12ページ 4 広報・PR等での配慮 女性の吹き出し「フォントの大きさや種類などによって読み手が受ける印象や読みやすさが変わってきます。」 4-1 チラシ、冊子などを作る時のポイント ●フォントの大きさ、種類など 《フォントの大きさ》 ・目が見えにくい人や、高齢者などは、視力の低下により小さな文字が読みにくいです。 ・印刷物の文字の大きさは、12ポイント以上が見やすいとされています。 事例1:フォントの大きさの比較イメージがあります。 《フォントの種類》 ・読み間違いしにくく、他の文字との判別をわかりやすくした「ユニバーサルデザインフォント(UDフォント)」を使用しましょう。 ・UDフォントの工夫の1つとして、図1の丸(●)で示した部分のスペースを広くとり、似た形の文字(3と8、OとC)を区別しやすくしています。 ・UDフォントが使用できない場合は、ゴシック体の使用が望ましいです。 事例2:UDフォントで「5 6 8 3 9 e c o C G」と書かれており、隙間に●が示されています。 事例3:UDフォントとUDフォント以外の文字が書かれており、それぞれ見やすさについて比べられるようになっています。 13ページ 《行間》 行間は文字サイズの50%から100%が適切と言われています。 Microsoft Wordで行間を「固定値」とする場合は、文字が12ポイントならば、18ポイントから24ポイント(12ポイント×1.5から2.0倍)が目安となります。 事例1:行間が狭いものと、適切なものが書かれています。 《文字の字間》 ・文字の字間、行間、余白は読みやすさに大きく影響します。そのため、スペースを惜しんで情報を詰め込みすぎないようにしましょう。 ・伝えることが多いからと情報を詰め込むと、読みにくいものになってしまいます。 ・また、同じ大きさの文字でも、漢字が多いと狭く見えます。 事例2:文字の時間が詰まっているものから、広いものまで4種類羅列されており、比べられるようになっています。 ●コラム 掲示板 掲示板は設置する場所によって、読みやすさが変わります。 特に車いすの人は目線の位置が低いので、掲示板の文字が上にあると高くて読みにくいです。また、高齢者や視力が低い人の中には、掲示板のすぐ近くまで近づいて読みたい人もいます。誰もが簡単に近づけるように、位置や高さを考えて設置しましょう。 最近では、デジタルサイネージの設置が増えてきています。さまざまな情報を提供できますが、相手に伝わるように文字の大きさ、コントラストなど配慮が必要です。 図1:立っている人と車いす使用者の視線の高さと、掲示板の中心高さが分かるもの。 図参照:町田市福祉のまちづくり総合推進条例整備基準等マニュアル 14ページ ●カラーユニバーサルデザイン(カラーUD)など 色の見え方は人によってさまざまです。目には赤、緑、青の3色を感じる機能がありますが、人によっては十分に機能せず、見分けられる色の種類が違うことがあります。 《より多くの人が区別しやすい色の組み合わせ》 ・背景の色と文字の組み合わせによって、読みやすさが変わります。 ・赤色は黒色と区別しにくいため、赤色を使う時は朱色やオレンジ色を使います。 ・背景に模様や写真がある場合は、文字を縁取りするなどの工夫が必要です。 事例1:色の組み合わせの悪い例:白色と黄色、赤色と黒色、赤色と緑色、赤色と紫色、緑色と茶色、濃い青色と黒色 事例2:色の組み合わせの良い例:白色と青色、白色と緑色、白色と赤色、黄色と青色、黄色と黒色、緑の明暗 《色の明るさや濃さ》 ・同系色の場合は濃淡を付けます。 ・見た目の明るさを大きく変化させると良いです。 《色の名前》 ・申請用紙等、色の名前で案内するような場合は、用紙にあらかじめ色の名前が印刷されていると色弱者にもわかりやすいです。 《グラフなどの線や形状》 ・グラフなどは、凡例を色の違いで表現するのではなく、色と一緒に○△□など形状も変えます。 ・線は実線、点線、破線など、さまざまな線種を使用します。 事例3:薄いピンク色と薄い水色の用紙に○○申請書と文字が書かれており、右上にはそれぞれ「ピンク」「みずいろ」という文字が書かれています。 事例4:折れ線グラフが記載されていますが、悪い例では、マーカーが同じ形で線の種類も同じで色だけ違うグラフです。良い例では、マーカーの形や線種を替え、白黒でも見分けが着くグラフです。 15ページ ●音声コードの作成 《音声コードとは》 ・文字情報を二次元コードに変換したもので、スマートフォンのアプリや専用の読み上げ装置を使って読み込み、文字情報を音声で聞くことができるものです。文字数は約800文字まで入れられます。 ・漢字で記載する固有名詞などは、漢字の後ろに括弧でふりがなを入れるなど工夫をします。(例:図師町(ずしまち)にある町田市立室内プール) ・QRコードリーダーでは読み込むことができず、専用のアプリまたは装置が必要になります。(「QRコード」は、株式会社デンソーウェーブの商標登録です。) 《音声コードの周囲には余白を確保》 ・音声コードの周辺(3×3cm)に、濃い色や文字が印刷されないようにレイアウトします。 ・全体に薄い色が着いている色上質紙などにも使用可能です。 《紙面には切り欠き》 ・視覚障害者に音声コードが印刷されていることがわかるように、音声コードの近く(余白から1cm)に半円の切り欠きを設けます。 ・2穴パンチの片方を利用して、切り欠きを設けることができます。 画像1:冊子の右下に音声コードがあり、その横に半円の切り欠きがあることが分かるものです。 4-2 動画を作る時のポイント ・音声が聞こえなくても内容が伝わるように字幕を付けます。 ・聴覚障害の方へ伝わりやすいように、手話通訳を入れることが望ましいです。 イラスト1:字幕と手話通訳が出ているテレビの画面。 16ページ 4-3 ホームページ・SNS ●ウェブアクセシビリティ 高齢者や障害者といった、ホームページなどの利用に何らかの制約がある人や、利用に不慣れな人々を含めて、誰もがホームページなどで提供される情報や機能を支障なく利用できることであり、JIS規格(JIS X 8341-3)に定められています。 ●ホームページ掲載情報の作成ポイント 《タイトルで内容がわかるように》 ・視覚障害があり、音声読み上げソフトを使用する人など、ページ全体のレイアウトを見渡すことができない利用者にとって、ページタイトルは重要な情報です。 《「音声読み上げソフト」で正しく読める表記》 ・環境依存文字(例えば、株やセンチなど)は使用せず不要な空白は入れません。 ・「音声読み上げソフト」は、画像について読み上げません。そのため、画像をアップロードする時には、代替テキスト機能があればその機能を使って画像の説明をしましょう。機能がない場合は、本文中で画像の説明が必要です。 《文章構造がわかるように》 ・見出しや箇条書きを正しく設定し、文章構造がわかるように設定します。 ●コラム 音声読み上げ機能 視覚障害があるなど音声読み上げソフトを使用する人のために、町田市のホームページ上には音声読み上げ機能があります。 画像1:町田市ホームページの音声読み上げ機能の位置 17ページ 4-4 メール作成 パソコンだけでなく、スマートフォンなどでメールを確認する機会が増えています。多くの人が読みやすいメールにするために、以下の1から6について気をつけましょう。 1 件名はメール本文の要点がわかる内容を記載します。 2 相手の名前だけでなく、自分の名前も記載します。 3 左側に詰めて文章を書き出します。1文字空けて書き始める必要はありません。 4 句点の「。」だけでなく、読点の「、」などの位置で適宜改行します。全角で20から30字で改行すると読みやすいです。 5 段落ごとに空白行を入れます。何も書かれていない空白行を入れることで文章にメリハリが出て、読みやすくなります。 6 環境依存文字は使用する端末によっては、文字化けしてしまう可能性があります。そのため、環境依存文字は使用しないようにしましょう。 注:「以下、署名です。」と入れることで、音声読み上げソフトを使用する人がここで本文が終わったと判断することができます。 補足:「HTML」形式や「リッチテキスト」形式の場合は、画像や表などをメール本文に貼り付けて送ることができます。しかし、受け取る側の状況によって正しく表示されなかったり、音声読み上げソフトを利用している人に正しく情報が伝わらない可能性が高いです。そのため、送る相手によっては、「テキスト」形式で送るなど配慮しましょう。 (注釈)PDF版にはメール作成中の例文を掲載しています。 以上