「町田市の新しい公共サービスのカタチ」 の提言に向けた調査仮説
調査仮説
調査研究の一環として、本研究所では、8月31日に「町田市の新しい公共サービスのカタチ」の提言に向けた調査仮説を発表いたしました。
1.多様な担い手を発掘しコラボレーション!
まちだをつなげる30人
- これまでも市民協働や住民参加といった表現で、市民によるまちづくりへの参画を働きかけてきたが、行政と市民・民間企業は行動原理が異なることを直視しないまま、連携可能性を模索してきた面がある。
- そうした課題感に対し、各セクターを超えて信頼しあえる関係づくりをめざしたのが、2020年から始まった「まちだをつなげる30人」(注記:1)の取組であった。
- 近年注目されている公民連携を、新しい公共サービスの有効な手法のひとつとしていくためには、カウンターパートとなる相手組織のモチベーションの源を理解し、課題認識を共有する仕組みが必要である
(注記:1)「まちだをつなげる30人」は、背景の異なる多様な人々が集まり、つながりを深めながら周囲の関係者を招き入れ、約半年間かけて地域課題解決を行うまちづくりプロジェクト。
2.自治会等に代わる新たなコミュニティ組織が地域を担う!
北九州市城野地区「BONJONO」の仕組み
- 町田市の自治会・町内会加入率は5割を下回った。若い世帯の自治会・町内会離れも指摘される中、構成員の高齢化にともなう活力の低下も推察される。
- 全国的にも自治会等の加入率は減少傾向にある一方、昨年度視察で訪れた北九州市城野地区は、自治会の上位組織として一般社団法人を設置し、地元の大学生外部組織も参加した地域づくりが展開されていた。
- 自治会等がなくなるわけでないが、これからの新しいコミュニティ組織は、地域に暮らす生活者だけで完結するのではなく、企業や大学など、外部組織ともつながりやすい姿へと変化するのではないか。
自治会等加入率(町田市と全国平均の比較)
3.公民連携で最適解を導き出す!
- かつて日本の統計等において夫婦と子供世帯は「標準世帯」とよばれていた。また、1969年の家計調査では有業者は世帯主1人と定義されていたが、現在最も多いのは単身世帯となり、専業主婦も少数派となった。
- 世帯構成だけでなく少子高齢化など人口構成も変化し、雇用や産業、地域など社会構造も大きな影響を及ぼしている。さらにグローバル化の進展により地球環境や国際紛争、パンデミックなど海外の出来事も我々の暮らしと密接に結びつき、無関係ではいられない時代となっている。
- こうした変化によって生じる地域社会の新たな諸課題に対し、行政だけで対応することは、専門性や柔軟性などの点で難しさが伴う。このため、それぞれ課題に応じた民間のパートナーと連携することで、最適な解決策を見出していくことが期待される。
4.公私の垣根を超えてスペース利用は所有から共有へ!
- 公共施設の老朽化が自治体財政にとって大きな負担となることが明らかになるに従い、自治体公共施設の総量のマネジメント、および公共施設のしまい方が課題となっている。
- 公共施設整備にかかるハードの費用は縮減しても、市民の満足度を維持・向上させていくためには、ソフト(活動・利用の面)の支援に力点を移す必要がある。
- 例えば民間のスポーツ施設や民間企業の福利厚生施設などの共有を拡大したり、集客などの面で相乗効果が期待できる空間を借りたりするなどして、所有にこだわらない柔軟なサービス提供が増えるのではないか。
5.公共サービスはデジタル技術で超スマートに!
- デジタル技術の進歩がもたらすメリットは、行政事務の効率化はもちろんのこと、Society5.0(注記:2)で例示されるように、まちづくり全般に及ぶ。
- まちが生み出すデータの価値を適切に活用しながら、公共サービスの高度化を図る必要がある。
(注記:2)Society5.0は、狩猟社会(Society1.0)、農耕社会(Society2.0)、工業社会(Society3.0)、情報社会(Society4.0)に続く新たな社会を指す。第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱された。令和3年度からスタートした第6期科学技術・イノベーション基本計画においても、引き続きSociety5.0が提唱されている。
6.市民・企業とともに新たな価値を創造する市職員へ!
- 1から5のとおり、社会課題が複雑化・高度化していくなかで、今後公共サービスは自治体だけで完結するのではなく、外部の民間企業や大学、NPO等と連携しながら、課題解決に向けて取り組んでいくものと考えられる。
- 町田市においても、市役所が多様な人材の橋渡しを行い、地域活動の土台から支えていく「プラットフォーマー」の役割を果たすことを目標に掲げている。
- そのためには、現在の市職員一人ひとりがめざすべき方向性を明示するとともに評価制度の整合性を図り、さらに不足する専門人材については、経験を有する外部人材を柔軟な採用方法で確保する必要がある。
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