクル文化センターにおいて、新たな熱回収施設等の整備がいよいよスタートします。新たな施設は、公設民営のDBO方式を採用し、建設及び20年間の管理運営を一括して行う事業者を2016年度に選定します。焼却施設、バイオガス化施設、不燃粗大ごみ処理施設を一体で整備し、各機能を相互に関連させることにより、効率的なごみの処理を図ります。また、焼却施設で行われる高効率な発電と、バイオガス化施設で行われる生ごみのメタンガスを利用した発電により、「再生エネルギーセンター」としての機能も果たします。
2015年11月に、通称COP21、気候変動枠組条約第21回締約国会議がフランス・パリで開催されました。このCOP21は、京都議定書に続く2020年以降の新しい温暖化対策の枠組みです。COP21において、日本は温室効果ガスを2030年度までに2013年度比で26%削減することを世界に約束しました。町田市が新たに建設する熱回収施設は、世界との約束を実現する上で、最先端のモデルとなるものです。これから町田市は、この施設を拠点として「地域と共生する持続可能な循環型社会」に挑戦します。この挑戦は、市民生活の質を向上させ、環境負荷を抑制しながら経済成長を続けられる都市として、東日本大震災以後の新たな環境施策の理想像を示すものとなると考えております。

2016年度の主要な施策

続きまして、今年度の主要な施策について、町田市基本計画「まちだ未来づくりプラン」に沿ってご説明いたします。
まず、「将来を担う人が育つまちをつくる」についてです。
2016年度は、新たな施策を展開することで、子育て世代から選ばれるまちとしての魅力を更に向上させます。新たに、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援をワンストップサービスで実施します。具体的には、妊娠期から出産・子育てに対する相談をワンストップで受付、各機関で情報を共有しながら適切な支援へつなげていくものです。例えば、出産前の育児に対する不安があれば、地域子育て相談センターやマイ保育園が受け皿となるなど、安心して楽しく子育てを行うために、個々の点を線としてつなげていくものです。2016年度は、全ての児童が放課後等を安全・安心に過ごし、多様な体験・活動を行うことができるための取り組みや環境整備を重点的に行います。2016年4月には、市内5館目の子どもセンターとなる「子どもセンターまあち」がオープンします。中心市街地にあることから、中高生の利用者や乳幼児親子向けの機能が充実した施設となるよう準備を進めております。中心市街地回遊の拠点のひとつとなることも期待しています。今後は、市内5地区の子どもセンターから一定の距離のある地区については、中学校区単位で子どもクラブの整備を進めてまいります。子どもクラブは地域で、子どもが明るく健やかに成長するための施設となります。2016年度には、町田第三中学校区域内の子どもクラブの整備に着手します。2014年9月に芹ヶ谷公園にオープンした常設の冒険遊び場は、子どもたちが自然の中で火を使う、木に登るなど、自分の責任で自由に遊び、冒険・挑戦していく場です。予想をはるかに上回る来場者があり、休日には200人から300人が訪れています。今月中には、鶴川中央公園に新たに常設の冒険遊び場がオープンします。鶴川中央公園の冒険遊び場は、実施団体と国士舘大学、鶴川団地内の町内会とが共同で運営します。冒険遊び場が、鶴川団地再生のための一つの起爆剤の役割も担うと考えております。「放課後の子どもの居場所づくり」としては、今後、地域の団体と連携し、市内41校の小学校で実施している「子ども遊び場見守り事業『まちとも』」を、子どもが遊びや体験ができる場として拡充してまいります。
教育環境の整備につきましては、町田第一中学校改築に向け、基本設計を実施します。町田第一中学校は、建築後53年が経過しており老朽化が著しい状況にあります。建替後の校舎は、太陽光発電設備等再生可能エネルギーの利用により、ランニングコストの低減を図ります。そして、将来の社会的変化に対応できる弾力的な運用が可能な施設構造とします。2022年1月からの新校舎使用開始を目指します。また、夏季の猛暑対策として、2018年度までに小中学校の理科室、家庭科室等183室の特別教室に空調設備を設置し、学習環境の向上を図ります。

4月、中町にオープンする子どもセンターまあちの写真4月、中町にオープンする子どもセンターまあち

次に「安心して生活できるまちをつくる」についてです。
町田市の刑法犯認知件数は、2012年に4493件であったのが、2015年は3386件に、マイナス25%と大幅に減少しています。これは、1年を通じての地域の皆様の地道なパトロールや啓発活動の成果であると思っております。今後も継続して市民の皆様の目に見える防犯活動を積極的に推進し、体感治安の改善を図ってまいります。また、昨年12月に旧緑ヶ丘小学校跡地に町田消防署新庁舎の建設が始まりました。新たな庁舎は、都内で最大級の施設で消防団等の訓練など町田市の防災拠点としても位置づけられます。
次に、町田市版地域包括ケアシステムの構築についてです。高齢者単独世帯や認知症高齢者の割合は、今後急激に増加します。厚生労働省の推計では、65歳以上の高齢者単独世帯数は2010年には498万世帯であったものが、2015年には601万世帯、2025年には701万世帯となり、飛躍的に増加することが予測されています。認知症高齢者は、2012年の462万人に対して、2025年には約700万人になるという推計があります。今後、生活支援や介護等の公的サービスのニーズが飛躍的に高まることが想定されます。こういったニーズに対し、行政がこれまでどおりのサービスを継続して行うことは、財政的に困難となります。今後は、公的給付にかわり、サービスを提供する様々な担い手の育成や多様な主体が活躍するための仕組みづくりに取り組まなければなりません。そして、団塊の世代が75歳となる2025年を目途に、高齢者がいつまでも住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムを実現していきたいと考えております。地域包括ケアシステムは、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくべきものです。この事業を実施する上で、最も重要な基盤は地域のつながりです。地域包括ケアシステムの構築は「地域づくり」でもあると考えております。地域の皆様とともに地域の支えあいの体制作りを進めていかなければなりません。地域の支えあいの体制作りに向け、まず2016年度には、新たに市内12ヵ所の高齢者支援センターに「生活支援コーディネーター」を配置し、地域に不足するサービスの創出や担い手の養成、元気高齢者の活動の場の確保や関係者間のネットワーク構築などに取り組みます。そして、2017年4月からは、新たな介護保険の仕組みである「介護予防・日常生活支援総合事業」を実施します。これまで予防給付として提供されていた全国一律の訪問介護・通所介護を市町村の事業に移行し、介護事業者に加え、ボランティア、NPO、民間企業などの多様な担い手による多様なサービスを提供していきます。さらに、提供する介護サービスの質の向上についても新たに取り組んでまいります。現在の介護保険制度では、特別養護老人ホーム等の施設において、入所者の要介護度の改善があった場合に、介護報酬が低下する仕組みになっています。そのため事業者が要介護度を改善させるためのインセンティブが働きにくくなっています。そこで、事業者が質の高いケアを行い、要介護度が改善された場合には、施設に対する成功報酬を支払う仕組みを新たに導入します。このことにより、介護職員の意欲と介護サービスの質が向上し、結果として介護給付費の上昇を抑えることにつながると考えております。
老朽化・狭隘化・バリアフリーが課題となっている玉川学園コミュニティセンターについては、建替えに向け、基本・実施設計を行います。建替後の施設は、地域の活発な市民活動・文化芸術活動を支えるものとなります。2017年度に着工し、2019年7月のオープンを目指します。

次に「賑わいのあるまちをつくる」についてです。
本年1月には、町田で初めてバドミントン日本リーグの大会を開催しました。また、FC町田ゼルビアは、厳しい戦いを勝ち抜きJ2に昇格しました。町田市においても、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けての機運が高まってきています。この機運の高まりをオリンピック・パラリンピックキャンプ地招致につなげていきます。町田市にはスポーツの伝統があり、多摩地域有数のスポーツ施設が整備されています。キャンプ地招致を実現することで、子どもたちはトッププレイヤーに接し、トップスポーツを身近に体験することができ、キャンプ国との交流といったグローバルな体験を得ることもできます。加えて国内外、市内外の様々な方に町田市を訪れてもらうきっかけとなり、経済的な効果も見込めます。また、オリンピック・パラリンピックは、スポーツのみならず文化の祭典でもあります。ロンドンオリンピックでは、参加者が4300万人にも上る文化プログラムが開催されました。2020年は、町田でこれまで育まれてきた文化・芸術を、世界に向けて発信する絶好の機会です。2016年度には町田市文化プログラム推進計画を策定します。2020年に向けて、市内各地、中心市街地などで地域の文化や魅力を紹介するプログラムを間断なく展開し、外国人も含めて市内外の人々を魅了していきたいと考えております。

4つの「まちづくり基本目標」の最後に、「暮らしやすいまちをつくる」についてです。
町田の南の玄関口である南町田駅周辺の大規模なリニューアルがいよいよ動き出します。この官民連携プロジェクトは、従来の官民連携の姿から一歩も二歩も前に進んだものです。駅前のみどり豊かな公園と大規模商業施設が融合した空間づくりを、民間の柔軟かつ優れたアイデアを組みこみながら、行政と民間の強固なパートナーシップを基に、共同事業により実現します。南町田駅周辺は、豊かな緑の中に様々な施設やサービスが点在し、通路が縦横に巡らされ、買い物やスポーツ、憩い、楽しみの場が境目なくつながり、新たな交流がうまれつづける空間となります。また、南町田駅南北自由通路の整備や、東急電鉄による駅改修、駅前街区のリニューアルなども連動して進み、駅自体も新しく生まれ変わります。2016年度には北口駅前広場が整備されることにより、町田駅方面などの路線バス、さらには空港行きバスが乗り入れるなど、各方面へのアクセスが向上し、広域交通ネットワークの拠点としてのポテンシャルも飛躍的に高まります。新たに生まれ変わる南町田駅周辺は、都市間競争の時代にふさわしい、町田だけ、町田しかない、だから住んでみようと思ってもらえる新たな都市空間となると考えております。

以上のような考え方で編成いたしました2016年度の当初予算案の規模は、
一般会計、1402億2653万8千円
特別会計、1222億6806万7千円
合計、2624億9460万5千円
となっております。昨年度の当初予算と比べ、約0.6%の増となっております。

むすびに

これまで、道を切り開いていくために、次の時代につながる「これから」を見つめ、新たな種を蒔き続けてきました。
その蒔いた種を育て、輝ける未来へとつなげていくためには、人口減少社会への挑戦、理想の未来へ向けた挑戦、選ばれる町田への挑戦をし続けていかなければなりません。輝ける将来像を、挑戦することにより自ら創り出していかなければなりません。道は決して平坦ではありません。しかし日本という国は、戦後あらゆるピンチをチャンスに変えて発展してきました。現在直面している人口減少・超高齢化などの逆境を糧として、更なる発展へと導くことができると考えております。先人たちが育んできた、地域の知恵、知識、郷土への愛を政策に結びつけ、今こそ市民・企業・行政それぞれの英知を結集し、挑戦し続けることで未来を切り開いていかなければなりません。
議員各位並びに市民の皆様のご理解、ご協力を賜りますよう重ねてお願い申し上げます。

以上、新年度の施政方針を申し述べさせていただきました。ありがとうございました。

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