4ページ 2 さまざまなニーズに応じた情報提供 2-1 目が見えない、見えにくい人への情報提供 全く見えない人、見えにくい人、一部しか見えない人、色の見え方に特性のある人などがいます。見え方は人によって異なります。 イラスト1:ぼやけてしまう見え方のイメージ図 イラスト2:視野がせまい見え方のイメージ図 イラスト3:中心が見えない見え方のイメージ図 ●情報の入手方法 《全盲》 ・主に「点字」や「音声」によって情報を入手します。 ・「音声」は人が読み上げる方法やCDの他に、パソコンやスマートフォンの音声読み上げ機能を利用しています。 ・「触る」ことにより、物の形や感触を確認してやっと分かることも多いです。 イラスト4:パソコンにヘッドセットを繋ぎ、内容を確認している様子で、ヘッドセットから「4月のイベントのお知らせ」という音声が聞こえる様子。 《弱視》 ・パソコンやスマートフォンを使って情報を入手します。また、タブレットで写真を撮り、拡大して確認する方法も便利です。 ・ルーペや拡大読書器を使って情報を入手している人もいます。 ・「点字」や「音声」によって情報を入手している人もいます。 イラスト5:拡大読書器 5ページ ●私たちができること ・チラシ等を作成する際、多くの人が読みやすいように配慮します。詳しくは12〜14ページ参照 ・資料に音声コードを入れます。視覚障がい者がスマートフォンや活字文書読み上げ装置を使って音声コードを読み取り、記録された情報を音声で聞くことができます。詳しくは15ページ参照 ・要望があった場合は、点字版を作成します。 ・パソコンやスマートフォンの音声読み上げ機能を使って確認できるように工夫をします。詳しくは16、17ページ参照 イラスト1:音声コードと音声コードを読み取っているスマートフォン。 市民の声 男性のイラスト:図書館の朗読室でボランティアに、本だけでなく書類や郵便物を持参して読み上げてもらうことができる、対面朗読サービスを利用しています。 スマホを持った女性のイラスト:スマホのカメラ機能を使って、確認したいものを撮影し、AI機能で判断したり、ボランティア登録している人に繋いで、何が写っているのか教えてもらっています。 ●コラム 視覚障がい者を支援する音声誘導について 視覚障がい者を支援する音声誘導についてはさまざまな研究が進められ、各所で実証実験が行われています。それぞれ提供する情報に特徴があり、整備するときには、視覚障がい者のニーズに適したシステムの導入の検討が必要です。 イラスト2:誘導用ブロックの上にコードが貼り付けられており、それを白杖を持った女性がスマホで確認している様子。 6ページ 2-2 耳が聞こえない、聞こえにくい人への情報提供 全く聞こえない人、聞こえにくい人などがいます。どれくらい聞こえるかは人により異なり、読み書きする力もそれぞれです。また、聞こえないことが外見から分からないため、声をかけた時に相手に気づかれなかったら、「耳が聞こえないかもしれない」と思って対応しましょう。 イラスト1:補聴器を着けた男性の後ろから、女性が声を掛けているが、男性が気づかない様子。 ●情報の入手方法 手話や文字を通して、情報を入手します。 口の形や表情、ジェスチャーも手がかりにしています。 *手話は障害者基本法で言語として定められています。手や指、目の動き、口の形などの表情、上半身を使って、視覚的に表現する言語です。 ●私たちができること 《コミュニケーション方法》 ・聞こえない人でも、手話ができる人ばかりではありません。その場合は、「筆談」でコミュニケーションを取ります。最近では、スマートフォンのチャット機能やメモ機能を使う方法もあります。 ・その他、「ジェスチャー」や「空書」、口の動きで言葉を読み取る「口話」など相手がわかりやすい方法を使います。口の形を見せるため、可能な限りマスクを外して話します。 表情は感情を伝えるのに大切です。表情をつけて話します。 ・話した内容を文字に変換するスマートフォンのアプリなどがあります。それらを活用する方法があります。 イラスト2:カウンターで筆談対応している様子で、カウンターには「筆談します」と表示があります。 写真:実際のカウンターの写真で、耳マークや筆談マークを掲示しています。 写真の説明文:カウンターなどでは、耳マークや筆談マークを掲示して、筆談対応をしていることを伝えます。 マーク1:耳マーク マーク2:筆談マーク 7ページ 《打ち合わせ、講演会、催し物を開催する時》 ・講演会・イベント、会議等で参加者から希望があった場合は、手話通訳者や要約筆記者(または文字通訳者)を手配します。 ・要約筆記(または文字通訳)は話の主だった内容を文字で伝えます。スクリーンに投影して会場全体へ伝える方法と、希望者の隣で情報を伝える方法、個人のパソコンやスマ−トフォンに表示する方法があります。 ・問い合わせ先に電話以外でも問い合わせができるようにメールアドレスやFAX番号の記載をします。 イラスト1:講演会場で、発表者の横に手話通訳者、その横に講演者が話す内容を投影しているスクリーン、さらにその横には要約筆記の内容を投影しているスクリーンがあります。また、聴講者の横には要約筆記者が4名いる様子。 *手話通訳者や要約筆記内容が見えやすい位置に、聴覚障がい者が優先的に座れるような工夫があると良いです。 ●コラム 音声情報の文字化 現在では、音声情報を文字化するスマートフォンのアプリが多く開発されています。日本語以外の言語に自動翻訳できるものや、AIを搭載したものなどがあります。 音声情報の文字化以外にも、コミュニケーションを支援する便利なアプリがあります。詳しくは19ページ。 アイコン:UDトーク、YY文字起こし ●コラム 電話リレーサービス 聴覚や発話に困難のある人と、聞こえる人との会話を通訳オペレータが「手話」または「文字」と「音声」を通訳することにより、電話でリアルタイムにつながることができるサービスです。 参照:一般財団法人日本財団電話リレーサービス ※電話リレーサービスからはフリーダイヤル(0120から始まる番号)へかけることができません。別の番号がある場合は、そちらの番号も合わせて掲載することが望ましいです。 イラスト2:電話リレーサービス利用者 吹き出し:よく、お店の予約に利用していますが、知らない番号から電話がかかってくるため、迷惑電話に間違えられて切られてしまうことが多いです。どうか、最後まで話を聞いてほしいです。 8ページ 2-3 文章の意味を理解することに時間が必要な人への情報提供 知的障がいや発達障がい、学習障がいなどで複雑な会話を理解したり、文章の読み書きに困難がある人がいます。また、外国人の中には日本語が不慣れな人もいます。 以上のような人たちと会話する時や、このような人たちが文章を読むことを想定して 書類やチラシ、ポスターを作成します。 ●私たちができること ・話すときは、ゆっくり、わかりやすい言葉で伝えます。 ・文字だけだと伝わりにくい、または伝わらないことがあります。そのため、文字以外の情報も合わせて提供します。 ・文字の他に以下のような情報を組み合わせると、意味が理解しやすくなります。 《ピクトグラム》 情報や注意を示すための案内図記号です。文字の代わりに視覚的に表現することで、言葉の違いや年齢等に関わらず情報の伝達を行うことができます。 ピクト1:案内(アルファベットのiが書かれています) ピクト2:お手洗(男女のピクトが並んでいます) ピクト3:障害のある人が使える設備(一般的に「車いすマーク」と言われているものです) 《イラスト、写真》 文字とイラストが同じ内容でも、イラストがあることでより分かりやすくなります。 文字だけの悪い例と、イラストや写真が入っている良い例が記載されています。 良い例のイラスト及び写真の参照は町田市 資源とごみの出し方ガイド 9ページ 《相手に伝わる日本語》 ・タイトルを見ただけで文章の内容がイメージできるようにします。 ・簡単な単語やフレーズを使います。(難しい単語、専門的な用語は避けます。) ・特に伝えたい情報はフォントや余白のバランスを変えて強調します。 ・主語と述語を正しく対応させて、内容を分かりやすくします。 《ふりがな》 難しい漢字や地名、名前などにはふりがな(ルビ)があるとわかりやすいです。また、ふりがながあることで読むことができる人もいます。 ※町田市ホームページでは、本誌「情報バリアフリーハンドブック」にふりがな(ルビ)を入れたPDFデータを公開しています。 《多言語表記》 ・外国人にもわかるよう多言語表記することが望ましいです。 ・英語、中国語、韓国語のほか、必要に応じて他の言語についても記載することが望ましいです。その他、翻訳アプリを使用する方法もあります。 イラスト1:多言語表記されている町田市のごみ袋。 ●コラム 漢字とひらがなのバランス 発達障がいがある人の中には、漢字を記号として認識している人もいます。すべての文字をひらがなにするのではなく、簡単な漢字はそのまま漢字で表し、ルビを付けることが望ましいです。 事例:ひらがなだけの場合の文章を掲載。 以上