生誕100年 遠藤周作展 ミライを灯すことば(10月21日から12月24日まで)
生誕100年 遠藤周作展 ミライを灯すことば
(c) 横尾忠則
生誕100年を迎えた作家・遠藤周作(1923-1996)。新資料の発見が相次ぎ、再注目されている日本を代表する作家の一人です。「日本人にとってのキリスト教」を文学テーマの基底に据え、重厚な純文学作品から歴史小説、エンターテインメント小説、戯曲まで多彩なジャンルの作品を生み出しました。そして、これらの作品において差別、罪の意識、個と権力、人間の弱さなどの心の暗部を描き出し、本当の自分とは何か、悪に救いはあるのか、人生とは、神、信仰とは何かを問い続けました。教え諭すのではなく共に悩み苦しみ、弱者に寄り添うことで多様性への寛容を示した遠藤文学は多くの読者を慰め、勇気づけています。また、もう一つの名・狐狸庵先生としてエッセイを次々と発表。町田市玉川学園の自宅を「狐狸庵」と名付け、1964年から過ごした20余年の間にテレビのインタビュー番組やCMにも出演してユーモアに富む言動で幅広い人々に親しまれました。遠藤は後年、二つの名を持ったことにより「人一倍、生きた」という充足感を得られたと語っています。
本展では、次世代に語り継ぐ文学として遠藤文学の再評価を試みます。代表作『白い人』『海と毒薬』『沈黙』『侍』『スキャンダル』『深い河』を、現代作家 山崎ナオコーラ、夏川草介、朝井まかて、阿部暁子氏らが新たな視点で読み解き、いま読むべき文学としての意義を提示します。社会的不安が蔓延し、孤立や孤独、生きづらさ感じる現代。遠藤文学の新たな地平から、生きることの意味、未来を灯すメッセージを読みとっていただければ幸いです。
会期
2023年10月21日(土曜日)から12月24日(日曜日) 午前10時から午後5時
関連グッズの販売は午後4時45分まで
休館日
月曜日、11月9日(木曜日)、12月14日(木曜日)
主催
町田市民文学館ことばらんど
観覧料
一般:600円、大学・高校生:300円、中学生以下:無料
10月22日(日曜日)、11月3日(金曜日・祝)は無料
注記:身体障がい者手帳等をお持ちの方と、付き添いの方1名は半額
町田市立国際版画美術館との相互割引
期間:10月21日(土曜日)から12月10日(日曜日)
国際版画美術館の「楊洲周延 明治を描き尽くした浮世絵師」展の有料観覧券の半券の提示で、一般:200円引き、学生:100円引き
割引の併用はできません。
町田市国際版画美術館 「楊洲周延 明治を描き尽くした浮世絵師」展についてはこちら(外部サイト)
監修
加藤宗哉、今井真理
特別協力
長崎市遠藤周作文学館
作家プロフィール
遠藤 周作/1923年-1996年/小説家
遠藤周作 1970年 町田市玉川学園の自宅にて
1923年3月27日生まれ、東京府北豊島郡西巣鴨町(現・東京都豊島区北大塚)出身。
幼少期を大連で過ごすが、1933年に両親の離婚により帰国。12歳の時、母を喜ばせたいという思いから洗礼を受ける。慶應大学予科在学中に読んだ佐藤朔の『フランス文学素描』に影響を受けて仏文科に進学し、1953年に戦後初の留学生として渡仏。帰国後、1955年に「白い人」で第33回芥川龍之介賞を受賞。日本人としてのキリスト教受容の在り方を主題とした作品を、生涯書き続けた。ユーモアエッセイも数多く執筆し「狐狸庵先生」として親しまれたほか、素人劇団「樹座」の設立や、自らの病床体験が端緒となった「心あたたかな医療」の提唱、日本キリスト教芸術センターの立ち上げなど、執筆業以外の活動も積極的に行った。1958年に『海と毒薬』で第5回新潮社文学賞および第12回毎日出版文化賞、1966年に『沈黙』で第2回谷崎潤一郎賞、1980年に『侍』で第33回野間文芸賞など数々の賞を受賞。1995年には文化勲章を受章した。1996年9月29日、肺炎による呼吸不全で73年の生涯を閉じた。
主な展示作品
「影に対して」草稿 1965~69年頃(長崎市遠藤周作文学館提供)
「海と毒薬」執筆時の日記 1957年頃(長崎市遠藤周作文学館提供)
「深い河」原稿(長崎市遠藤周作文学館提供)
「狐狸庵閑居図」色紙(当館蔵)
関連イベント
桜美林大学×町田市民文学館プロデュース 遠藤周作生誕100年記念「合唱物語 沈黙の声」(10月28日)
夏川草介講演会「作家が語る遠藤文学~『海と毒薬』をめぐって」(10月28 日)
山崎ナオコーラ×今井真理「作家が語る遠藤文学~『白い人』をめぐって」(11月3日)
担当学芸員による展示解説(11月4日、11月29日、12月24日)
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町田市民文学館ことばらんど
電話:042-739-3420
ファックス:042-739-3421
所在地:〒194-0013 東京都町田市原町田4丁目16番17号