平成27年度(2015年度)施政方針

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更新日:2015年3月2日

はじめに

2015年第1回市議会定例会の開会にあたり、新年度の施政方針を申し述べさせていただき、議員各位並びに市民の皆様のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

2015年度の市政運営の視点

まず、市政を取り巻く状況について、私の認識を申し述べさせていただきます。

2014年度は、将来の人口減少の問題が大きくクローズアップされました。2014年5月に「日本創成会議」が、2040年までに全国の約半数の自治体が、人口減少により消滅する恐れがあると発表しました。その「消滅可能性都市」というショッキングなタイトルをきっかけに、様々な場面で人口減少の克服に向けた議論がなされています。
国立社会保障・人口問題研究所の人口推計データによると、日本の人口は、2030年には、現在の1億2,700万人から、1億1,661万人となり、約1,000万人減少すると推計されています。15歳から64歳までの生産年齢人口が約1,000万人以上減少する一方、75歳以上の後期高齢者は約700万人増加し、全人口に占める割合も現在の13%から20%程度まで上昇すると推計されています。
町田市の人口減少は、国全体の動きよりも遅れ、2020年頃から始まり、2030年には、市の総人口にしめる後期高齢者の割合が、現在の11.2%から17.5%まで上昇すると推計されています。
このように将来の持続可能性の不透明感が増すなか、国では、2014年12月に、特に地方における、人口減少、地域経済の衰退に歯止めをかけるため、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を閣議決定しました。
「まち・ひと・しごと創生総合戦略」についての私の認識ですが、2060年に1億人程度の人口を維持するというシンプルかつ明確な目標を掲げたことや、これまでの「縦割り」「バラマキ」「短期的」といった国の政策の反省を踏まえた、地域の自主性や創意工夫、ひいては自立的かつ持続的な取り組みを、基本方針として打ち出している点については、評価したいと考えています。
しかしながら、国が実施する地方創生のための新たな戦略には、地方分権の流れに逆行する部分があると私は考えております。
一つは、2014年度に創設された地方法人税です。これは、税源の偏在を是正するため、市町村の基幹税の一つである法人市民税の一部を国税化し、これを全額地方交付税の原資とするものです。しかし、このように、受益と負担という地方税の原則に反し、地方の財源を国税化することには、正当性、合理性がありません。
また、2015年度の税制改正大綱においては、東京への過度な人口集中を是正するため、地方拠点強化税制を新たに創設するとしています。これは地方に本社を移転した場合、税制上の優遇措置を設けるというものです。
また、わが国の国民皆保険制度を支えてきた国民健康保険事業については、市町村が運営するゆえの財政基盤の脆弱さや保険料負担の市町村格差などの課題に直面しています。そのため運営主体を都道府県単位に統合するための検討が現在進められています。しかし、広域化の検討は進んでいますが、赤字補填のため、町田市が毎年何十億円も負担している国民健康保険事業会計への繰出金について、財政負担が軽減されるという具体策はいまだ示されておりません。
このように、大都市圏よりも地方圏を重視する国の姿勢や、人口や生産年齢人口の減少、高齢化による社会保障関係経費の増加などが極めて近い将来、大都市圏に位置する市の財政に確実に大きな影響を与えていきます。

さて、我が国の将来の姿がどうなっていくのかということもさることながら、この町田市の経済、市民生活、そして財政状況はどうなっていくのかということについて、現在の財政状況と将来の人口構成や財政収支を見通す中で、持続可能な自治体経営のあり方を再構築し、その将来像の実現に向けての取り組みを進めていかなければならないと考えております。

町田市は、これまで住宅都市として、安定した個人市民税収入を財源の中心として、堅実な行財政運営を続けてきました。財政再建団体として報道されている市のように、過去のハコモノ建設による負の遺産があるわけでもなく、第三セクターの累積赤字があるわけでもありません。また町田市は、行政経営改革について全国でもトップクラスの評価を受けてきました。それなのになぜ厳しい状況に置かれているかということですが、まず認識しなければならないのは、現在の状況は、過去の財政状況の悪化とは根本的に状況が異なるということです。日本の各都市は、少子高齢化などの社会状況の変化により、以前に見られたような歳出削減だけの財政再建はできない時代となっています。

具体的な数値で説明いたしますと、町田市の一般財源、市が自らの裁量で使用できる財源は、概ね900億円程度ですが、高齢化により、国民健康保険事業会計、後期高齢者医療事業会計、介護保険事業会計の市の負担部分に相当する一般会計からの繰出金の割合が年々増加しています。これらの特別会計への繰出金は、2013年度決算においては、一般財源ベースで145.3億円であり、2008年度と比較して、17.4%の増、金額にして21.5億円の増となっております。また生活保護費や待機児童対策を進めることで増加する保育所運営費といった扶助費の市負担額も年々増加しています。2013年度決算における扶助費の一般財源ベースの額は、111.2億円であり、2008年度と比較して、31%の増、金額にして26.3億円の増となっています。
繰出金と扶助費の一般財源の負担額が、2013年度までの6年間では約50億円増加しております。
今般、将来にわたる持続可能な行政運営のため、2013年4月に設置した町田市未来づくり研究所において、町田市独自の将来人口、財政予測を行いました。10年後の2025年度までの予測では、繰出金については、後期高齢者医療を中心に30~35%の増、金額にして40~45億円の増、扶助費については5~6%の増、金額にして5~6億円が増加することが見込まれ、今後、更に厳しい一般財源負担の増が予測されています。
その反面、歳入については、主たる一般財源である市税収入は、リーマンショックによる一時的な落ち込みからは回復傾向にありますが、落ち込み前の水準には達しておらず、伸び悩みの状況にあります。2013年度決算における市税収入は、670.7億円、リーマンショック前の2008年度と比較して、3.8%の減、金額にして26.2億円の減となっております。
また、2025年度までの歳入の予測においても、生産年齢人口の減少の影響が個人市民税の税収減という形で顕在化してくることが予測されます。町田市は、他市と比較して市税収入における個人住民税の割合が高いため、今後の高齢化の進展が税収の減少にもたらす影響がより大きいと考えられます。2015年の町田市の高齢化率は、24.7%ですが、町田市未来づくり研究所の人口推計において、2030年には29.2%、2040年には35.8%となると推計されています。
このように、社会保障関係経費の大幅な増加と税収の減少といった状況はいわば構造的収支不足が到来するといえます。これまでの数年間は、行政サービスを低下させないため、この収支不足に対し、徹底した経費節減や積立基金を取り崩すことで対応してきました。しかしこれまでの行政サービス水準を維持しながらの経費の節減も限界の状況にあります。また経費節減するだけでは、将来の夢は描けません。
現在、地方圏の自治体では人口減少が進み、学校業務を隣の市に委託する検討が行われているなど、市役所の機能が維持できないといった状況が顕在化しつつあります。何もしなければ、今、大都市圏以外の地方の自治体で起きている状況が10年後の町田市の姿となってしまいます。
そのため、今必要なことは、これまでの行政サービスそのものをゼロベースで再検討を行い、未来を創造するための施策として再構築することです。
同時に、まちの将来のビジョンを明確に示し、将来を見据えた投資、持続可能な人口構成を保持するための若い世代を呼び込む施策や町田市の豊かな地域資源を開花させる施策を積極的に展開していくことが必要です。また、将来の社会像に即した都市の更新も進めていかなければなりません。
今こそ、市民、企業と町田市とがこの課題に共に取り組んでいくことが求められていると思います。そして、厳しい変革の先に開けている未来を次の世代へつないでいかなければなりません。

2014年度は、「未来への種まき」の年と位置づけました。2015年度は、厳しい財政状況の中でも、息吹いた芽を大切に育て、未来に向け大きな花を咲かせるための取り組みを進めてまいります。すなわち、地域社会との新たな協働の実践、環境先進都市実現に向けた新たな資源循環型施設の整備、地域産業のイノベーションなどに取り組み、2015年度を「町田の未来を育てる」年とし、10年後、20年後に向けて、未来への架け橋を築いてまいります。

2015年度の重要な取り組み

それでは、2015年度の重要な取り組みについてご説明いたします。
「未来づくりプロジェクト」では、商業集積とあふれる緑といった多様性、まちの持つ雰囲気や味わいといった町田が持つ多彩な魅力を大きく羽ばたかせるべく取り組みを進めています。少しずつですが未来につながる成果が現れつつあります。
5つの「未来づくりプロジェクト」について具体的に説明します。
「地域社会づくりのプロジェクト」については、私がこれまで思い描いていた協働による新たな地域社会が、実現に向けて動き出していることを実感しています。新たな地域社会の仕組みである「地区協議会」が、小山、町田第二、鶴川、木曽、相原の5つの地区において設立されました。また、玉川学園・南大谷、南、忠生の3地区においても設立に向けた準備が進んでおります。
地区協議会では、町内会・自治会、民生委員や、NPOなど様々な地域の担い手が一堂に会して、地域の課題を地域自らが解決し、魅力の一層の向上、発信に取り組んでいます。地区協議会をパートナーとして、地域の特性や資源を活かしたまちづくりを市民協働で進めてまいります。
「団地再生のプロジェクト」では、団地を活性化させる上で中心的な役割を担う2つの拠点を新たに整備します。
一つは、文化・教育関連の拠点として、旧本町田中学校と旧本町田西小学校の跡地に私立学校を誘致します。若年層を呼び込み、団地地区以外の人が訪れる機会を増やすことで、新たな交流・賑わいを創出し、団地地区を活性化します。
二つ目は、旧緑ヶ丘小学校跡地に、町田消防署の移転を含めた防災拠点を整備します。
「町田駅周辺のプロジェクト」については、新たな文化芸術ホールの基本構想策定に着手します。町田の未来を考えるとき、人々の心を豊かにする文化・芸術の振興は、町田市民一人ひとりが地域への愛着を深める一つの大きなよりどころとなります。
新たな文化・芸術の創造拠点として、一流のコンサートや演劇が開催でき、町田市民の誇りとなるようなホールの検討を進めてまいります。文化芸術ホールは、新たなまちの賑わいの創出にも寄与するものと思います。
芹ヶ谷公園は中心市街地に隣接する緑豊かな公園であり、買い物や仕事で町田駅を訪れた方々も気軽に立ち寄れる公園です。まちなかにありながら四季折々の景観を楽しむこともでき、また、園内には国際版画美術館があり、芸術を感じられる空間ともなっています。
新たに建設を予定している(仮称)国際工芸美術館も含め、芹ヶ谷公園を、町田駅周辺の回遊性、賑わいを創出する場、芸術の薫りがあふれる文化芸術を発信する場“芸術の杜”として再整備することで、周辺地域一帯の魅力を一層高めてまいります。
「みどりのプロジェクト」について、私は、かねてから薬師池公園を町田の一大観光拠点にしたいと考えてきました。薬師池公園周辺の持っている地域の魅力を十分に発揮させることで可能になると考えております。周辺地域一帯を町田薬師池公園四季彩の杜として、一つの公園として捉え、四季を通して花、風景、回遊を楽しめる魅力ある公園整備を進めていきます。公園全体の玄関口となるゲートハウスには、地域情報の案内所やレストラン、地元農産物の直売所などを整備していきます。2015年度は、薬師池のかいぼり、底泥浚渫を行い、水質改善を行います。
次は「基幹交通機能のプロジェクト」についてです。
多摩都市モノレールの町田方面延伸と小田急多摩線延伸については、2015年度に予定されている国の交通政策審議会の次期答申への確実な位置づけに向けて、新たな鉄道網の整備が町田市にとって、どれだけ重要かつ切望しているものかということを国、東京都、各事業者に強力に訴えていきます。
多摩都市モノレールの延伸につきましては、2014年6月に、「多摩都市モノレール町田方面延伸実現に向けたシンポジウム」を開催しました。シンポジウムは、大変盛況で、関係機関、市民の方々の熱い思いを感じ、延伸実現に向け気持ちを同じくしました。2015年2月には、市内外を問わず多くの方々のご協力により多数の署名が集まりました。この思いをしっかり伝えてまいります。
2015年度は、関係機関に対する働きかけを引き続き行っていくと同時に、モノレールの導入予定空間となる道路の都市計画決定に向け、測量等を進めてまいります。
また、2027年開業を目指している小田急多摩線延伸に向けた取り組みとして、新駅周辺のまちづくり構想を策定し、自然環境を活かしながら、地域の皆様が定住し、若い世代からも選ばれるまちづくりを進めてまいります。

「未来づくりプロジェクト」以外の2015年度の重要な取り組みは、新たな資源循環型施設整備の着実な推進です。
2015年度は、環境先進都市実現に向けいよいよ具体的な施設整備が始まります。
鶴間地区にあるごみの収集運搬の中継基地「リレーセンターみなみ」に、新たに容器包装プラスチック圧縮梱包施設を整備し、来年4月からJR横浜線の南側地域において、市全域に先行して容器包装プラスチックの分別収集を開始します。
町田リサイクル文化センター敷地内に新たに整備する焼却施設、バイオガス化施設については、施設の整備運営に係る事業者の選定や環境影響調査を行い、工事着手に向けた準備を進めてまいります。
また、新たな資源循環型施設整備地区に順次展開している「ごみの資源化施設地区連絡会」において、施設の整備内容や周辺のまちづくりの検討を引き続き市民協働で進めてまいります。

2015年度の主要な施策

続きまして、今年度の主要な施策について、町田市基本計画「まちだ未来づくりプラン」の4つの「まちづくり基本目標」ごとにご説明いたします。
最初に、「将来を担う人が育つまちをつくる」についてです。
2015年度は、子ども・子育て施策の大きな転換点となる年です。子ども・子育て関連3法が新たに制定され、子育て支援に係る制度の枠組みが大きく変更されました。新制度においては、市町村の創意工夫により、地域の特性にあわせた様々な子育て支援サービスを展開していくこととなります。
町田市では、20年間期間限定認可保育所の推進などこれまでも様々な先進的な取り組みを進めてまいりました。今回、新制度に基づき「町田市子ども・子育て支援事業計画」を新たに策定し、2015年度からの5ヵ年で、特に0・1・2歳の保育ニーズに対して、計画的、集中的に事業を実施していきます。
また、町田市では近隣市と比較して幼稚園が多いという特性があります。この状況を最大限活用し、教育と保育を一体的に実施し、幼稚園と保育園の両方の良さを併せ持つ、新制度の目玉的な取り組みである「認定こども園」を積極的に推進していきます。
2015年度は、主に幼保連携型認定こども園の整備と、認可保育所の整備を行うことにより、138名の定員増を図り、待機児童を解消します。
次に子どもの「居場所づくり」についてですが、2014年9月に、芹ヶ谷公園に常設の冒険遊び場がオープンしました。冒険遊び場は子どもの自由な遊び、自主性を尊重する活動で遊び本来の楽しさを肌で感じられる場です。休日には、300名以上の来場者があり、あらためてニーズの高さを実感しております。2015年度には、鶴川地区に新たな常設の冒険遊び場を整備します。
子どもの成長発達、遊びの拠点として、町田地区に建設中の市内5館目となる子どもセンターは、中心市街地に近いという地理的特性を活かしたものとなっております。子育て支援の拠点となる乳幼児室や、気軽に来訪できるためのカフェを設置し、また町田駅に近いことから特に中高生の居場所づくりを意識した施設となっております。オープンは来年の4月を予定しています。
鶴川第一小学校については、来年4月の新校舎使用開始に向け改築工事を進めております。改築前は児童数の増加により、著しい狭隘化の問題がありましたが、改築後の床面積は約1.7倍となり、多様な学習内容・形態に対応できます。また、新たに地域活動や防災拠点としての機能も強化しております。

2つめの基本目標として、「安心して生活できるまちをつくる」についてですが、2013年に開催された社会保障制度改革国民会議において、今後の社会保障は、「すべての世代が、その能力に応じて支え合う全世代型の社会保障」へ転換することが必要であると提言されています。
2015年度から新たに第6期町田市介護保険事業計画がスタートします。この計画では、高齢者が住みなれた地域で自立した生活を送ることができるよう、「住まい」「医療」「介護」「予防」「生活支援」が一体的に提供される仕組みである「地域包括ケアシステム」によるまちづくりを推進していきます。
医療と介護の専門職で構成する「町田・安心して暮らせるまちづくりプロジェクト推進協議会」が中心となり、高齢者へのサービスを一体的かつ効果的・効率的に提供できるチームケア体制の実現を目指します。
昨今、登下校中の児童・生徒が被害を受ける事件が全国で相次いでいます。町田市においても、不審者情報が報告されており、登下校時における児童・生徒の安全対策は、喫緊の課題となっています。こういった状況を受け、児童・生徒が安全・安心に通学できるよう、2015年度から4ヵ年で、全小学校の通学路に防犯カメラを設置します。
また、2015年1月に、市、警察、不動産業界の3者で「危険ドラッグ対策に関する覚書」を締結しました。危険ドラッグは、「売らない、買わない、使用しない」はもちろんですが、危険ドラッグそのものの存在を撲滅していかなければなりません。今回の覚書により、市や警察が危険ドラッグに関する情報を不動産業界に積極的に提供し、連携を強化することで、危険ドラッグを販売・製造する者を市内から排除していきます。

地域社会づくりの重要な拠点となる地域センターについては、新たな地域社会の核にふさわしい施設となるよう順次リニューアルを進めています。成瀬コミュニティセンターについては、新たに地域活動室を設置し、来年7月オープンを目指し、建替、改修を進めてまいります。

玉川学園コミュニティセンターは、1974年5月にオープンし、建築から40年が経過しています。現在の施設は、地域活動が活発な地区であるにもかかわらず、非常に手狭な状態となっております。またバリアフリー対策も不十分です。そのため、建替後は床面積を現在の約600平方メートルから2倍程度に増やし、地域活動が更に活発になるよう支援します。また駅からの歩道デッキを設置し、現在階段のみとなっている駅前方向からのバリアフリーのアクセスを確保します。

3点目は、「賑わいのあるまちをつくる」についてです。
市民の皆様に町田市に誇りをもってもらうため、市外の皆様に町田市の魅力を感じてもらうためには、町田市の良さや強み、優位性を活かした情報発信の強化と都市のブランド化が重要です。
昨年8月に240名の「まちだ自慢」サポーターを結成しました。町田を愛する皆様がサポーターとなり、町田の魅力を自ら発見し、市内外に情報発信しています。町田市のシティプロモーションは人を財産として取り組んでいるのが特長です。サポーターの情報発信力を高め、インターネットや広報誌、口コミなどを利用し、町田を知る人ならではの魅力の発信を行っていきます。
オリンピック・パラリンピックキャンプ地招致活動についてですが、町田市には、スポーツ文化の歴史、伝統があります。オリンピック・パラリンピックキャンプ地招致の効果は、決して開催時だけのものではありません。「町田市スポーツ推進計画」では「スポーツで人とまちが一つになる」という基本理念を掲げています。子どもたちの夢をかなえ、スポーツボランティアの活躍を始めとしたスポーツの推進、コミュニティの強化、観光振興などを、「オリンピックレガシー」として残していきます。
2015年度はキャンプ地招致に向け、各種スポーツの全国大会や国際大会を招致し気運を高めます。また、「(仮称)キャンプ地招致推進市民会議」を新たに発足させ、町田市の強みを積極的にアピールしながら力強く取り組んでまいります。
2014年5月に策定した町田市第二次野津田公園整備基本計画に基づき、オリンピック・パラリンピックキャンプ地招致に向けて、新たに多目的グラウンドや、テニスコートの整備を行います。野津田公園を、町田市のスポーツ文化の伝統にふさわしい、自然の中で楽しむ総合スポーツパーク“スポーツの森”として整備してまいります。
また、中小企業が景気の回復を実感できないなか、地域での創業を促進し、市内中小企業のイノベーションを進めることが重要です。町田市では、2013年1月に「株式会社町田新産業創造センター」を設立し、創業者の支援に取り組んできました。そしてこの創業者支援の取り組みは、2014年1月に施行された産業競争力強化法に基づく「創業支援事業計画」として、国から全国で87件のうちのひとつとして認定を受けております。2015年度は新たな創業支援拠点を設け、市内産業競争力の強化を更に推し進め、市内経済の活性化を進めてまいります。
市庁舎跡地にオープンした「町田シバヒロ」の「新たな賑わいの場を創る試み」を更に拡充していきます。「まちだの未来をふくらませる」のコンセプトの基、2014年度は、約18万人の来場者がありました。2015年度は、年間来場者数23万人を目指し、様々なイベントを企画・実施してまいります。

4点目は、「暮らしやすいまちをつくる」についてです。
日本社会が、人口減少・超高齢化に向けて進む中、近い将来、家族形態、地域、産業構造の大きな変化が想定されます。新たな時代の都市基盤整備には、拠点の整備、交通ネットワークの充実、交流の場の重要性の高まりといった様々な課題があります。未来に向けて町田市が発展し続ける都市であるため、また、企業や人から選ばれつづける都市であるために、その先導の役割を担う都市機能の更新を急がなければなりません。
南町田駅周辺は、まさに都市を更新する最適な時期を迎えています。東急電鉄をパートナーとし、鶴間公園と商業施設とが時期を合わせて互いに再整備を図ることにより、他都市にはない魅力的なにぎわい空間を創出します。
2015年度は、鶴間公園を野津田、薬師池、芹ヶ谷に続く、いわば“にぎわいの森”として効果的な再整備を行うための、南町田駅周辺整備の事業計画を策定してまいります。
相原駅周辺については、地域の自然、歴史、文化を継承しながら、地域の顔となる駅前づくりを市民協働で進めてきました。
2014年12月には、慢性的に渋滞が発生している大戸踏切の立体交差化を含めた町田街道の拡幅事業が着手されました。また2015年度には、相原駅西口に約5,200平方メートルの駅前広場が完成し、新たにバスターミナルを整備します。
今後、地域の良好な居住環境の維持、保全に配慮しながら、公共公益施設の充実を図るとともに、商業機能の集積を進め、にぎわいと交流を創出する生活核としての整備を進めてまいります。
鶴川駅周辺については、交通を円滑に処理し、安全の確保や利便を増進するための新たなバスターミナルの整備等を進めてまいります。2015年度は、小田急電鉄と整備についての基本合意を得る予定です。南口については、生活環境や駅前としての利便性の向上を目的とした、新たなまちづくりの整備手法等の検討を進めてまいります。
多摩境駅は、小山・小山ヶ丘地区の急激な人口の増加により、一日あたりの乗降客が1万8千人を超えるまでになっており、更なる利便性向上の取り組みが急がれております。2015年度から2ヵ年で、かねてより要望のあったロータリーから改札階までのエレベーターを新たに設置します。

最後に行政経営改革についてです。2015年1月に総務省は全ての地方公共団体に対し、2015年度から2017年度までの3年間の間に、複式簿記による財務諸表を作成することの要請を行いました。町田市が全国の市町村で初めて取り組んできたことが全国の自治体で行われるようになるということです。町田市の先進的な取り組みは全国で非常に注目されています。2014年11月にホテルザ・エルシィ町田で行われた「公会計制度改革シンポジウム2014」には、全国の自治体関係者を中心に382名が来場しました。
ストック情報や非現金取引情報がわからない官庁会計の欠陥は、従前から指摘されてきましたが、どの自治体も正面から取り組んではきませんでした。町田市では決算審査の場に事業別財務諸表を導入し、事業の課題や成果といった本質的な議論が始まっています。2015年度には事業別財務諸表を活用した市民参加型の事業評価を行います。全国の自治体の規範となる先進的な取り組みを一層進めてまいります。

以上のような考え方で編成いたしました2015年度の当初予算案の規模は、
一般会計、1,428億3,030万1千円
特別会計、1,180億1,494万1千円
合計、2,608億4,524万2千円
となっております。昨年度の当初予算と6月補正予算とを合わせた額と比べ、約4.1%の増となっております。

むすびに

冒頭、将来の人口推計による人口減少、超高齢化、生産年齢人口の減少について述べました。
しかしながら、課題を克服するための具体的な取り組みはなかなか打ち出されていない状況にあります。
それぞれの都市らしさにもとづく創意工夫が必要だと考えています。近隣と同じようなまちづくりではなく、“町田らしさ”を活かしたまちづくりを進め、まちの魅力を高めていくことで、町田市が選ばれる都市となり、結果として持続可能な人口構造の保持や市民の雇用の確保につながっていきます。
作業段階における推計あるいは予測をもとに申し述べましたが、未来はこれからの取り組みにより変えられます。我々には、今の子どもたちの未来を創っていく責任があります。町田市の未来を育てる取り組みをしっかり推し進め、町田市がもっている可能性を開花させることで、未来を切り開く確かな一歩を踏み出し、成長、発展を未来につなげていくその責任をしっかり果たしていく所存です。
議員各位並びに市民の皆様のご理解、ご協力を賜りますよう重ねてお願い申し上げます。

以上、新年度の施政方針を申し述べさせていただきました。ありがとうございました。

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